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いかにして僕は王国の食べ物を改善してお金持ちになったか

・細かいことは気にしないでください


「姫様、試作品ができました」

「ぱくっ……うん、甘い!上出来ですよ!」


久々に感じる甘味。砂糖だ。

茶色いし、ちょっとクセのある味だけど……砂糖だ。

にこっ……積年の苦労が……ついに実ったのですよ!!


僕が破顔したのを見て、黒いエプロンドレスに身を包んだ、赤髪を頭の後ろでお団子にした女性が砂糖を乗せたお盆を一ミリも動かさずにぺこりと頭を下げた。

彼女の名はジョアン。僕のメイドである。年は18歳。


石造りの僕の部屋に佇む彼女の均整の取れた顔だちを燭台の蝋燭がちらちらと揺れながら照らしている。実にいい感じ。


「姫様、勿体ないお言葉です」

「それではご褒美をあげます、来るですよ」


僕がそういうと、ジョアンは期待しているのか頬を薄く染めながら近づいて来る。

僕はジョアンをそっとベッドに座らせると、可愛らしい小さなアゴにそっと手を添えて、キスをした。


唇が触れた瞬間、ジョアンはびくっと身体を震わせる。

唇をちょんちょんとついばむとジョアンはためらいがちに口をそっと開いた。

それを見逃さずに僕は舌をそっとジョアンの口に差し入れる。


「ふふ、ジョアンはずいぶんとエッチな娘なのですね」

「そ、そのような……」


僕はジョアンのスカートの中に手を差し入れながら言った。

彼女の中は「ご褒美」を期待してすっかり準備ができていた。


喜びと恥ずかしさに揺れるジョアンの鳶色の目を優しく見つめながら、

僕は微笑んだ。


にこっ。


―――――――――――


あ、はじめましてです。

僕はアリシア、御年13歳の可愛いお姫様なのです。にこっ。


つぶらな瞳に整った顔立ち、艶やかな黒髪を腰まで伸ばして、すらっと伸びた手足を持つ、美少女です!

背と胸……?きっと成長するのです!これから!


僕が産まれてからしばらく何か変な感じがしていたのですが、3歳のころに突然意識がクリアになって、僕の中に他の人の記憶を発見しました。

 

21世紀の日本人、ナカムラ(中村)マミ(真実)の。


つまり転生ですね。


最初は状況がわからずいきなり日本語で周囲に話しかけたりしたのですが、幸いだれも意味が分からないので赤ちゃん語として扱われたようで、それからは慎重に行動することにしました。

まずは後世の言葉を覚えながらじっくりと頭を整理です。


マミはいろいろ歴史や戦争の細かい知識を持っています。

腐女子の歴女なのです。えへん。


この知識によると僕の今居る場所は中世ヨーロッパに似ているそうです。

技術水準が似ているだけで、国名や歴史はまったく別なのですが。


そして、私はどうやらある程度力のある王国のお姫様のようです。

優しくて鷹揚なお父様と厳しくて美しいお母様、そして勇敢でカッコいいお兄様の4人家族です。


……ぶっちゃけ恵まれてます。


ここまで恵まれてたら下手なことをして目立って、神王庁(スペイン異端審問団みたいに怖いやつらです)に異端認定されるより、のんびり高級ニート生活を満喫するだけでいいと……思っていました。



僕が耐え切れなくなって、行動を起こしたのは3年前、10歳の春でした。


―――――――――――


「お父様!大好きなのです!」

「おう、そうかそうか、余もアリシアが大好きであるぞ?」


お父様の部屋。執務中のお父様が一息入れる隙をついて僕がいつものように抱き着くと、お父様は白いひげをなでながら上機嫌で答えてくれました。


「……お父様、それで前からお願いしていた件なのですけど……」

「……うむ……しかしのう……」


むー、まだ決断してくれないのです。

ここは……


「お父様、それだと……もうお父様のために料理は作らせてあげられないのですよ?」

「それは困る!」


急に血相を変えたお父様はごそごそと何か書類を取り出すと、それにさっとサインをして僕にくれました。


「ほれ、これで城の近くの荘園は姫のものだ」

「ありがとうございます!これでお父様にもっと美味しいものが食べさせてあげられるのですよ!」


―――――――――――


料理がマズい。


これが私が行動を開始した最大かつ唯一の要因でした。


何せ調味料ときたら、基本塩。あと酢。そして、極たまに大枚を払って入手する胡椒。

そして食卓に並ぶのはパン、焼いた肉、干した肉、生野菜………、たまにそれらを適当に鍋に放り込んだ煮物。


料理……?っていう代物なのです。

しかも塩と胡椒の壺はお父様が抱えていて、自由に使うことすらできません。

家長の特権なのだそうです……


……一国の王の食卓がコレですよ!

地球の中世欧州でもイタリアから先進的な料理が普及するまでは酷いものだったそうですが……

さすがにこれは耐えかねました。


僕は無言で厨房に押しかけると、「姫様おやめください!」などと叫ぶ料理人を一喝して黙らせ、ソースの作成に取り掛かかりました。


まずは牛乳を熱して、ちょうどいい温度になったら、別の鍋で炒めたバターと小麦粉を少しずつ投入。塩と生クリームを加えて味を整えて……ホワイトソースの完成なのです。


さらにニンジンやらセロリ、タマネギなどの香味野菜とニワトリやブタの骨を煮込んで、じっくりアクを取ってブイヨンを作成。バターと小麦粉を炒めたルーに加えて、ブラウンソースの完成なのです!

ちなみにこれにワインを加えて煮詰めるとデミグラスソースになるのですよ、にこっ。


―――――――――――


僕の作ったソースはお父様にとっても喜ばれました。

「余の姫が作らせた料理である、羨ましかろう」と家臣を宴会に呼んで自慢する始末です。あう。

(あ、さすがに自分で作った何てバレたら「姫ともあろうものが!」って怒られるので、料理人にはしゃべったら縛り首だって言って脅しておいてあるのです)


お父様がそんなことをするものだから、さっそくあちこちから「そのような姫であればぜひうちの息子の嫁に……」という申し込みが殺到します。


しかもお父様はまんざらではない様子。

「のう、どこの息子が良い?」などと聞いてきます。


……べ、別に結婚したくないわけじゃないけど僕まだ10歳ですよ?!

まさか食事の改善のためにソース作ったら結婚話に発展するとか……思わないじゃないですか!!


「嫌です!ぼ、僕はお兄様と結婚するのです!」

テンパってわけのわからないことを言ってしまいます。あう。


「父上、さすがにまだ早いのではないですか?」

見かねてくれたのか助け舟を出してくれるお兄様。

透き通るような白い肌に金髪を短く刈り上げ、青い瞳を切れ長の目にお持ちの涼やかな美青年です。


「まぁ、王子が言うならばそうかの」

焦って真っ赤になってしまった私が可愛そうになったのか、お父様はあっさり引き下がってくれました。


―――――――――――


そういうようなことがありまして、10歳の春にいろんなソースを作った僕は、そのご褒美として城の近くに荘園をおねだりしたのです。

50人ほどの農奴と200エーカーの農地、そして川と牧草地と森つきで。


……悪目立ちする可能性はあるのですが、ここまで来たらもっといろいろ食べたいじゃないですか!!


まずは簡単なところで、油と卵黄でマヨネーズ、小麦粉と塩でパスタ、大麦で大麦麦芽シロップ(水あめとはちょっと違うのです)、そしてホップを探してきてエールをビールに改良……


とかやっていると、お父様の家臣の貴族たちが「王の宴会で出てくる料理が食べてみたい」と言ってくるようになったので、安く譲ってあげることに。


受け取ったお金で家畜を殖やしたり、農奴たちの待遇と装備を改善したり、千歯こきと唐箕を作ってみたり、水車を増やしたりしたら荘園の収穫が年々増えてきました。そして収穫で少しずつ農地を買い取って行きます。

特許状をもらっていてお父様に税金払う必要がないから利益率がいいのです。


僕は荘園経営にハマりきり、3年後、気が付いたら王国でも指折りの裕福な地主になっていました。

あれ?僕は何がしたかったんだっけ……


……初心に戻らなきゃです!

心機一転、僕は美味しいお菓子を食べるために砂糖を作ることを決心しました。


そして砂糖の原料となるテンサイを探すべく、各地からビートをかき集めて、いろいろ試したところ、ついに粗製糖の作成に成功したのです!!


―――――――――――


というわけで、粗製糖を生成したジョアンにたっぷりご褒美をあげた僕は、満足して眠りにつきます。え?何をしてるのかって?


……僕は未成熟で清楚な女の子なんですけど、マミさんがなんていうか……あの……男性向け女性向け構わず18禁ゲーム大好きな方で……そっちの知識もご豊富なのです。あう。


立場上、複数のメイドにかしずかれて暮らしているわけですが、結構可愛い子揃いでその……しかも何しても逆らわないし……


で、でも彼女たちも嫌がってないというか……あう。

それにジョアンはスタイルも良くて、豊かな胸部がなかなかナイス……


あ、あのっ、男と遊んではいないのですよ?さすがに立場上それはまずいのです!



―――――――――――



この地方では砂糖が取れないので、遠方から高いお金を払って輸入しています。

それでは自由にお菓子が作れないので、僕はテンサイから製糖する方法を開発したのですが……


余剰分を売るだけですごく儲かってしまいます。

本腰を入れて栽培した結果……



王国一の金持ちになってしまいました。あれ?



「のう、姫。そなたの才覚を見込んで隣国の王がぜひ王子の嫁にと……」

「おお、隣国であれば近いですし、しかも王子もなかなか勇敢な騎士と聞きます」


ってなんでお父様とお兄様が二人して僕を嫁に出す話を?!


「まぁ、前回は少し若すぎたが、姫はもう13だし、問題なかろう」

「隣国とは戦争が続いていましたが、姫が嫁いでくれれば平和になりますし、民も喜びますね」


あうあうあうあう……


「ぼ、僕はお兄様と結婚するのです!本気ですよ!」


テンパってまたもや変なことを口走りますが、お父様もお兄様も笑って相手にしてくれません。

まだまだ自由に遊びたいのにっ!?ひょっとして……詰んだ?!




・あと2~3話であっさり終える予定です。

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