詩「結末のはじまり」
掲載日:2026/10/12
美しいものを美しいと感じる時
世界のどこかで灯りがひとつ点るのならば
やさしい心をやさしいと受け止める時
世界のどこかで笑顔がひとつ増えるのならば
わたしはこれ以上なにを望むというのか
さらってもさらっても届かない川底の砂金よ
腰まで浸かった澱みが肌を侵蝕し
硫黄の霞が視界を遮り
わたしはこれ以上なにを望めばよいのか
ああ 渡り鳥たちの叫びが頭上を通り過ぎていく
眼下のもがきになぞ気にもとめずに
どこか哀しげな西風の訪れを待ちながら
君もわたしも同じ夢のなかで
違う結末を予期している




