第九話『遺跡を巡り、女神は語る(アホ顔で)』
「おお! こんなにもらえたぞ!」
ディルさまはほくほく顔でギルドから多額の報酬のはいる袋にほおずりしている。
「これで旅費は充分ですね。 さあ、王都に向かいましょう」
「......まだだ!」
「えっ!?」
「わらわの回復には大量の食料が必要...... やはり、更なる金が必要だ」
「ええ!? 今回みたいにうまく行くとは限りませんよ! ぶはっ!」
ディルさまにクロスチョップをくらう。
「おろかもの!! わらわが力を取り戻せば奇跡も使えるのだ! さすれば原因もすぐにわかる!」
「......し、しかし、カレンと合流してからのほうがいいでしょう。 ぐへぇ!」
ヘッドロックをくらう。
「そのような消極的な行動では大義は果たせぬ。 これからは積極的にやらねばならぬのだ」
そう拳を握り不敵な笑みをみせた。
(ディルさまはお金がはいって、気が大きくなってる...... 大丈夫かな)
「ここが、モンスターがでてくるという古代の神殿だ。 調査をすればよいだけ容易いものだ」
ディルさまがいう。 ぼくたちは森奥にある古びた石造りの神殿を見つけた。
「遺跡からでてくるってどういうことですか? 何の遺跡ですか?」
「ふむ、おそらく古代人のものだろうな」
「古代人......」
「かつて古代人は魔力を使ってさまざまな事象を起こせる機械をつくっておった。 それでモンスターなどの製造をしたこともあったのだ」
「それって今回のこととつながりがあるんですか?」
「?」
ディルさまは口をあけアホの子の顔をしている。
(知力2を侮っていた...... なんとかわかりやすく話すか)
「あー えっと、つまり今回の魔力大量消費が、その技術と関係あるんじゃないかということです」
「はたたたた! たしかに! もしかしたらそうかもしれぬ! そなたは天才か」
「いえ、ディルさまがアレなだけです。 ぐあああっ!」
ディルさまからアイアンクローをうける。
「アレとはなんだ!! アレとは!」
「いたたっ、まあ、それでなにか関係があるんですか......」
「わからんが、かつて古代に魔力が大量消費されたことがあった。 それを思い出したぞ!」
「じゃあ、誰かが技術を復活させたか。 新たに作り出したかしたんですかね?」
「かもしれぬ......」
「どんな技術だったんですか?」
「......」
またアホの子の顔をしているのであきらめた。
(つまり、そんな技術があったってことだ。 この遺跡を調べればなにかわかるかも)
ぼくたちは遺跡へとおもむく。
モンスターは弱く、ディルさまの剣とぼくが手に入れた投げナイフで倒しドンドン進めた。 その遺跡内はカビ臭さもなく、とてもきれいだった。
「なんか誰かが掃除してるようにきれいですね」
「うむ、魔法でゴミやホコリなどを除去しておるようだ。 そんな魔力の流れを感じる」
「すごい技術ですね。 でもその技術がなぜ現代にないんですか?」
「古代人ごと滅んだからだ」
「ディルさまがやったんですか! ひどい!!」
「やっとらんわ! 女神だぞ! 破壊神みたいにいうな! あやつらは高すぎる技術でいつしか争うようになり、戦争で滅んだのだ」
「ありがちですね」
「まあな。 豊かになり我欲を抑えられなくなったあやつらは、更により多くを求め、その先にて滅びに向かったのだ」
「ディルさまがいたのにですか?」
「貧富の差や戦争が起これば、神など誰も信じなくなる。 いや信じたものさえ、その名分をつかい率先して争いを起こしはじめたのだ。 己がためにな」
「はぁ、いつの時代も世界も関係ないんですね」
「かなしいが人とはそういうものよ」
「そうつくったんじゃないんですか?」
「勝手に生まれたのだ。 わらわはそれを見守ることしかしておらん。 あくまでもわらわの奇跡はその人間の努力で引き出されるものだ。 わらわの私的な感情で使ってはいない。 いや、ならぬのだ」
「それって全て人間の行動によるものですよね。 それならなぜ神さまがいるんですか?」
「ふむ、神とは人の救いを望む想いゆえに生まれるものだ。 わかりやすくいえば、この魔力という概念とおなじく、願いが具現化したものなのだ」
「つまり、ディルさまはこの世界の人の想いでうまれたということですか......」
「うむ、そうなるの」
ぼくたちはかなり深い階層まできていた。
(一体、この神さまにみんななにを期待したんだろう。 知力2なのに......)
「なんだ...... よもや失礼なことを考えていはしないな」
「い、いえべつに...... あれ!」
ぼくは奥にあった部屋でさまざまな装置やケーブルのようなものを見つける。
「ふむ、古代技術か。 壊れておるようだな」
「......ですね。 でもなんだろ。 この装置......」
一際大きな丸い卵のようなものがある。 それにさまざまなチューブやケーブルが繋がっていた。
「ふむ、それより、妙な魔力の流れを感じる...... ここになにか」
そのとき、部屋が大きく揺れた。




