第七話『潜る敵、煙る洞窟──修正者《コレクター》と禁忌の力の代償』
「ここにどんなモンスターがいるの藤宮さん?」
洞窟を歩きながら聞いた。 藤宮さんが準備してきたカンテラが洞窟を灯す。
「カレンでいいわ。 私もトールと呼ぶから」
「ああカレンさん」
「カレン!」
「あ、ああそれでカレンさ...... カレン、どんなモンスターがいるの?」
「ええと話によると姿はみてないらしいわ。 地面から突然あらわれて、魔法を使ったようよ」
「モンスターは魔法をつかうの!?」
「ええ、人間よりもうまくつかうわ。 私も使えないから、この魔鉱石を使ってるの」
そう魔鉱石のつまった鞄をみせていう。
「ディルさま、ぼくたちは魔法をつかえないんですか?」
「ふむ、魔力を他の力に変換して使うのが魔法だ。 ......おそらくは使えなくはないのだろうが、コツがわからぬ。 この世界にいきているものは自然に満ちている魔力を感じておるからな」
「なら、向こうの世界のぼくたちは感じづらいのか...... モンスターがでてきて困らないように修正者を使えるようにしておくか」
その時、巨大なコウモリが飛んできた。
「き、きたぁぁ! しゅ、修正者!!」
「たあああ!!」
慌てるぼくをしり目にカレンは一太刀でそのコウモリを両断する。
「す、すごい!」
「私はこう見えて冒険者のなかでも有名なのよ」
(これは助かる。 正直、修正者だけでは、心もとなかった。 それに比べて......)
「なんだ、その目は! わらわも奇跡をつかえる!」
そうむきになってディルさまがほえる。
「じゃあ、なんでハイゴブリンの時使わなかったんですか?」
「よかろう! みせてやろう!」
そういうとディルさまが仄かにひかる。 そして両腕を前にだすと、手のひらの間に光があつまり、それは結晶となった。
「それは......」
「これって魔鉱石!? しかも大きい!!」
「どういうことです?」
「魔鉱石はその純度によって価値と効果が高くなるの。 そして透明度が高いほど純度が高いの。 すごいわ! さすが見習いといえど聖女ね」
「ふふふっ...... どうだ。 わらわは願いを具現化する奇跡をつかえるのだ」
つかれた顔でディルさまがいった。
「なぜいままでつかわなかったんですか?」
「ほれ......」
そうディルさまがぼくに近づく。
「ん? あれっ...... お腹当たりに頭が、たしか前はもっと上...... まさか!? これって!!」
「......そうだ。 奇跡を使えばわらわは力を失うのだ」
「ま、まずいじゃないですか?」
「だから言うたであろう。 わらわが消えたらお主たちは帰れなくなるぞ」
「ディルちゃん、もっかいみせて!」
「だ、ダメ、カレン! これは禁忌の力だから、緊急しか使っちゃダメなやつ!」
「そうなんだ」
(だ、大丈夫なんですかディルさま!)
「この体も成長はする。 食事や睡眠などで回復すればもとには戻るが、魔力の消失原因がわからねば......」
「いずれ消えてしまう! まずい、はやくしないと!」
「ん? どうしたの?」
「い、いや、大丈夫、でもディルさま、負担が大きいのでそのお力はあまり使わないでくださいね!」
(原因究明をはやくしないとディルさまが消えてしまう!)
ぼくたちは先に進むことにした。
「......!」
突然、ディルさまがとまる。
「どうしました?」
「魔力の流れが変わった。 なにかおる」
「えっ? なにもいないですけど」
地面が震えだす。
「やぁぁぁあ!!」
ディルさまがパニックになる。
「落ち着いてください。 たいして揺れてません」
「地震...... 違う!」
地面がもりあがり、突然目の前に壁ができた。 それは巨大なモグラだった。
「モグラ!?」
「この!!」
カレンが剣をふるうが、すぐに地面に潜ってしまった。 そして地面から飛び出してその爪でカレンをおそう。
ガキッ!!!
剣でその爪を受けた。 だが押されている。
「修正者!」
パープルモール
体力 38
筋力 36
知力 18
魅力 2
魔力 28
運力 14
「よし! まずは筋力を......」
だがモグラが潜り、画面が消えた。
「あっ!! 消えた」
「視界におさめねば修正者は使えぬ!」
「くそっ! 潜られると修正者がつかえないのか! よしでてきた」
地面からでると、モグラは口から紫の煙をはいた。
「なんだ...... これは」
その紫の煙は視界を奪う。 目の前でカレンが戦っている。
「くそっ、これは煙幕...... あれ?」
視界が歪む。
「これを吸わないで! 眠りの魔法よ!」
カレンの声がきこえる。 ディルさまが倒れるのが見えた。 意識が薄れてくる。
「こいつ、切ろうとしたら煙幕をだして潜るんだ......」
カレンもとらえきれてないようだ。
(ま、まずい...... このままじゃ、修正者は姿が見えないと...... 他の場所......)
薄れ行く意識をなんとか保ち、修正者をつかう。
「なにか、あれは...... カレン! ぼくがいう場所を名前をよんだら切ってくれ!」
「わ、わかったわ!」
地面がドンドン響いている。
「どうなってるの!?」
「いいから剣を構えて!!」
ぼくはタイミングをみる。
「よし! カレン!!!」
「うおりゃああああ!!!」
ザシュッ!!
「グオオォォ......」
飛び出てきたパープルモールは絶叫して絶命した。
「ふぅ、なんとか倒せたわ。 でもなんであそこからでてくるってわかったの」
「ああ、修正者ででてきた場所以外の地面の強度をあげたんだ」
「なるほど、それでモグラがでられずにドンドン地面を叩いてたのか。 その修正者かなり使えるね」
「それより、ディルさまを早く連れて帰ろう」
(このままだといずれ消える。 早く回復させないと)
ぼくたちは鉱山よりかえった。




