第四十三話『知力1の神と追憶の洞窟』
「うっ...... 今のは、ディルさま!」
衝撃から目覚めて周囲をみる。 土煙がはれるなか、みんなの姿を確認した。
ギルフェドはいなくなっていた。
「なんなの......」
「すごい閃光でした」
「な、な、なんですの! ディルが!!」
メルディ姫が声をあげる。
「小さくなってるですのーー!!!」
そこには力を使い明らかに小さくなったディルさまがいた。
「い、いや、こんなものだの。 トール」
「そ、そうですね、こんな感じでした」
「そんなわけないよね...... 話しなさいよ」
そうカレンの剣が鈍く光る。
「つまり、この子がディルティナで、力を使ったから幼くなった...... と」
「ま、まあ、そういうことでして......」
カレンから殺気が漏れでているように感じる。 ディルさまは震えている。
「ディルティナさまだったなんて......」
「驚きですの...... 神様が存在してたなんて」
リドミラとメルディ姫は言葉を失っている。
「......それで覚悟はできてるんでしょうね」
そういってカレンは剣を握った。
「ひぃぃぃい」
「ま、まって! 確かにディルさまが悪いけど、知力1なんだ! ここはアホだから許してあげて!」
「そうなのだ! 知力1...... へってるーーー!!! わらわの知力へってるぅぅーーー!!!」
「はぁ、もういいわ。 なんとなくそうじゃないかと思ってたしね」
「へっ、そうなの......」
「ええ、どことなく面影があるし、なんか偉そうだし、そもそも異世界にきたトールがいきなり聖女に出会うなんておかしいしね」
(知力4だけはあるな)
「それより、知力1ってなんだ! どうなっとる!」
ディルさまがかみついてくる。
「いや、前に力を使ったから減ってたんですよ。 今回、力をつかったから0になってるかも......」
「0ってなんだ!? なにもないということか! どうやってわらわは動いておる!?」
「知りませんよ。 それより、ギルフェドはどうなったんです!」
「それよりってなんだ! いやギルフェドか、確実に当たったからかなりのダメージは受けておるはず...... しかし死体がないということは」
「生きているのね。 ただもうどこにいったからわからないわ」
「いや、記憶を辿ればどこにいったかはわかるかも......」
「しかし、長ければかなりの負担がかかるぞ」
「ええ、でもこの修正者の時空は時間と空間を同時に一部分だけ操れます。 これなら過去視もどうやら負担がすくないようなんです」
「時空、レセーラに攻撃が効いたのはそのせいなの」
カレンがきいてきた。
「ああ、胴体の時間をすすめて老化させた」
「ふむ、それでその部分か、または他の場所との接合部がもろくなったのか...... ますます使い方がうまくなっておるな」
ぼくたちはリドミラと暴れるメルディ姫をラルギスに返した。
「ではやりますよ。 修正者時空」
ギルフェドがよろよろと立ち上がる姿が見えた。 それをおい追跡する。
すこし村の奥を歩くと人工的な洞窟があった。
「なんなの? こんなところリドミラもいってなかったわ」
「ああ、なぜこやつがしっておる。 いや、今は先を進も...... う......」
ディルさまがゆっくりと倒れる。
「ディルさま!」
「......ふぅ、どうやら、ただ寝てるみたいだわ。 力を失ってつかれているみたいね」
「じゃあ、ぼくが」
「いいえ、私が背負うわ。 トールは能力を使って」
カレンがディルさまを背負うと歩きだした。
(カレンと二人はあまりないな......)
「それにしてもトールは力を失ったディルちゃんと旅なんてずいぶん無茶したのね」
「まあ、最初は大変だったよ。 ディルさまもぼくも戦う方法なんてないし、そういえばカレンはなんで冒険者になったんだ? アイドルなんだから歌でも躍りでもお金は稼げただろ」
「まあね...... 最初はそうしようかと思った。 きてすぐ踊り子にスカウトされたし......」
「いきなり...... さすがトップアイドル。 それならなんで?」
「まあ、あまりやる気がなかった...... いえ、やりたくなかったのね」
「えっ? アイドルが」
「多分、もともと小さいときは、キラキラきれいな衣装をきて、可愛く歌って踊ることに憧れてアイドルになったけど、実際は演技やモデルなんかも仕事としてやらないといけない......」
(そういえば、嫉妬やそねみがあるっていっていたっけ)
「まあ、夢と現実はちがうよね。 いつしか夢より現実が上回って、楽しくなくなってきた...... でも求められることをこなさないといけないのはわかってるから、そんなときに事故があった」
そうカレンは小さくかたった。
(カレンはその夢と現実の狭間で戦ってたのか......)
「ごめん、愚痴っぽくなったね。 トールはここにきたのはなにかあるの?」
「いや、ぼくはディルさまに向こうでの役割がないからってつれてこられた」
「はぁ? なにそれ変なの」
「そうなんだ。 ぼくもよくわからない......」
(そういえば、ぼくはなにをしたかったんだ)
洞窟内の大きな部屋に辿り着いた。




