第四十二話『黒翼墜ちる森、魔皇石は魂を喰らう』
入り江から上陸する。
深い森をリドミラを案内役ですすむ。
「ここは昔から私の遊び場だったんです。だから、道もわかります。 ただモンスターもでますので......」
その時、横から虎のようなモンスターが数体あらわれたが、ディルさまが切りさき、メルディが燃やし、カレンが一刀両断した。
「気をつけて、と言おうとしたんですが......」
リドミラは唖然としている。
「モンスターならこの三人で大丈夫だよ」
「みたいですね......」
かなり険しく、しかも同じような木々が連なる。
(普通にはいったら迷うな。 子供の頃からはいってるからわかるんだろうが...... 透過すれば抜けられるが、力は温存しておきたい。 何があるかわからないからな)
ぼくたちはリドミラについて森の奥へとすすむ。
「ここです。 私たちの村だった場所」
そこは焼き払われ、家だったと思われる残骸が、黒ずんでのこっていた。
「ひどいな......」
「なぜここまで」
「わかりません。 対立にしていたけれど、戦闘になることなどなかったのに...... 貴族の父と母はここで出会い、私が生まれたのです。 二人は両者の対立をなくすため活動をしていました...... でも突然ミルソダスの軍が攻めてきて」
リドミラは悲しげに目を伏せた。
「リドミラ、禁忌の場所はどこだ。 魔力を感じんが......」
ディルさまはそうきいた。
「ええ、あの奥の大樹です」
確かに遠くに大きな巨木がある。
(まさか、あれがロトスなのか......)
ぼくたちは巨木へとむかった。
巨木まで来ると、おそらく侵入を拒むために設置された柵のようなものが、荒々しく壊されていた。
「ミルソダスの兵士が侵入したのか...... それなら」
透過してみると、巨木の中には卵型の装置があり、中にはなにもない。
「これはロトスじゃないですね。 卵型の装置があります、中にはなにもないが......」
「なぜあなた方がロトスをしっているのですか」
そう声がする。
「上だ!」
ディルさまの声で上をみると、空に羽のはえたレセーラが浮いていた。
「レセーラ...... なぜここにいる」
「それはこちらのセリフです...... ここは私が生まれた場所」
「なっ!? ここがあんたが生まれたって!」
「では、中にあるのはあなたの卵型の装置なのですの!」
「ええ、ただ、あなた方はしりすぎた。 ギルフェドのいうようにここで始末しておきましょう」
「まて、お前たちは人々の幸せのためにつくられたのだろう。 なぜこんなことをしている」
「それこそ愚問です。 そのとおり、我々は人々の幸せのために生まれ、その使命を全うする。 そのためにあなた方が邪魔なのです」
そういうと、その体を黒いアンノーンへと変化させた。
「死になさい。 これからの真なる秩序のために」
そういうと翼をはためかせて飛来する。 ディルさまたちが応戦するが、アンノーンとは化したレセーラは強く、押されている。
(ギルフェドがいるかもしれないが、このままだとこちらが力尽きる...... 仕方ない!)
「修正者!!空間!」
すこしレセーラがぐらつく。
「この魔法...... だが」
すぐに体勢を建て直してこちらに迫る。
(なっ!!? 効かない!)
「せやっ!!」
「ぬう!!」
「炎よ!!」
ディルさまたちがそれを防ぐと、レセーラは旋回して空にむかう。
「あなたの重力魔法など効きません。 私は公平の力をもつ。 こんな風にね」
レセーラは両腕を前にだす。
「がっ!!」
「きゃあ!!」
「じ、地面におしつけられるですの!」
「こ、これは」
ぼくたちは地面に押しつけられるように体が動かない。
(やつも重力をあやつるのか!! 空間だけだと、押さえきれない! だがアンノーン対策がない訳じゃない)
「修正者時空!」
ぼくが拳をにぎると、レセーラの片方の翼が折れる。
「な、なんだ翼が...... くっ!」
レセーラの飛行が不安定になると、こちらの重力が解除された。
「ディルさま、カレン、メルディ姫、やつを落とします胴体を! 時空」
レセーラが体勢を建て直そうとするなか、もうひとつの翼をにぎる。
「なっ、ばかな! なにをしている!?」
翼が折れたレセーラが墜落してきた。
「そりゃ!!」
「せいっ!!」
「炎よ!!」
「そんなもの...... があああああっ!!」
レセーラの体を三人の攻撃がおそう。
「な、なぜだ...... 私の体が人間などに......」
「レセーラ、お前たちはなにをしようとしている」
「ふふっ、もはや、とめられはしない、あともう少しで魔力もロトスにたまるのだ」
「やはりお前たちがロトスをもっているのか! それでなにをしようとしている!」
「救済だ。 人間の幸福を我らは使命としている。 秩序がうまれるのだ」
(秩序......)
「みな、なにかくる!」
ディルさまが叫ぶと、爆発がおきぼくたちは吹き飛ばされた。
森の奥から、ギルフェドが現れる。
「ぎ、ギルフェド...... いいところに来ました。 あのものたちを......」
ギルフェドはレセーラに向かい腕を伸ばすと、懐から魔皇石をだした。
「......なにをしているのです」
「もうあなたは役目をおえました...... 秩序の糧となってください」
「そうですか...... さあ、あなたが新たな秩序となる糧としなさい」
「ありがとう」
魔皇石へと吸いこまれるようにレセーラから光がはなたれる。
「ギルフェド! 修正者、時空...... くっ!」
(四回は、使えないか!)
「お前はなにをするつもりだ! 秩序とはなんだ!」
ディルさまは叫ぶ。
「......あなた方には関係はない。 この世界に私が真なる秩序をつくる。 あなたたちはこの世界の糧となりなさい」
(くそっ...... 力を使いすぎた)
「おおおお!!!」
ディルさまが咆哮するように叫ぶと、光があつまる。
「ディルさま! それは!」
「なっ......」
光はギルフェドを包み弾けとんだ。




