第四話『ハイゴブリン襲来! 修正者《コレクター》の真価と、女神の逃げ足
ぼくたちはモンスターのでたという街道を歩く。 右側が岩壁の斜面でしばらく歩くと壊れた馬車があった。
「これか、でも車体がグシャグシャだ。 何に襲われたらこんなになるんですか」
「ふむ、かなりの力で折られておるな......」
「モンスターってなんなんですか? ん? ディルさま」
答えがないのでディルさまをみると、そろりそろりとその場からはなれていくのが見えた。 そのとき地面の影がぼくの影に重なり大きくなった。
「えっ?」
ふりかえるとぼくの二倍はあろうかという緑の肌の人型がこん棒を持ってたっていた。
「うわああああああ!!!」
ぼくは一目散にはしりだした。
「ウガアアアア!!」
緑のものも叫びながらぼくをおってくる。
「やめよ! こっちにくるな!!」
「ひどい!! ぼくのこと見捨てましたね!!」
「そなたには修正者があるだろうが! さっさとつかえばよかろう!!」
「こんな状況でつかえるか!! ディルさまこそ、あのプロレス技でやれるんでしょ! やってみてください!!」
「できるか! 普通に死ぬわ!!」
ぼくたちは醜く言い争いながら走り逃げ切った。
「はぁはぁ、なんとか逃げられた......」
ぼくたちは遠くの木々間に隠れた。
「はぁ、やつが足が早くなかったからなんとかな......」
「......本当にあんなの倒せるんですか」
「修正者を使いこなせればな。 だがやつを視界にいれねばならぬ」
「修正者をうまくつかう...... か。 でも武器とか防具がほしいな......」
「そうだ! それで服をみてみよ」
思い出したようにディルさまが声をあげる。
「修正者で?」
修正者で服をみた。
パジャマ(安物)
重さ 3
強度 2
柔軟性 6
伸縮性 4
「でた...... 誰のが安物のパジャマだ! えっ? 重さと強度、柔軟性、伸縮性これって!」
「そうだ。 物質もステータスの移動が可能だ」
「それなら服の強度をあげて、重さを下げられるのか」
「ふむ、ほら、そこらの枝でも可能ゆえ、武器となろう」
早速ぼくとディルさまの服の強度をあげ、落ちていた木の枝を強くした。
「でも、武器があっても、ぼくの筋力をすべてのステータスであげても、あんな化け物に勝てるかな」
「ふむ、確かに難しいかもな...... 人間の数倍はあろう。 とりあえず遠くからステータスをみよ」
「ですね」
ぼくたちは、こっそりと近づいて馬車のところにいるモンスターをみた。
「......いた。 修正者」
ハイゴブリン
体力 40
筋力 50
知力 5
魅力 3
魔力 20
運力 10
「あれがゴブリン!? なんかイメージとちがう!」
「まあ、そなたのわかるように言語化されておるだけだ。 そんなことよりやつのステータスは?」
「ええ、やっぱり筋力と体力がすばぬけています。 知力は低いですが、ディルさま以上です」
「いらんことをいうでない! だが魔力障壁が問題だ」
「魔力障壁?」
「モンスターは自らの体を魔力でまもっておる」
「そうなんですか。 正直、これにこん棒を加えると、下手したら殴られて即死しますね。 これステータスを動かせますけど、筋力も50以下にはならないです」
「うむ、個体によって下げられる限界があるようだな。 人の五倍の筋力か...... とはいえハルリのためにも、なんとしても勝たねばならん。 わらわの筋力を限界まであげるか。 それならばやつの魔力障壁をこえて勝てるやしれん」
(物質の数値も変化させられるなら、もしかしたら......)
「......いえ、体力も向こうのほうが遥かに上、勝てる可能性は低い...... それにひとつ作戦があります」
ぼくは作戦を伝えた。
「ふむ、試してみる価値はあろう。 しかしそれには囮がいる......」
(どうせ、ぼくだろうな)
「......よし、わらわがやろう」
「えっ!?」
「そなたは修正者をつかわねはならん。 ここはわらわが命を懸けてやりとげよう」
そう悲壮な顔でディルさまは殊勝なことをいう。
「い、いや、危ないので、ぼくが」
「そうか! じゃっ、頼むぞ!」
そうディルさまは足取り軽く跳ねるように走っていった。
「えっ? あっ!!!」
足早に去っていくディルさまに騙されたことをぼくはさとった。




