第三十九話『凍った都市の記憶、空から降る正義の鉄槌』
過去の映像が見える。
凍りつく前までさかのぼると、古代人たちの生活が見えてきた。 片方は貴族のような暮らし、もう片方は奴隷のようなものたちだ。
(貧富の差がこんなに......)
外を透過してみると、この建物の回りで抗議している人々がいて、それらを排除している軍人のようなものがいた。
『ふん、愚かな奴らだ。 自らの努力が足りぬのに、貧しいのは企業や社会のせいなどと』
『しかし、これがエスカレートすれば厄介なことになる』
『かまわない。 これが完成すればあの虫けらどももわめくこともなくなろう』
そう企業の重役たちはそう笑っている。 その前には卵型の装置がある。
(あれは、アンノーンの卵型の装置か!)
どうやら、ここはどこかの企業の魔力技術の開発場所みたいだった。
(この企業はアンノーンをつくっている)
ぼくは時間をすこし進める。
外では抗議しているものたちを排除している行動かエスカレートしはじめ、血がでるほど殴りつけたり、銃でおどしたり、更にうちだした。
『さすがに反発が強くなってきました。 このまま続けるのは......』
研究者の一人がそういう。
『だがもうすぐ完成だ。 他の国はもう作り出したと国はいっているのだぞ! どんな犠牲を払っても完成させなければこの国も危ないのだ!』
そう企業の幹部は研究者たちにはっぱをかけ、でていった。
『ふん、自分たちの利益だろうに......』
『ああ、それは違いない。 ただ各国ともつくりだしてるのは間違いない』
『ただ、これが完成すれば確かに人類に幸福をもたらすかもしれないからな』
(アンノーンを幸福を...... それで各国がつくりだしているのか)
更に時間をすすめる。
『......しかし、ここまで抗議が多くなると、とめる方法がありません』
『もうまもなくなのだ! どうやっても完成させろ! 外のやつらは力で押さえつけろ!』
(両方がエスカレートし始めた。 もうこれは止められない......)
それが長く続き、一人の男がなにかを抱えて軍人へと向かってはしった。 軍人たちは制止しない男に発砲したが、その男が倒れたとき落とした丸いもの爆発してこの部屋の装置が損傷をうける。
『ぐっ、なんだ! まずい! 装置が!』
『魔力が暴走する!!』
その瞬間閃光をはなった。
(それでこの都市が凍りついたのか)
「なるほど、それでこの都市は凍りついたというわけか」
ディルさまが腕を組み目を閉じた。
「古代とはおもえないですの......」
「そうね。 この時代も、どこの時代でも起こることだわ」
「ただ、彼らはアンノーンをつくろうとしていたのは確かだ。 ここの装置は吹き飛んだけど、他のは壊れずにいたものもあったんだろう」
ぼくたちがラルギスに帰ると、王都は騒然としていた。
「なんだ!? 城が! 燃えている!?」
城が燃え空に黒い煙が上がっていた。
「はやくいきましょう!!」
ぼくたちは城へとむかう。
「リヴァルドさん!! 王さま!!」
「父上!!」
城の王の間にリヴァルドさんとラルギス王がいた。
「す、すまぬ。 ギルフェドが突然あらわれ、魔皇石を奪われた」
王は負傷していた。 まわりには騎士や兵士たちが倒れている。
「トール、上だ!」
城の天井がなくなり、そこには翼のはえた青い髪の少年がいた。
「おまえもアンノーンか!」
「......我はジャスティス。 『正義を執行するもの』 愚かな人間よ。
正義の鉄槌をうけよ」
そう少年はそういって、その両腕から青く光る球体をはなつ。
「あれはまずい! 修正者空間!」
飛んでくる球体の重力を軽くした。 球体はその場で浮いている。
「......なに」
「メルディ姫!」
「炎よ!!」
メルディ姫の炎の魔法がはなたれ、空中の球体に触れると大爆発を起こした。
「くっ......」
爆発からでてきたのは青いアンノーンだった。
「......正義を執行する」
アンノーンは翼をはためかせ高速で飛来すると、ディルさまとカレンが剣で防ぐ。
(相手を弱体化、こっちを強化しているとはいえ、アンノーン相手では分が悪い! もう一度重力を!)
「修正者空間!」
アンノーンはそのまま旋回していった。
(だめだ! 効果がでない! 空間修正は力を使いすぎるからか...... あれは!?)
アンノーンは再び旋回して両腕に光る球体をだした。
「トール!! あれをうけたらここらは全て吹きとんでしまうのですの!」
「くっ!」
(もう空間操作は使えない! だが、このままでは...... いや、透過のように範囲を狭めれば)
「修正者空間......」
両腕をだし、その拳で握るようにアンノーンの放とうとする光球をつかむ。
そしてアンノーンにぶつけた。
ドオオオォン!!!
激しい暴発が空中でおき、アンノーンは地面に落ちてきた。




