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第三十七話『聖女は導き、海は裂ける。青い球の先に触手は揺れる』

 ぼくたちは魔皇石ディープストーンのことを聞きに、ラルギス王のもとにむかった。


魔皇石ディープストーンか...... 確かに昔存在したといわれておるな。 わが領内の海にて沈んだはず......」


「嵐ですか」


「いや、ちがうな。 文献によれば古代人たちの戦争があった。 そして魔皇石ディープストーンをのせていた船が戦で沈められたという」


(どこかに運ぶつもりたったのか......)


「本当に探すつもりか。 いくら近海といえど海だぞ」


「かまわぬ。 やつらに先んじ手に入れておく」


「はっ、ディルさまがそうおっしゃるならば、船の用意はしておきましょう」


 そう王はディルさまに言葉をかえす。


(本当に聖女の権威は高いんだな)


 ぼくたちはラルギスの海へとむかった。



「はぁ、水着があればいいのに、あと日焼け止め」


「なぁ」


 のんきにカレンとディルさまは船上に寝そべりそんなことを話している。


「いや、この世界にそんなものないですよ。 それより、ディルさまの魔力感知もしてくださいね。 ぼくはあくまで透過できるだけですから、こんな広い海見つけられませんよ」


「心配は無用だ。 とっくに感知はしておる」


 そうカレンがつった焼き魚をムシャムシャたべながらいった。


「そうだ。 トール、アンノーンに使ったあの青い炎ってなんだったの? 魔法よね」


 カレンがそう聞いてきた。


「わらわも気にはなっていた。 あんな威力の魔法使えるならばさっさと使え」


「いや、あれは過去の記憶から読み取ったものです。 昔、聖女がモンスターの群れを倒すために使ったといっていたでしょう。 あの記憶を読み取って使いました」


「なるほど、聖神晶ホーリークリスタルの力を使ったのか。 あの威力も納得だな」


「そんなこともできたの?」


「ただ、その場の記憶しか読み取れないから、もう一度は無理だね」


「そうか...... ん? 魔力を感じる」


「本当ですか!」


 ディルさまの先導でその海域へと向かった。


「ここら辺だな」


「では早速透過を......」


 船の上から透過をつかい船底から海の中をさぐる。


「あっ、あんな魚みたことない。 私たちの世界にはいないね」


「本当だ。 食べられるのかな」


「そんなことをしておる場合か、早う探せ」


「わかってますよ。 それでどの辺りですか?」


「この前方かのう。 こっちのほう、あれは...... 船をとめよ」


 船の真下に何か船の残骸のようなものが見えた。


「あれか...... ただ、あの船、普通の船じゃない」


 その船は流線形で、今の技術でつくられた木造の船ではなかった。


「古代人の船ね。 まああんな装置をつくれるぐらいだから、つくれても不思議はないけど......」


「さて、ここからどうやってあそこにあるものを探して手に入れるか。 トールの能力でなんとかならぬか」


「......そうですね。 すこし負荷がかかりますが...... カレン海をわって」


「無茶いわないでよ!」


「衝撃を与えてくれればいいから」


「もう、私をなんたと思ってるのよ!」


 ドゴゴォォン!!


 強化したカレンの打撃で海に衝撃がはいり、船がゆれ大きな水柱があがる。


修正者コレクター


 弾けた海にむかって修正者コレクターをつかうと、水がとまり海底までみえた。


「おお! 海が割れた!」


「流れてないの?」


「ああ、海の水の動きをとめ、密度と強度をあげた」


「確かにふにふにとしておるな」

 

 海面をさわりディルさまがいった。


「はやく探そう。 つかい続けないと海はまたもとに戻るから」


 ぼくたちは海の壁をロープをつたって降りる。


「ディルさま、魔力は」


「うむ、船内から感じる」


 ぼくたちは船内を探索する。 その船は藻や珊瑚などが付着していたが、金属のようで白く光沢があった。


「この船、金属のようなものでできているわね」


「ああ、しかも穴が空いている。 砲撃でもされたのかな」


「古代人同士の戦争で沈んだようだの」


「なんで戦っていたんだろ? かなり進んだ文明のようだけど」


「人は豊かになったからとて、欲がなくなるわけではない。 豊かになったからこそ、より欲しい、より他者より良くなりたいと欲が増えていくこともある。 そして、貧富の差がうまれ、人々の不満は社会での争いや他国とのいさかいへと発展していく」


「まあ、そうね。 私にも経験はあるわ」


「カレンにも」


「ええ、私はアイドルだったでしょ。 みんなそれぞれかわいい子達だったけど、そのなかで、嫉妬やそねみなどいさかいが絶えなかったわ」


「ふーん、そうなんだ」


「そうだ。 狭い価値観をもつと、豊かなものたちでさえ、落ちまいと必死にもがき苦しむ。 あわれなものよな」


 そうディルさまはつぶやく。


「そんなものか...... あれ」


 そこには青く光る球体があった。


「そうだ。 それだ...... なにかいる!」


 黒いものがその部屋にうごめき、何か巨大なものがこっちに鋭く延びてきた。 


「この!!」


 カレンが剣できりさく。 それは地面に落ちるとうねうねと動く。


「これは......」


 部屋の奥、部屋を覆うように巨大な黒いものが現れた そして何本もの触手をうねらせる。


「タコだ!!」


 黒いタコはその触腕をあやつり、こちらに脚を放ってくる。 それらをディルさまとカレンはその脚をきりさく。 がすさまじい早さで脚ははえてくる。


「だめ! 再生がはやすぎる!」


「むう! 切っても切っても生えてくるぞ!」


(くっ! 凍らせるか! いや、今は周囲の水をとめつづけない!)


「二人ともなんとかたえてくれ!」


 ぼくは走り、脚をかわして青い球体を手にいれる。


「よし! この船からにげます!」


 ぼくたちはタコから逃げ船の外に走り出した。


 タコは追ってくる。 


「逃げきれないわよ!」


「ここを!」


 水壁の下部分を能力解除すると、大量の海水がそこからはいり、巨大なタコは飲み込まれていった。


 そのまま修正者コレクターで水流のスピードを殺して海面まで浮上した。

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