第二十七話『砂漠に築かれた理想都市、商人ギルドの白い牙』
「それで商人ギルドの話なんだけど」
「ああ、彼らと私の父は王公貴族の散財や腐敗について父は憤っており、なんとかしたいと思っていたからだ。 彼らはこの国に民のための国をつくるべきだとはなしていた」
「だが、そうはならなかった」
「そうだな。 民の国というより商人の国だな。 一部の商人が肥え、市民は飢えている。 貴族や役人がいなくなり、彼らの好きなように値段を決められる。 我らはそれを買うしかない」
「いいように利用されたというわけか」
ディルさまは子供たちとお菓子の取り合いをしながらそういった。
「ああ、反乱により、私の父も殺された。 貴族ゆえしかたない面もあるが......」
「それで商人ギルドは何をしていたんです?」
「各地になにか装置を取り付けるように父に頼んでいた」
「装置......」
「ああ、魔力を制御するものらしい。 王公貴族や騎士たちは強い魔法を使う。 それらを無力化するものらしい」
「それで反乱が成功したのか」
「それもあるだろうな......」
「その装置は」
「町のあちこちにある。 ほらあれだ」
それは目立たないただの石の支柱のようにみえた。
「......なんの変哲もない支柱ね」
「ただなにか魔力の流れを感じるな」
「それで商人ギルドはいまは?」
「流通を完全におさえ、砂漠の中に新しい町をつくっている」
「砂漠に...... そこの正確な場所を教えてくれないか」
「ああ」
ぼくたちはリドミラから聞いた砂漠の町へと向かう。
「こんな砂漠に町をつくるの?」
日の照りつける砂漠を歩きながら、カレンはいう。
「ああどうやら富豪たちのための町らしい」
「自分達で国を滅ぼしておいて勝手なものだな」
「そうですね。 でもわざわざ砂漠に町をつくるのもおかしいですし...... 見えてきました」
目の前に巨大な白い建物が並ぶ都市のようなものが見えてきた。
「ここまでおおきなものをつくるなんて......」
「ふむ、人々の生活とは不釣り合いだな」
「ええ、こんなことをすれば不満の矛先を向けられるでしょうに」
ぼくたちは町へとはいる。 大勢のかなり裕福そうなものたちが談笑しながらにこやかに歩いている。
そこには噴水や側溝もあり、他の町より設備も充実している。
「君たちはなにものだ?」
ほう大柄な武装した警備とみられる二人の男性がこちらに近づく。
「ここは君たちがくるところではない」
そう冷淡な対応をしてくる。
「ここって売ってるの?」
「まあな。 ただかなり高額で一般人が手に届くものじゃない」
「ここ安全なんですか?」
「ああ、他の国の貴族やこの戦争の功労者の家族などが住む場所だからな。 襲われる心配はない。 そんなことより用がないならかえれ」
「すこし興味があるの。 これぐらいあればどう?」
カレンは袋から高額な金貨をみせた。
「こ、これは! 失礼しました!」
「すぐ担当者をお呼びします!」
そう手のひらをかえすようにいうと一人の男性をつれてきた。
「私はワリク商会のシモンともうします」
そう細面のメガネの男は丁寧に名刺をだした。
「すこし町のほうみさせてもらってもいいかしら」
「はい、どうぞ、どうぞ」
シモンはぼくたちに町を案内し始めた。
「どうです。 ここまでの町は他国でもそうありませんよ。 ほとんどの建物はうれ、売り切れ間近です!」
そうまくしたてた。
「でも、他の地域とかなり差がありますね」
「......まあ、この国はまだ建て直し始めたばかり、すぐに、豊かになりますよ」
そうシモンは笑顔でいった。
(目が笑ってないな。 そんなこと信じてもないってことか)
「ディルさま、どうですか......」
「いや、魔力の流れがあるのはわかるが、大きな魔力は感じんな」
「ここに装置はないのかしら」
「石の支柱はある...... 透過したいが、人がいるならまずいな」
「まあ、みつけても今はどうしようもないしね。 とりあえずこの町で家でもかう? あとで調べた方がいいんじゃない。 リドミラにすんでもらえばいいし......」
「......お前どんだけ金もっとるんだ?」
「私は冒険者として有名だからね」
一応家の購入を打診してみた。
「そうでございますか! ではこちらにサインを!」
満面の笑みでシモンは書類をだした。




