表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/26

第二十四話『華麗なる暴露劇とマフィア排除作戦』

 そこはきらびやかで豪華な装飾が施された大きな部屋だった。 大勢の華やかな服装に身を包んだ男女が歓談している。 ぼくたちはマルゼイユを捕らえるべく、オイゼルドの社交場へとやってきていた。


「ここにマルゼイユがいるのか......」


「ふむ、そうだな。 それとってくれ」


「えっ? これ美味しいんだけど!」


「どれどれ! 本当ですの! はいディル」


 三人は調査そっちのけでだされた食事を平らげようとしていた。


「三人とも! なにしてんの! 今はマルゼイユと、オイゼルドでしょ!」


「まぁ、急がずともよい。 それとってくれ」


「そうよ。 逃げはしないわ。 えっ? これおいしーんだけど!」


「そうですの。 どれどれ、本当ですの! はいディル」


(なにこのデジャヴ、何回同じやりとりしてんの!? この三バカは!)


「失礼......」


 そういってにこやかにちかづく若い紳士がいた。


「ああ、どうも」


「どうもじゃないだろ。 なにしてやがる」


 そのにこやかな顔とは裏腹な声からぼくは気づいた。


「カイル!」


「まったく、あの三人を心配してきてみれば、やっぱりだぜ。 やつがマルゼイユでその前のがオイゼルドだ」


 そう背中ごしにみえる。 小男と恰幅のよい男がみえた。


「あれか......」


「ただ、人混みで奴らの声が聞こえん。 周囲にも護衛がいる。 どうするか?」


「こんな所じゃ、悪事の相談なんかしないんじゃない?」


「逆だ。 木を隠すなら森の中だ。 この騒がしい場所なら誰も悪事の話しをしてるとは思わない」


「なるほど、それなら手のうちようはあるな。 ただ確実に悪事の証拠となる話を聞き出したいから、そのタイミングがしりたい」


「本当にそんな手があるのか。 それなら俺がしかける。 タイミングは俺が合図する」


「わかった」


 カイルはそのまま歩くと、マルゼイユとオイゼルドの死角の位置にたった。

そのとき懐からなにかをだし耳に当てる。


(なんだ...... ただタイミングを見逃せないな。 修正者コレクター


 時間がたつ、三人はただもくもくと食事をおかわりしている。


(このバカ三姉妹なんのためにここにきたんだ? いや集中しないと)


 そのとき、カイルがハンドサインでこちらに合図をおくる。


「よし、修正者コレクター


『それでエゴイズムはどうなっているのです?』


『ええ、言われたとおり市中に広げていますよ。 それで新しい薬の......』


『まちなさいマルゼイユ』


 異変に気づいたのか、オイゼルドがこちらをみる。 貴族たちが唖然とした顔で二人をみている。


『これは......』

 

「それはどういうことですの。 オイゼルドどの。 エゴイズムを扱うのは禁令がでているですの。 破れば極刑、しらぬわけではないですの」


 そうメルディ姫がオイゼルドに向かって歩く。


『なんですか! 一体どうなって!?』


 オイゼルドの大きな声が聞こえる。


「みなさん。 彼らを捕縛してくださいですの!」


 そうメルディ姫に言われて貴族たちが二人を拘束した。


 わけがわからないような二人は拘束されてでていった。


「どうやらやったみたいだな。 あんな大声で話すとは、一体どんなカラクリだ」


 カイルが近づいてくる。


「ぼくの能力で、あの二人の声を外に拡張させることにしたんだ」


「それで外に音が大きく伝わったのか。 そんな魔法があるとはな......」


(まあ魔法じゃなくて、空気のステータス修正だけど)


「これで商人ギルドの関与を調べられるわね」


「いや、そうとも限らんな」


 カイルは眉をひそめる。



「やはり切り捨てられたか」


 カイルはうなづく。 ぼくたちは城で相談をしていた。


「ああ、商人ギルドと薬の関与を見つけられなかったからな」


「あくまでオイゼルド個人の罪として処理されたのよ」


「仲間も容易く切り捨てか...... 厄介だな」


 ディルさまが腕を組む。


「ですが、商人ギルドを調べる大義名分を手に入れましたですの。 父上も喜んでましたですの」


 そうメルディ姫の顔がほころぶ。


「まあな。 取りあえず、マルゼイユを排除できた。 今一家は混乱して権力争いでボロボロだ。 もう薬どころじゃない。 これで蔓延は防げるだろうな」


「それはよかったが、それでそなたがもっている情報は?」


「ああ、そうだな。 アスワルドにあったという古代技術。 それはまだアスワルドにあるはずだ」


「だけど、レジスタンスだちがさがしたが見つからなかったといっていた。 嘘はいってない」 


 カレンがそういうと、カイルは考える。


「確かアスワルドの王都からだから、レジスタンスが正門から攻めたときいた。 裏からでていったはず...... 北はグラナル平野だろう」


「ああ、それは間違いない」


「アスワルド北のグラナル平野より向こうはサンテラ山脈があり、マルーク教国がある。 俺たちの仲間もそこにいるが、サンテラ山脈を越えてきたものはいないというのはまちがいない。 だからグラナル平野のどこかに隠してるのは確実だ」


「それならそこに......」


「それを見つけられたら、商人ギルドを追い詰められるわね」


「ああ、その古代技術とやらが軍事技術なら、アスワルドに加担しているという証明になる。 商人ギルドとの繋がりさえわかれば罪にとえるかもな」


「意外ですの。 カイルさんはずいぶんと協力的ですの」


「まあな、やつらは俺たちにとっても目障りな存在だ。 やつらを潰してくれるならどんな協力もしてやるさ」


 そうカイルは軽口を叩いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ