第十八話『姫の乱入と女神のプロレス技!囮作戦の先にあった真の黒幕』
「クレーゼさん、なぜここに......」
「お前たちが依頼をせず、どこかにいったからな。 いい金の稼ぎ所でもあったら教えてもらおうとおもったんだが」
「そんなものはない......」
リキータさんはそのまま弓を向けている。
「そうか...... なら、おれが教えてやろう」
後ろから鎧をきたものたちが現れた。
「......やはり審問騎士団か」
「ご明察」
「冒険者になっていたのか」
「ああ、冒険者をスカウトしてレジスタンスにいれようとするとおもってな。 まあ、おれが選ばれてもよかったんだが......」
「残念だが、選んでない」
「だな。 ではここで反乱者どもを全員、つかまえ見せしめに公開処刑としようか、ねえフリージア王女殿下」
「王女殿下?」
「わらわ?」
「どう考えてもちがうでしょ! リキータさん」
「............」
「王権を取り戻すためとはいえ、酷なことをなさいますな。 巻き添えでレジスタンスのものたち、その家族も道連れとは」
「そんなつもりはない! 王家などもうない! お前たちの圧政が許せなかったからだ!」
矢を放つとそれをクレーゼは切り落とした。
「......まあ、そんなことはどうでもいい。 もうすぐレジスタンスが捕まる報告がくるしな」
そのとき、クレーゼのもとに騎士が駆け寄ってきた。
「なんだと......」
「お前を選ばなかったのはなぜだとおもう」
そうリキータさんがわらう。
「......やってくれたな」
「そうだ。 レジスタンスの本隊は私たちと同じくもう出発した」
「? どういうことだ?」
「つまり、我々が囮なんですよ」
頭にクエスチョンマークがうかんでいるディルさまに教えた。
「すまない。 きみたちを犠牲にしてしまった......」
「もともと、審問騎士団をつりだすために、ここに呼んだんですね」
「ああ、やつらが冒険者に紛れ込ませるのはわかっていた。 だから最大の懸案をここに引き付けたかった。 君たちには詫びの言葉もない」
「いや、詫びろ!!」
ディルさまがぶちギレている。
「生き残ればいくらでも詫びよう」
「ちっ、ただフリージア王女をとらえればやつらの足も止まるかもれしれない」
「無駄だ。 私を取引につかっても従わぬようにいった」
「くくくっ、それはどうかはわからんぜ。 人は情に脆いからな! いけ!!」
騎士たちがはしってくる。
「仕方ない! 修正......」
炎が騎士たちをつつむ。
「くっ! 後ろからだと!!」
「はぁはぁ、やっと追い付いたですの!」
「メルディ姫!!?」
「なんかよくわからない話でしたですの。 やっぱり、私もいくですの!」
「全然理解してなかった!! やはり知力3の限界だった!!」
「まあ、かまわぬ! 要するにこいつらをやっつければよかろう!! 」
「こっちも理解してないっぽいな! 修正者!」
クレーゼと騎士たちの装備と回りの空気を重くし、体力と魔力を知力と魅力に全ふりした。
「ぐっ、なんだこの重さ...... はぁ、息がきれる」
クレーゼたちは動きが鈍くなる。
「凍てつけ!!」
魔力濃度を高め、集めると氷の魔法をつかう。
「がはっ!!」
「よし! あとはまかせよ!」
ディルさまが動けなくなった騎士たちにプロレス技をかけ、全員をのした。
「驚いた...... まさか、この状況を打破するとは」
リキータは驚いている。 クレーゼたちはみな捕縛することに成功した。
「ふふふっ、わらわたちならばたやすきことよ」
「そうですの。 この程度、造作もなきことですの」
おバカ二人が満足そうにいった。
「それにしても無茶なことをしますね」
「すまない。 君たちを巻きこんでしまって...... この恩と借りは必ず返す。 まずはクーデターの方を!」
「そうですね」
ぼくたちが王都につくと、貴族たちはレジスタンスによって捕縛され、クーデターは成功していた。
「くっ......」
縄をうたれた年老いた貴族がリキーターーフリージア王女の前に差し出された。
「ベルストン卿、久しいな」
「フリージア王女ですか...... あの泣き虫だったあなたがずいぶんと勇ましい」
「貴殿のおかげでな...... それでなにか申し開することはあるか」
「あなたが国政に返り咲いたとしても、再び戦乱になるでしょうな。 もとよりかつての王族の圧政が我らの台頭を許したのですからな」
「......そうだな。 確かにかつての王族もそなたたちと同じ、欲にかられたくろくでもないもの、滅んでも致し方ない。 ゆえに私は国政に戻るつもりはない」
「............」
ベルストン卿は沈黙したが、なにかを口にふくんだ。
「くくくっ......」
ベルストン卿は立ち上がる。
「すわれ!! ぐわっ!」
ベルストン卿は縄を引きちぎってレジスタンス兵士を吹き飛ばした。 その体は肥大して暴れている。
「なんなのですの!」
「なんだあやつの魔力が増大しておる!」
「まずい! 修正者!!」
周囲の空気を重くし、足元を柔らかくした。 ベルストンは足元がふらついて倒れる。
「メルディ姫!」
「わかりましたですの! バーストブレイズ!!」
炎がベルストンを包む。
「ガアアア!!」
しかし怯むこともなく、炎からでてきた。
「これは!?」
「もはや人でもない!! トール魔力を減らして凍らせよ!」
「は、はい! 凍てつけ!!」
ベルストンが凍ると、ディルさまがドロップキックでそれを砕いた。
次の日、ぼくたちは屋敷に呼ばれた。
「トールどの、ディルどの、メルディどの、本当にご迷惑をお掛けしました。 あなたたちのおかげでこの国を解放することができた、感謝の言葉もない」
「言葉はあれ!」
「もうディルさま。 それでこの国が行っていた研究は......」
「それが、その研究施設がもぬけの殻だったのです...... 当日、なにかを運び出すものたちがいたことはみているものがいましたが、クーデター優先で追えませんでした」
「何者かが運んでいったのか......」
「そのようです。」
「貴族が把握もしてないとはな」
「貴族たちは享楽にうつつをぬかし、国はもっぱら商人ギルドに頼りっぱなしだったのが実情のようです」
「商人ギルドですの......」
「ええ、彼らはこの国の中枢に入り込み、国政にかなり影響していたようです」
(商人ギルドか......)
「それでベルストンのあの変わりようは?」
「わかりません...... ただ貴族たちのあいだでなにか薬が出回っていたようです」
「薬?」
「ええ、飲むと自らの欲望が放たれるような気分になるそうです。 もちろんあの変化に関係あるかはわかりませんが......」
(ベルストンは確かになにかを飲み込んだ。 あれか)




