第十二話『干し肉と格差と姫誘拐──知力2神、王都で現実にぶつかる』
「すごいな。 町を一望できる」
高層階の部屋までつくと目の前に巨大な町が眼下に広がる。
「まあね、早速夕飯を食べましょう。 ん? ディルちゃん、なんか痩せた...... というか小さくなってない?」
「......富豪とはちがい、たくさんの栄養がとれぬでな。 痩せ細るのもむりなきこと」
卑屈な目でカレンを見ながらディルさまがいった。
「まったくトール、君、お付きなんでしょ。 ちゃんと食べさせないといけないわよ」
(おれのせい? いや、食べてたよ。 収入のほぼ全てがディルさまの食料なんだから。 といっても理解はされないだろうから黙っとこう」
多くの食事が運ばれてくると、ディルさまはさっそくほほをリスのようにしてほうばっている。
「落ち着いて、なくなったりしないから」
カレンは掃除機のように食べ物を吸いこむディルさまを心配している。
(まあ、ひもじくてあからさまに怪しい地面のキノコをたべて卒倒してたぐらいだからしかたないな。 魔力の消費も激しくなってるみたいだし...... 早く原因を見つけないと)
「それで、なにかわかったことはある?」
「うーん、原因は今、世界で使われている魔力装置なのかなとは思ってるけど、それも生活にくっついてるから、なくすことは無理じゃない?」
「ほれはないふぁ」
口一杯に食べ物を含んでなにかいっている。
「それはないってさ。 どうやらその程度の魔力消費は関係ないみたい。 もっと膨大な魔力らしい」
「そうなんだ...... じゃあ原因はわからないね」
「はれんふぁ、なにほしてほぁ」
「カレンは何をしてた? だって」
「私は王家から頼まれた依頼をこなしてたの。 でもなんだか急ぎの依頼があるとかで、明日、王家に呼ばれてるわ」
「そうなのか」
「かんはれ」
「がんばれってさ」
「いや、聞こえたよ。 だいたい他人事じゃなくてあなたたちも来るのよ」
当たり前のようにカレンはいった。
次の日、馬車がきてぼくたちはのせられた。
「ふぁ、早すぎる...... わらわは日が昇ってから起きるのだぞ」
「もう日は昇ってるでしょ」
「ディルさまのいってるのはお昼のことだよ」
「お昼!? トール! なんでちゃんとしつけないの! お昼まで寝てるなんて!」
「い、いや、毎日起こしてるよ! でも起きないんだよ! 寝ぼけながらプロレス技で反撃してくるんだ! それにこの間なんて太陽光で焦げてたのにおきなかったんだよ!」
「わらわは鉄の精神力なのだ」
「なにわけわかんないことを自慢してるの! 今日からはしつけは私がするから!」
「ええーー!?」
「まあ、しかたないですね...... ぼくだと甘えますし」
「な、な、まて! まだあきらめるでない! お前はそんなことであきらめる男なのか!」
「ええ、普通にあきらめます」
「ああ、王城がみえてきた」
馬車から巨大な白亜の城がみえてきた。
「カレンよ。 よくきてくれた」
このルバレス王国のルガンテン王がカレンをむかえた。 そのそばには屈強な眼帯をつけた騎士がいる。 カレンの話ではリヴァルドというこの国の騎士団長だという。
「そのものたちがカレンのいっていた......」
「ええリヴァルドさん。 トールとディルちゃんです。 それで急用とは」
「......ああ、実は姫がさらわれたのだ」
王様はなんとか平静を装っているようにみえる。
「ミルディ姫が!? いったいどこに!!」
「今は使っていないアルサンド灯台に向かう馬車をみたものがいた。 今騎士団を向かわせたが、正直、城から姫を誘拐できるほどの手だれ。 おそらく魔法使いであろう」
(魔法使い...... か)
「だが目的が姫ではないかもしれぬ」
「王さまかも......」
ぼくがつぶやくと、リヴァルドさんはうなづく。
「ああ、ゆえに私は王のそばを離れられん」
リヴァルドさんが肩をおとした。
「ではわらわたちが姫の奪還を試みようぞ」
ディルさまが胸を張る。
「ふむ、頼めるか」
ディルさまは姫の奪還をうけた。
「姫様をさらう...... 相手に心当たりは?」
「あまり政治的なことはわからないけど......」
(まあ知力4だしね)
「隣国のアスワルドとは領土問題で対立してるわ」
(アスワルド...... あの盗賊の)
「あの国か。 民をないがしろにする国だ。 卑劣にも姫をさらう可能性はあるの」
不快そうにディルさまは吐き捨てるようにいった。




