第一話『女神ラリアットで始まる異世界召喚』
「ここは......」
そこは夜のように暗く、空に星がまたたく。
「えっ? ぼく確か自分の部屋で寝てたはず」
「うむ、そうだ」
その声で振り向くと、そこにぼくより年下の少女がいた。
「あの、こんなところで一人何をしているの? お母さんとかは?」
「何をいっとるか! 女神ラリアット!!」
少女はぼくにラリアットをした。
「ぐはっ! な、なに!? 女神!?」
「そうだ! こんな不自然なことが起こっとるのに何を呆けておる!」
「い、いや、でも...... なにこれは夢!?」
「ちがうわ!!」
自らを女神というその少女は、その小さな体でぼくを抱えると信じられない力でなげた。
「ぐふっ!!」
「女神投げっぱなしジャーマンだ! どうだ! 夢ではないだろう!」
「た、確かに痛い! 子供がぼくを投げられるわけ...... じゃあ本当に女神...... でもなんでぼくはここにいるの?」
「霞 透、そなたに我れとこことは異なる世界に共をいたすことを命ずる!」
「はっ、異世界!? いやですけど!」
そういうとぼくは女神に腰を捕まれ頭からおとされた。
「ぐあっ!! なぜジャーマンを!」
「たわけ! これは女神スープレックスだ!!」
「どっちでもいいですよ! なぜぼくがあなたと共にいかないといけないんですか!」
「これをよくみよ!」
女神は仁王立ちをした。
「? よくみてもわかりません...... がはっ!」
「女神モンゴリアンチョップだ!! 女神と言えば美しく気高い姿だ! このちんちくりんの姿をみればわかるだろうか!」
「ああ、子供の姿ってことですか。 それになんでプロレス技オンリーなんですか」
「元々わらわはハリウッド女優顔負けの顔とスタイルをしておった。 ルッキズムの頂点といっても過言ではなかった! それが力を奪われ、こんな姿に成り下がったのだ!」
「力を奪われた?」
「そうだ! 異世界のひとつで魔法が生活などに使われている。 その力の源泉はわらわの力なのだ」
「つまり異世界で魔法が使われた結果、その姿になったということですか?」
「うむ、それをたださねばならぬ」
「でも生活に根ざした力なら、やめさせるのは無理では?」
「わかっておる! 個人が使うならば奪われても大したことはない! 何かわからぬが巨大な力を使っておる! そのせいで! そのせいで! わらわはこんな姿に...... このままではわらわは消えてしまう! もはや滅ぼすもやむ無し!」
女神はそういって鬼の形相をしている。
(もう破壊神か邪神だろこれ......)
「でもそれとぼくとなんの関係があるんですか」
「直接はない!」
「ないんかい! いくらなんでも、理不尽でしょう!」
「しかし、これはお前のためでもある」
「ぼくのため?」
「そなたはあの世界では存在意義がない」
「存在意義がない!! ひどいじゃないですか! 確かにぼくは一人ですけど...... これからの人生、光り輝くときがあるかもしれない!」
「そんなものは永遠に来ない! あの世界のものには誰しも存在意義がある! だがお前だけはなぜかなにもない! ひとつもない!!」
「そ、そんな!! ひどい!!」
「だから、わらわの共をすればよいのだ。 そなたに力を授けた! このあと光り輝く未来がまっておる!」
「本当に!」
(さっきは未来があるみたいなことをいっていてけど、正直、このまま生きても大したことはないのは確信してるからな......)
「ちなみにどんな能力ですか?」
「ふむ【修正者】《コレクター》だ。 もう与えている。 念じて使ってみよ」
「コレクター...... 念じる」
ぼくはいわれたとおり念じてみた。
すると目の前に液晶画面のようなものが現れた。
霞 透
体力 6
筋力 4
知力 12
魅力 7
魔力 11
運力 3
「なんか画面に文字と数字がでた!?」
「ふむ、それはステータスだ。 そなたにしか見えぬ。 だいたい平均の人間は10ぐらいだな」
「平均10!! 知力と魔力以外、下回っている!!」
「ぎゃははははっ! それは困ったな! なればわらわをみてみよ! 50はあろう!」
(そんなにあるかな?)
ディルティナ
体力 20
筋力 20
知力 2
魅力 35
魔力 5
運力 32
「どうじゃ!」
「えっと...... 知力が2です」
「2!? 嘘を申すな!! 2などありえん!!」
「いえ、本当です」
「わらわ知力2...... えっ? 女神なのに、えっ? 虫...... わらわ、虫なの?」
すさまじく落ち込んだ。
「で、でも、体力と筋力は20! 魅力、運力は30オーバーですよ!!」
「そうだろう! 女神だからな! がーはっはっは! シュシュ」
すぐ立ち直ってシャドーボクシングを始めた。
(ふう、機嫌がなおった)
「よし! では参るぞ!」
「まって! まだいくっていってな......」
ぼくの体が光はじめる。
「まってーーー!!!!」
その声もむなしくぼくの体は光りに消えた。




