81 確認と今回の目当て
陽彩に確認するために連絡を取り、武器を新調するための素材を取ってくる話をした。
『え、採取して来てくれるならそれはありがたいけど、いいの?』
「うん。配信しようと思ったんだけど、その内容が思い付かなくてね。何かないかなって考えていたら、陽彩が武器を新調したがっていたなって思い出して」
『そういう理由なんだ』
「別に適当な素材を採取するのでもよかったんだけど、何か目的があった方がやりやすいから」
『まあ、取ってきてくれるなら助かるけどさ』
スマホ越しに返って来た反応から陽彩は武器を新調したいと思っていただけっぽいけど、とりあえず採掘してきていいみたいだから良し。
『どこのダンジョンに行く予定なの?』
「決めてないけど、陽彩は何の鉱石がいいとかある? 深層産だと少し時間かかるかもだけど」
深層まで行くってなるとまたおじさんに連絡を取って同行してもらう必要があるから、予定を合わせないといけないといけないんだよね。
この前連絡を取った時にしばらくは大きな予定はないって言ってたから、拒否されなければ数日以内には行けると思うけど、その分遅くはなるからね。
『うーん。そうだなぁ……』
それから陽彩とあれこれ話し合ってどの鉱石を使って新しい武器を作るのかを決めた。
陽彩の武器の元となる鉱石を採掘するため、箱根から少し北上した場所にある鉱山ダンジョンに向かった。
この鉱山ダンジョンは全国に存在しており、多くは昔鉱石を採掘していた跡地にある。基本的にもともと採掘されていた鉱石の種類によって採取できる素材に違いがある。
実はこの前行った秩父の山林ダンジョンの近くにも鉱山ダンジョンが存在していて、そちらも結構な人気を誇る。
今回向かっているのは鎌田の鉱山ダンジョンで、ここも割と珍しい鉱石を採掘することが出来るんだけど、ここでしか採取できない鉱石はないので人気はそこまで高くはない。
一応関東圏ではあるんだけどちょっとアクセスするのが面倒だから、そのせいだと思う。まあ、人が少ないのは配信するには助かるんだけどさ。
さて、今回採掘する予定の鉱石は2種類。クレセント鉱石とフィア鉱石の2つ。
クレセント鉱石は砕くと三日月のような形になる鉱石で、溶かしてから形を整え鍛造していくと非常に硬い金属になる。特に研磨すると非常に鋭い切れ味を生み出すことが出来るので、剣などの武器や刃物に利用されることが多い。
フィア鉱石はダンジョン産の鉱石の中でも上位に入る軽さと、そこそこの強度と粘り強さを持っている金属で、アルミニウムとほぼ変わらない重さでより強度があるため、アルミの代わりに使われることもある金属である。
今回はこの2種類の鉱石を合わせた合金を使って陽彩の新しい武器を作ることになった。
合金系はそこまで詳しくはないのだけど陽彩曰く、硬さと鋭さ、粘り強さを持ってさらに軽い金属は他にないらしく、武器を新しくするならこれを使って作りたかったらしい。
どちらも下層で採掘できる鉱石なので今回は同行者なしで向かっている。
話し合いが終わった後、陽彩が一緒に行った方がいいかって聞きかけてきたけど、私が最初に配信する予定って言ったことを思い出したらしく、すぐ撤回してきたのでちょっと笑ってしまった。
そんなこんなで鎌田の鉱山ダンジョンに併設されているギルドに到着し、潜ダン申請をしてからダンジョンの中に入る。
鉱山ダンジョンの中は名前の通り、坑道のようなフィールドになっていることが多い。
上層では大き目の車が1台どうにか通れるくらいの入り組んだ坑道と、その途中に存在している広めの空洞で構成されており、下の層へ行くほど空洞のサイズが大きくなっていく。
今いる鎌田の鉱山ダンジョンもこの構造のダンジョンである。
基本的に鉱石を採掘できる場所は空洞エリアになるが、坑道の途中にも採掘可能な場所は少なからず存在している。
目的の下層へ移動している途中、鉱山系ダンジョンではあまり見かけない素材を見つけたので、軽く採取していく。
「鉱山ダンジョンでマジッククレイがあるのって結構珍しいね」
シャベルを使って褐色のマジッククレイを採取していく。
色からしてマジッククレイのブロンズかな。ブロンズ系はマジッククレイの中でも量が取れるし価値が高い物ではないけど使い道が結構多いから、とりあえず会社の在庫の確保目的で見えるだけ採取しておく。
そういえばこの前湿地ダンジョンで見つけたマジッククレイの種類はシルバーだった。価値だけ見るとキロ300万くらいのものだったけど、記憶通りあのダンジョンで見つかったのは初めてだったらしくギルド職員の人が驚いていた。
ブロンズ系同様にマジッククレイのシルバーも特定のダンジョンで採取できるのでそこまで珍しい物ではないんだけど、あのダンジョンで採取出来たってのが驚きなのだ。
湿地ダンジョンのマジッククレイみたいにまだ見つかっていなかった素材って多分いっぱいあるはずなんだよね。ダンジョンが出来てまだ20年くらいしか経っていないわけだし、これからも似たような形でどんどん見つかるんだろうな。何なら新しくダンジョンが見つかるなんてこともあるだろうし。
「ま、こんなものでいいか」
あれこれ考えながら目に入る範囲のマジッククレイの採取しそれを鞄の中にしまい、さらに下層へ向かうために足を進めた。
次話は掲示板回になります。




