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71 次の内容

 

 動画の撮影をしようと思い立ってから2日。

 その動画を撮影するために自宅から少し離れた場所にある湿地ダンジョンがある場所へ車を走らせた。

 

 本当なら樹海ダンジョンが利用者の数や採取できる物とか条件は良かったんだけど、少し前に私が遭遇したダンジョン内の変化の調査がまだ完全に終わっていなくて、調査目的以外で潜ることが出来ない状態だった。


 ダンジョンの変化はもう完全に収まっているみたいなんだけどね。

 じゃあ、どうして入れないのかというと、最後の安全確認が長引いているのもあるらしいんだけど、どうにも海外の調査団がまだあれこれ調べているらしくて、その兼ね合いとかなんとか、問い合わせた時に少し愚痴っぽく言われた。


 まあ、その辺は仕方ないよね。今まで安定していたダンジョンがいきなり変化するなんて今までなかったらしいし、今後海外のダンジョンでも同じことが起きないとは言えないから、しっかり調べたいのは理解できる。


 そんなわけで今回は第2候補として考えていた、印旛沼近くにある沼地ダンジョンで動画の撮影をすることにした。


 今回の動画では最後の買い取りシーンを証拠として撮影したいから事前に連絡してギルドの許可を取っている。

 今までは買取証明書だけを撮っていたけど、どういう素材をどのくらいの量採取してこの金額になったというのはわからなかったから、今回はそこもしっかり見せたいと思ったんだよね。


 そんなわけで到着してすぐに沼地ダンジョンに併設されているギルドの中に入り、受付で潜ダン申し込みをして、そこで動画撮影に関する許可取りをした旨を伝えた。


「はい、瀬良朱鳥さんですね。上から連絡を受けております。許可が出ていますので、撮影の際は受け付けの者に声を掛けていただければ、できるように話を通しております」

「ありがとうございます。それじゃあ、ダンジョンに――」

「あ、ごめんなさい。もう1つ連絡がありまして」


 職員の人たちにもしっかり話が通っていることが確認できたので、このままダンジョンへ潜ろうと受付を離れようとしたところで、少し慌てた様子の受付さんが呼び止めてきた。


「えっと?」

「皆さんにお知らせしていることなのですが、近いうちに魔石の買い取り方法が変更になりますので、その説明を――」

「もしかして魔力量での買い取りに変わるんですか?」


 受付さんの言葉に思い当たる節があったため、被せ気味に言葉を発してしまった。

 

「あら、もう聞いていましたか」

「あ、ごめんなさい。あの、前にそうなるかもしれないと聞いていたので、もしかしたらと思って」


 半年くらい前に、大量の魔石の魔力量を正確に計ることが出来る装置が開発されて、それをギルドの買い取り装置にするかもって聞いていたんだよね。


 どうして私がこのことを知っているのかと言えば、トミー先輩がこの技術開発に関わっていたからなんだよね。研究のための素材の一部は私が提供していたから、その関係で少しだけ話を聞いていたのだ。


「そうでしたか。それでしたら説明はえっと」

「軽く聞いたことがある程度なので、お願いしても?」

「あ、はい。それでは説明しますね」

「ありがとうございます」


 受付さんから魔石の買い取り方法の変更点と注意するところの説明を受けた。

 

 今までの買い取りではサイズと質で値段が決まっていた魔石の買い取りが、新しい買い取り方法では魔石のサイズに関わらず、内包している魔力を計測してそれで値段が決まるようになる。


 サイズが大きく高品質な魔石を売りに出していた人にはそこまで影響はないが、上層や中層でも浅い層で取れる魔石を買い取りに出していた人にとっては影響があるとのこと。

 

 ただ、この影響というのは別に悪い意味ではなく、まとめて買い取られていた小さな魔石も正確に内包する魔力量を計測して買い取られることになるため、今までよりも金額が高くなりやすい、というよりも損しにくくなるってこと。要するにいい影響ってことだね。


 まあ、今までは小さな魔石を売ってもあまり儲けが出ない、持って帰って来ただけ損をするっていうのはダンジョンに潜る人たちにとっては割と常識で、小さいサイズの魔石の買い取り方法についてかなり不満が出ていたんだよね。


 でも、小さい魔石は質の確認が面倒だし、いちいち質を確認していたら無駄に時間がかかるから、質とか関係なく重さ×最低価格の少し上くらいで買い取り金額が決まっていたわけだ。

 それで、今回の変更でその最低価格の少し上よりも高い金額で売れる魔石を取ることが出来れば、今までよりも買い取り金額が高くなりやすいってことだね。


 これは儲けが出にくいってわかっていても小さい魔石を拾い集めていた、潜りはじめのコレクターやシーカーにとって結構な朗報だと思う。


 素材などの買い取り方法は今まで通りなので、魔石の買い取り方法の説明が終わり、受付さんにお礼を言って私は湿地ダンジョンへ向かった。




 ダンジョンに潜り始めたところで、先ほど受けた魔石の買い取り方法について考える。


 多分、買い取り方法が変わってすぐは反発みたいのがあると思うんだよね。少し前にギルドの買い取りシステム、買い取りカウンターの形やそれに合わせて買い取り手順が変わった時も、何かよくわからない荒れ方していたからねぇ。

 今思い出しても、あれは本当によくわからない。


 あの時とは違って今回は買取方法そのものが変わっているから、損し難くなるって説明されても信じない人は出てくると思う。


 こういう人たちに信じてもらうには実際にやってもらうのが一番いいのだけど。


「これも動画にしてみるのもありかな?」

 

 今回撮る動画の反響が良ければ、また動画として撮るのもいいかもしれない。よくなかったら普通に配信すればいいよね。

 とはいえ、損しないことを証明するには、前の買い取り方法と新しい買い取り方法を比較しないと難しいから、今回以上にギルドに協力してもらわないといけないけど。


「……ま、次のことを考えるのは今回の撮影が終わった後でいいか」


 そう独り言ちながら、私は目的の中層に向かって足を進めていった。

 


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