63 モンスターの卵ってどんなもの?
孵化装置の中に置かれている卵が見えやすいようカメラの角度を変える。
[マジで卵……だけど]
[これがモンスターの卵?]
[え、ちいさ・・・]
[普通にニワトリの卵じゃね?]
[……? これが?]
配信画面に映った卵を見て、想像していた物とかけ離れていたのか視聴者は戸惑っている様子。
まあ、モンスターの卵と言われてにわとりの卵サイズを想像することは普通しないよね。ダンジョンから持ち出す際の確認の時、この卵を見たギルド職員の人も同じような反応だったから、このサイズのモンスターの卵自体滅多にないっぽいんだよね。だからこれを見せてもほとんどの人がモンスターの卵だとわからないと思う。
「ちゃんとダンジョンの中で拾ったモンスターの卵ですよ。それでここから今回の配信に関わるところなんですが、ちょっとこの部分を見てください」
視聴者に気づいてもらうため卵に入っているひびを指し示す。
最初に確認した時よりもひびのサイズが大きくなっているため、カメラ越しでもわかり易くなっているはず。
[ひび入っとる!]
[ひびってことはそろそろ孵化する…のか]
[モンスター誕生の瞬間だあ?]
[これヒヨコが出てきたりしない?]
[本当にモンスターが生まれてくるんだろうか]
[ここから孵化するまでどんくらい時間かかるんだ?]
「ひびが入っているのを確認してから少し時間が経っているので、今からだと孵化まで1時間くらいでしょうか」
ひびが入ってから配信を始めるまで1時間くらいかかっているから、大体その位で孵化するはず。
孵化するまでは卵を見守ることになるんだけど、その間にずっと卵を見ているのも飽きるだろうから、モンスターの卵についての解説とかいろいろする予定だ。
[どんなモンスターが生まれてくるんだろうなぁ]
[後1時間ってむしろ早くね? 普通の卵だったは半日くらいかかるんじゃ]
[ケツァルのところで採取したのならケツァルの小さいのが生まれるんじゃないの?]
[いや、確かランダムとか聞いたことあるぞ]
モンスターの卵から生まれるモンスターって、ダンジョンの中に生息しているモンスターと同じ種類だったことは一度もないらしいんだよね。
「ダンジョンで拾う事ができる卵からどんなモンスターが生まれるのかって、法則性とかはまだわかってないんですよね。ただ1つわかっているのは、ダンジョン内で確認されているものとは異なるモンスターが生まれてくるということです」
[そうなの!?]
[そういう話もあるって聞いたことある]
[↑本当に知っているんだろうか]
[未確認モンスターが生まれてくるって事か]
「今確認されている限りはそうですね」
現在、正式に登録されている卵から孵ったモンスターの中に、ダンジョンの中で確認されている種類と同じモンスターはいない。ヨルさんも同じ種類のモンスターが発見されていないし、多分ダンジョンの中に出てくるモンスターと卵から孵るモンスターは別の種類なんだろう。
まあ、世界的に見ても珍しい存在だから、まだ見つかっていないだけの可能性も否定はできないけども。
「とりあえず、生まれるまで時間があるので、モンスターの卵について今わかっている範囲で軽く解説していきますね」
[たすかる]
[軽くでも解説してくれるのはありがたい]
[調べりゃすぐ出てくるけど、解説してくれるなら聞く]
[今パッと調べたけどあんま情報なかったぞ]
[あったけど孵化しなかったって内容だったし、書いてあるのほぼ仮説みたいな感じだった]
「ダンジョンの中で発見されるモンスターの卵の情報が少ないのは、国とギルドが安全性の確認ができるまで情報を出さないようにしていたのが理由ですね」
ヨルさんが生まれた時に聞いた説明ではそんな感じのことを言われたから、多分間違いはないと思う。
ただ、絶対に伏せろとまでは言われなかったから、ヨルさんが生まれた時点である程度安全かどうかの確認は済んでいたんだと思うけどね。
[ああー、何が生まれるかわからないなら安全かどうかもわからないのか]
[そもそも生まれてくるモンスターって懐くのか?]
[普通のペットだって人を襲う時があるからなぁ、確認は必要か]
[大型犬とかが人に襲い掛かったとか、毎年数件は起きているからな。モンスターになればなおさらだわなぁ]
[モンスターってダンジョンから出てこないから気にならないけど、どんな形であれ地上にモンスターが居るっていうのは不安になるな]
「そうですね普通のモンスターは人を襲う存在ですから、安全かどうかの確認はしっかりしていたのだと思います」
そもそもダンジョンの中に居るモンスターは基本的に襲い掛かってくる存在だから、一般的なイメージはかなり凶暴な存在だ。そんな存在がいきなり地上に出てくるとなれば不安に思う人はそれなりに出てくると思う。
その不安を払拭するために国とギルドが安全性を確認していたって感じだね。
さてさて、コメントに対する返しをしていても解説に進めないので、コメントの返しはここでいったん止めて本格的に解説していこう。




