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51 配信前準備

 

 深層の12に到着し、安全に採取と配信ができるように周囲のモンスターを処理していく。下層に比べて強いモンスターが多い深層ではあるけど、深層でも余裕で活動しているおじさんもいるため、手際よくモンスターの数を減らすことが出来ている。


「お前のスキル、本当に規格外だな。触れただけで倒せるとかモンスターからしたらたまったものじゃないだろ」

「一応限界はあるけどね。それに、おじさんのスキルもできること多くてうらやましいよ」


 おじさんの持っているスキルって本当にできることが多いんだよね。戦闘だけじゃなく補助もできるし、かなり優秀な万能型のスキルなのだ。


「じゃあ朱鳥が使うか?」

「いやぁ、それはちょっと私には似合わないと思う。そのスキルはおじさんが使うことで輝くものだから、私が使うのは…ねぇ?」


 私を揶揄(からか)うようにおじさんは薄っすら悪い笑みを浮かべてそう言い、私も同じような感じでそう言い返した。


 こういうやり取りは昔からやっているもので、お互いに厨二スキル持ちだから押し付け合いというか、不幸自慢に近いやり取りだ。まあ、お互いにスキル名以外は気に入っているしね。


 まあ、そもそもスキルの譲渡は才能を他者に与えるようなものなので、そんなことは地球が反転してもできるようなことではないんだけどね。

 本当にスキルの譲渡が出来るなら、適当な攻撃スキル貰ってシーカーの資格を取りに行くんだけどなぁ。


「さてロウ鉱石の周囲にいたモンスターもあらかた処理したし、あとは配信の準備をするだけだな」

「予定していた時間も近いし急いでやるね」

「多少遅れるくらいなら問題ないからしっかり準備しろよ。雑に準備して何かあったらそっちの方が面倒だからな」

「そうだね」


 今日の配信はヨルさんがやってくれるから、ドローン関係の心配はない。

 今まで背中の専用鞄の中にいたヨルさんを外に出す。鞄の中で寝ていたのかヨルさんは眠そうに鳴くと、もそもそと私の体をよじ登り頭の上でくつろぎ始めた。


「こいつがあの時の卵か」

「うん、そう」


 ヨルさんは半年前、今回と同じくおじさんと一緒に深層へロウ鉱石とテレジア鉱石を取りに来た時、とあるモンスターからドロップした卵から生まれたのだよね。

 この前ケツァルコアトルスの巣で同じ卵を手に入れたけど、あれとは入手方法が違うんだよね。


「写真と動画では確認していたが、こいつの種族ってなんだ? 見た目的にドラゴン系だと思うが、こんなモンスター見たことないぞ」

「私もないし、そもそも卵から孵ったモンスターってダンジョンの中に生息しているものと少し違うらしいんだよね」


 世界的にダンジョンの中で見つかった卵から孵ったモンスターってそれなりの数がいるんだけど、どの子もダンジョンに生息しているモンスターと同じ存在っていないみたいなんだよね。

 ケツァルの巣にあった卵から孵るのはどんな子になるんだろうね? 

 

「配信中のカメラ持ちってこいつに任せるらしいけどちゃんとできるのか? 体の構造的にはカメラを持って飛ぶことも可能そうだが」

「普通にできるよ。しかも、普通のドローンよりも動きがいいらしいし。それにこの見た目で私を掴んで浮かせられるくらい結構力持ちだよ」


 桜島ダンジョンで使ったドローン結構いい物だったんだけど、当たり前のように撮影しているのがヨルさんじゃないことに気づいた人がいたからなぁ。

 あとヨルさんはかなりの力持ちなんだ。尻尾含めても体長50センチくらいで私の頭の上に乗っても問題ないくらいのサイズだけど、私くらいなら余裕で飛んで運べるくらいには力持ちだし飛行能力もある。さすがに筋肉質で体格のいいおじさんまで行くと難しいとは思うけどね。


「なるほどなぁ。まあ、ちゃんと撮影できるならいいさ」


 そう言いながらおじさんはヨルさんのことをじっと見つめている。

 前回卵を見つけた時は興味なさそうだったけど、ここに来て興味が出てきたのかな。


「おじさんもヨルさんみたいなモンスターに興味出てきたの?」

「まあな。この前軍艦島の前線会ったやつがこの手のモンスターを連れててな、割といい感じの能力だったから」

「人のを見て欲しくなっちゃったやつね」

「ぶっちゃければそうだな」


 便利なものを他の人が使っていて自分も欲しくなるのはよくあるので、興味を持った理由はわかった。


「おじさん万能なんだからそこまで必要ないと思うけどね」

「まあ、そうなんだけどな」

「うーん、本当に欲しいのなら今1つ孵化させようとしているのがあるから、それをおじさんに上げてもいいよ」


 ヨルさんの友達として迎えるつもりだったけど、本当に欲しいのであれば譲ってもいい。おじさんなら雑に扱わないと思うし。本当に欲しいならだけど。

 少しあの卵からどんな子が生まれてくるのかは気になるから、孵化するときに立ち合いたいとは思うけど。


「お前、2つ目見つけたのか?」

「ううん、違うよ。今言ったのは3つ目で2つ目はさすがにギルドに渡した」

「運どうなってるんだよ。国内でも発見例そんなにないんだぞ?」


 本当になんで3つも見つけているんだろうね? ただ、この卵の発見数ってあくまでギルドに報告されたものだけだから、もしかしたらもっと見つかっている可能性はある。というか、視界に入ってもスルーしている人もいるかもしれないんだよね。物によっては見逃すくらいのサイズもあるってこの前わかったし。


「それでいる?」

「いやいい。自分で見つけるさ。それにあんまり渡したくないんだろ」

「まあ、うん」


 本当に欲しいなら上げるけど、何となく欲しいとかだったら絶対に上げるつもりはないからね。


 おじさんと話をしながら配信の準備を終わらせ、あとは開始ボタンを押せば配信を開始できる状態になった。


「それじゃあ、さっきも聞いたが俺が出るのは最初からでいいんだな?」

「うん」

「ならお前の合図に合わせて登場するから最初は適当に紹介して、それから俺が話始める流れ」

「それでお願いします」

「了解」


 おじさんの返事を聞いてからヨルさんに指示を出してスマホを操作し、配信開始ボタンを押して配信を開始した。

 

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