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48 配信の反響

投稿予約忘れていました。

申し訳ないです。

 

 桜島ダンジョンから戻り1週間ほど。

 社長から呼び出しを受けてメフィクスに向かい社長室に入ると、両肘を机に置き手を組んだ状態で神妙な顔つきをした社長がそこにいた。


「えっと社長。呼び出しを受けたので来ましたが、何かありましたか」


 明らかに何かありますと言った雰囲気を醸し出している社長に少し尻込みしながら聞く。様子からして何かあったみたいだけど何なんだろう。会社の様子はいつも通りだったけど。

 

「急に呼び出してごめんね。大学も行かないといけないのに」

「それは大丈夫だけど、何かあったんです?」


 講義の出席日数は足りているし、出なきゃいけない講義も直近にはないからそこは問題ない。そもそも今日は講義なかったから本当に問題ないのだ。


「ないのよ」

「え?」


 さすがにそれだけでは何がないのかわかるわけもなく、私は理解できず短く言葉を漏らした。


「足りないの」

「何がです?」

「魔石が足りないのよ」

「魔石?」


 魔石ならこの前まとまった量を取ってきたはずなんだけど、足りないってことはそれもなくなっちゃってこと? あれだけ持ってきたのになくなったって何があったんだろう。


「この前採取してきた魔石、もうなくなっちゃったんですか?」

「いえ、まだあるにはあるのよ。ただ、想定よりもなくなるスピードが速くてね。朱鳥ちゃんが今月初めに取ってきてくれた魔石がそろそろなくなりそうなのよ」


 ああ、在庫の魔石が足りなくなりそうってことか。

 でも今月初めって言うと2週間ちょっと前に採取したやつだよね。おそらく私が初めて配信した日のやつだと思うんだけど、あの時結構な量の魔石を採取してきたと記憶しているんだけどな。


「あれ、もうなくなりそうなんですか」

「もう半分も残ってない感じね。その後に取ってきてくれた魔石があるからすぐに底をつくってわけじゃないけど、在庫ギリギリの状態にしておくわけにはいかないし」


 魔石はいろいろなものに使う素材だから結構なくなるのが早いんだよね。だから毎回結構な数を持って帰ってきてたんだけど。


「今までならこんなに早くなくなるなんてことなかったですよね?」


 私がメフィクスで働き始めてからここまで早く魔石が消費されたことはなかった。トミー先輩が魔石を大量に使う実験をするときは別枠で採取してきたし、ここのところそのような実験をしているとは聞いていない。


「今まではそうね。でもこれからはこのくらいの速度で消費されそうな感じなのよね。これ見てもらってもいい?」


 社長は組んでいた手を解きながらそう言うと、デスクの上にあったノートPCの画面をこちらに向けてきた。それに表示されていたのはメフィクスの商品を直接販売するページだった。

 そしてそのページに表示されている商品のことごとくが売り切れ状態になっていた。


「え、全部売り切れって」


 数が作れない鞄などの商品ならともかく、数が作れる魔力バッテリーすら売り切れ状態になっているのはどういう事なんだろうか。

 改めて社長の顔を見れば少し疲れたような顔をしていた。


「ここ数日こういう状態でね。作っても作ってもすぐに売り切れちゃって、この前はサイトが落ちかけたし。朱鳥ちゃんが配信を始めた影響なんでしょうけど、まさかこんなに効果があると想像していなかったわよ」

「これ配信の影響なの? というかサイトが落ちかけたって」


 今までこんなことはなかった。そもそもサイトが落ちるような状況もなかったし、それが私の配信の影響って言われても実感はない。


「魔力バッテリーの売り切れは確実に朱鳥ちゃんの配信がきっかけね。まあ、すぐに売り切れるのは転売目的で買っている奴らがいるからみたいだけど、個数制限を付けてもすぐに売り切れるからそれ以外の人も買ってくれているみたい。購入者を調べてみたらリピーターもかなりいるみたいだし」


 メフィクス製の魔力バッテリーを紹介したのは最初の配信だと記憶しているけど、まさか売り切れになるほどになるなんて想像していなかった。


「そうだったんだ。という事は魔石を取ってくれば……って、作ってもすぐに売り切れになるってことは生産数が足りていないってことなんじゃ?」


 メフィクスにある魔力バッテリーを製造する機械は1台しかない。採取する魔石の数を増やしたところで一度に作れる数には限界があるから、在庫不足の解消はできないのでは? 


「それは大丈夫。もう1つ製造ラインを発注しているから。それが稼働するまでしばらくは売切れが続くでしょうけど、それも数日以内にどうにかなるはず。問題は魔石。ラインが増えればその分作る量が増えるから今まで以上に取ってきてもらわないといけないのよ」


 今まで魔力電池を作る機械は1台でどうにかなっていたけど、これからは2台になるのか。そうなれば単純に魔石の消費量は倍になる計算だし、今まで取ってきていた倍の量を採取する必要があるわけだ。


「会社としてはうれしい悲鳴ってところなんだけどね。負担をかけることになっちゃうけど大丈夫かしら」

「魔石の採取自体そこまで負担だと思ってないので大丈夫です」

 

 魔石自体は他の素材を採取するついでに取ってこれるからそこまで負担ってことはない。ただ、量を取ってくるとなれば他の素材を採取して持って帰ってこれる数に影響が出るかもしれない。


「今の状況だと朱鳥ちゃんばかり負担を強いることになっちゃうから、他にも採集家を迎え入れるべきなんだろうけど、そっちもすぐにってわけにはいかなくてね」


 一応メフィクスには私以外にもコレクターは所属しているけど、会社の規模もまだまだ小さいし、給料のこともあるからそう簡単にコレクターを新しく雇うわけにも行かないんだろうね。

 それに質のいい商品を作るってなると、それなりの腕を持ったコレクターじゃないといけないし、腕のいい野生(無所属)のコレクターって本当に少ないんだよね。

 

 

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机に肘をついて… 碇ゲンドウのポーズ。 売り切れに… 朱鳥に広告料を払わないと(笑) 収集家コレクターを増やさないと… 「どこかに優秀な収集家落ちていないかなぁ。」 「収集家なんて、攻撃スキルが無…
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