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33 私の進む道を阻むものは全て解体してやるとか言ってみる

 

 上層の10の奥へ進んでいく。

 基本的にゲートキーパーとしての役割を持っているモンスターは、下の層へ移動するための入り口の前に陣取っていることが多い。

 このダンジョンでも例にもれず、その近くで待機していることが多い。


[おるかな]

[おれ]

[おるよな?]

[変な三段活用みたいになってるの草]


「いー…ますね」


 桜島ダンジョンの上層の10と中層の1をつなぐ入り口はこの階層にある窪地に存在している。

 他の場所に比べて低い位置にあるため、そこそこ近づかないとゲートキーパーの存在を確認することができないので、そこを覗き込むように確認するとゲートキーパーであるモンスターが入り口の近くで寝そべっているのが見えた。


「それじゃあ、サクッと倒して先に進みましょうか」


[サクッと(文字通り]

[実際ゲートキーパーに解体神効果あんの?]

[なかったら下層にも潜れないだろ]

[それもそっか]

[でも、体のデカいモンスターにどれだけ効果があるのかは気になる]


 ここで解説してもいいんだけど、説明に時間を使うよりも見せたほうが早い。


 窪地に足を踏み入れるとゲートキーパーモンスターが私の存在に気づく。

 ゲートキーパーは他のモンスターと異なり、目や鼻、音で敵対者を判断することはなく、特定の範囲に入ることで敵対者を感知する。このゲートキーパーに関しては窪地の中に足を踏み入れることで敵対者を感知するようになっている。


 犬とトカゲが融合したような見た目のモンスターが私と敵対状態になったことで寝そべっていた状態からゆっくりと体を起き上がらせる。

 ゲートキーパーとして存在しているモンスター故、普通のモンスターよりも大きな体躯を擁しているそのモンスターはまだ20メートル以上離れているはずなのに、大きな存在感を示していた。


 まあ、上層にいるゲートキーパーだからそこまで強くはないんだけどね。上層で出現するモンスターの中では一番強いし体のサイズが大きいから威圧感はあるけど、所詮は上層のモンスターでしかない。


「それじゃあ、行きますよ」


 そう私が声を出したのとほぼ同じタイミングでゲートキーパー、ラケレスドッグがこちらに向かって勢いよく跳躍してきた。


[跳躍力すご]

[ここのトカゲ犬上層のゲートキーパーとしては強い方なんよな]

[速くてデカいは戦いの中では正義。ただし( ^ω^)・・・]

[こいつ顔キモイな]

[トカゲと犬が混ざった顔だから微妙に怖いよな]

 

 正面に来るモンスターにスキルを使ってしまうと、解体した後に出る素材をもろに食らってしまうので、一回ラケレスドッグの攻撃を回避し、着地後の方向転換の隙をついて解体ナイフを刺す。


 近づいて行った私のことを振り返りながらガロロと呻きにらみつけてきたラケレスドッグは、解体ナイフに触れた瞬間素材となりばらばらと地面に落ちていった。


[瞬☆殺]

[正面からはさすがに受けなかったか]

[本当に理不尽なスキルだな]

[トカゲ犬死す]

[ワ ン パ ン]

[だから逃げろって言ったのにw]


 チャットのコメント達がワイワイしているのを確認しながら周囲に転がっている素材を回収していく。


 このモンスターの素材は皮は強度が高いから帆材とかに使えるけど、それ以外の素材の使い道はあまりない。大量に落ちている肉もそこまでおいしくないし骨もそこまで硬くないので放置するのが一般的だ。ただそのまま放置しておくと他の人の邪魔になるから回収はする。一応肉はヨルさんが食べてくれるし、最悪余っても植物用の肥料に加工することもできるから無駄にはならない。


「こいつは皮素材が結構いい値段になるので、きれいに倒せたら素材として回収してもいいですね。魔石もそこそこ大きいのでこっちも悪くないです」


[体デカいと魔石も大きくなるからな]

[皮ははぐのが面倒なんよね]

[一瞬で皮と肉になってくれるなら回収してもいいんだけどな]

[純粋に皮剥ぐのはグロいからあまりしたくないんよね]

[魚とかならまだしも犬型のモンスターの皮ってなると無理]

 

 まあ、サイズも大きいしトカゲっぽい見た目だけど、形は犬だから剥ぎ取り中の見た目最悪なんだよねぇ。皮剥いだらトカゲ感も薄れるし。


「まあ、私もスキルなしで皮を剥ぐのはちょっと遠慮したいですね。それならある程度のサイズに切り出して、そのままギルドに持ち込めば買い取ってくれると思いますよ」


 そもそもシーカーたちは自分たちで倒したモンスターを解体することはあまりしないので、ギルドも適当に持ってこられたモンスターを買い取って、そこから解体するのが一般的。そもそもしっかり解体してから売りに出してくるシーカーの方が稀である。


[上層のモンスターだと金になることが滅多にないから持っていくのもね]

[わりに合わんのよね]

[そもそもその皮いくらになるん? あと魔石]

[ゲートキーパーってクソデカサイズだから持って帰れないことの方が多いんよ]

[だからある程度のサイズにしてって言ってるんじゃろ] 


「今のやつでまあ…150万ってところですかね?」


 過去、解体して売り出した時の値段を思い出す。あの時は他の物もまとめて買取に出したので正確な値段はわからないけど、おそらくこのくらいの値段だったはず。


「魔石の値段は質とサイズに依存するので、このサイズだと50万ってところでしょう」


[150万円が高いのか安いのかわからんな]

[ゲートキーパー1匹で200万と考えれば安いほうではある。が上層のモンスターと考えれば破格の値段でもある]

[普通のシーカーが売った場合はこれより安くなるって考えると微妙な気はする]


「皮はサイズが小さくなるほど買取価格は下がってしまうので、1メートル四方サイズだとうーん…20万行くかな。正確な値段はちょっとわからないですね」


 このモンスターから取れる皮のサイズは大きくて3×2メートルサイズ。そこから考えるともっと安いかもしれない。


[正確にわかるのはギルドくらい]

[そも、朱鳥ちゃんは最大サイズ以外で買い取りかけたことないだろうしな]

[魔石はやっぱその位になるんだな]

[十万以上になるなら全然ありじゃね?]

[雑魚狩って魔石集めたほうが多分金になるんじゃねぇか]


 ゲートキーパーは他のモンスターよりも復活が早いと言っても同時に一匹しか出現しないし、その間に手ごろなモンスターを狩ったほうが楽でお金も稼げる可能性は高いね。


 さて軽く解説もできたし、ここにとどまり続けても時間が無駄になるだけだから中層に行こうか。


[朱鳥ちゃんって何か口上とか考えてんの?]

[決め台詞的な奴欲しい]

[黒歴史にしかならんからやめとけ?]

[あるなら聞きたい気はする]


「ん?」


 移動し始めようとしたところでチャットを見たらもう素材に関するコメントは少なくなっていて、関係ない話題のコメントが流れていた。


「決め台詞……ですか。うーん、私の進む道を阻むものは全て解体してやる! とかですかね。言うつもりは一切ないですけど」


 配信始めの口上はその内考えたほうがいいと思う。決め台詞は今適当に考えついたものを言葉に出してみたけど、何か違うような気がする。これだと無駄に思いあがっているような感じだし無しだよね。そもそも決め台詞って必要ないのでは?

 

[つよい]

[草]

[文字通りのことができるのやべぇわ]

[こぅれは強者]


 何か草とかwの文字が大量に流れているけど、面白いと思ってくれたのなら、まあよかったかな。

 


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邪魔するやつは指先一つでダウンさ♪
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