18 配信の終わりに
本日2話目の更新になります。
「このくらいの魔石なら他のコレクターでも取ってこれる人はいますよ」
[ま?]
[知り合いにコレクター居ないから確認取れない]
[一人しか採取できないようなものはギルドは買い取らないからなぁ]
[うーん]
まあ、これに関しては確認の取りようがないから信じてもらえないのは仕方ない。証明する方法もないしね。
「この比較で私が何が言いたかったかと言えば、魔石に限らず素材は取り方によってかなり変わるということ。そして、その方法を探究しているのがコレクターであること。
最近だとコレクターは人気がなくて下に見られがちな職だけど、いいところもちゃんとあるってことを知ってほしい」
[コレクターのいいところってどこよ]
[いいところなしのコレクター。これ常識ね]
[いいところって言われても何も思い浮かばない。ただ悪いとこも思い浮かばないけども]
今回の配信はこの前の動画とかの説明がメインで、コレクターについての話は少なめだったから魅力らしい魅力を伝えることは難しいことはわかってた。
もっとしっかりやっても良かったんだけど、今回はあの配信とスキルの説明をするのが主だったからそれ以外の物は少なめにした。それにこういうちゃんとした配信は初めてで慣れていないから、長くやるのは不安だったのもある。
「少しでもコレクターについていい印象を持ってほしい。上に見てほしいわけじゃないんです。ただ、コレクターってだけで馬鹿にする人が少しでも減ってくれたらうれしい。
今回私が配信をしたのはそれが言いたかったからです。すぐにとは言いません、少しずつでも今の認識を変えていってほしい」
[あー。なんで配信するんだろうと思ってたけどそういうことね]
[コレクターはコレクターだしなぁ]
[取り方で魔石の価値が変わるのはわかったがコレクターだからいいかっていうとねぇ。わかっていればシーカーでもできるし]
[無駄に見下そうとしているやつが多いのは知ってる]
[馬鹿にしてはいないが、ポーター以上に目立たないからなコレクター]
[シーカーになれるならコレクターになる必要ないから下に見られても仕方ない]
やっぱりコレクターに対していい感じの印象を持っている人は多くないみたいだ。一応コレクターのことを見下していない人もちらほらいるみたいだけど、やっぱり馬鹿にしたようなコメントが目立っている気がする。
「今回は軽くしか紹介できませんでしたが、今後も配信は続ける予定です。配信内容の説明は近いうちに概要欄にまとめておきますので、気になる方はそちらを確認してみてください」
[了解]
[次はどうかなぁ]
[配信続けるんだ]
[モンスター倒しまくるやつなら見てみたい]
[まあ、がんばってね]
あまりいい反応は見当たらないけど、言わないと今回限りで終わりって勘違いされちゃうかもしれないから、しっかりしておかないといけない。
「これで今回の配信は――、ちょっと待ってくださいね。あとちょっとだから邪魔しないでくれないかな?」
配信を締めようとしたところで、高速でこちらに迫ってきたモンスターがいたので、解体しておく。
[これよ]
[締めのタイミングで襲ってくるモンスターエンタメ分かってるな]
[瞬殺過ぎて声も上げられずに解体されるモンスターがかわいそうになってくる]
[こういうのが多いなら配信見るんだけどな]
「えっと、次の配信の予定は決まってませんが近いうちにする予定です。気になる人はチャンネル登録はそのままにしてくれると気付きやすいと思います」
想定外にモンスターが襲い掛かってきたけど、とりあえず締めの一言を言った後、次回の配信について言及してから配信を止める。
配信を止める直前にちらっと確認した時、配信を見ていた人の数は36000人と少し。私が見た一番多かった時の半分近い人数まで減っていた。
「ふぅ」
最後予定していた展開から全く違うものになってしまったけど、あれで大丈夫だったかな。
「ヨルさんもお疲れ様」
「がう」
配信を手伝ってもらっていた子を労ってからカメラを回収する。代わりに報酬として先ほど手に入れたモンスターの肉を渡す。ヨルさんはそれをおいしそうにもぐもぐ食べ始めた。
今回の配信はアーカイブとしてチャンネルページに残っている。すでにこの配信について感想が書き込まれているけど、ちょっと怖くてすぐに確認することができない。
とりあえずこの場で確認はしないで家に帰ってから見ることにしよう。
「もうちょっと言いたいことがあったんだけどなぁ。配信って難しい」
コメントの流れを見ながらあれこれ返していたら、予定していた内容をいくつか飛ばすことになってしまった。無理に話を繋げても不自然すぎておかしくなってしまうし、あれはどうすればよかったんだろう。
「うーん。まあ考えるのは帰ってからにしよう。とりあえず、素材を採取しながら帰ろうか。ヨルさん行くよ」
貰ったお肉を夢中でもぐもぐしていたヨルさんに声をかけて、帰りがてら素材を採取しつつダンジョンの上に向かって足を進めていった。
次話はこの配信を見た視聴者による掲示板になります。