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14 ユニークスキルは厨二の匂い

本日二話目の更新になります。

  

 ダンジョンの構造は地下へ続く階層によって作られている。基本的に上層、中層、下層、深層と区分され、各ダンジョンの深さによって各層の数は異なる。

 層の数え方は、区分ごとに上層の1~〇、中層の1~〇のように呼び、全体を通しで数えることはあまりない。


 そして今私がいる奥多摩ダンジョンは、上層が20層。中層が30層。下層が50層存在している。その下の深層は正式に記録されている情報では48層目まで到達している。しかし、そこが最下層というわけではなく、それよりも下の層はまだ到達していないだけで存在しているらしい。


[モンスター全然出てこないから上層のどこかだと思ってたんだけど?]

[さすがに嘘だな]

[奥多摩の下層、しかも46ってことは深層の近くだし、そこでのんびり配信するとか自殺行為でしかないんよ]

[俺もモンスター出てこないから結構上の方の層かと思ってた]


「うーん、こればっかりは証明する方法がこれから出てくるモンスターで判断してもらうことくらいしかないですね」


 ダンジョンの階層は層と層の移動ルートにしか目印がついていないから、ここが何層目かを証明することがかなり難しい。

 一応大雑把にどのくらい深い位置にいるかを把握する方法はあるんだけど、本当におよその位置しかわからないからそれで証明するのは難しいんだよね。


「それとモンスターが出てこなかったのは事前に周囲のモンスターを間引いていたからです。説明しているときに出てこられても邪魔なので」


[そのあたりの階層モンスターはそう簡単に間引けるような存在じゃないんだけどな]

[あのスキル使えば難しくないか。あの動画だと深層のモンスターも即殺出来ていたし]


 スキルの説明するためにモンスターを探していくらか歩いたところで、少し先にモンスターを発見した。


「この先にモンスターを見つけたので、近づいて戦う前にスキルの説明をしますね」


[え、いる?]

[見えないけど、カメラ性能のせいかね]

[気のせいじゃない?]


「100メートルくらい先の地面に同化しているので映像だとわかりにくいかも」


[イルカ?]

[キュイキュイ?]

[いなくね]

[ちょっと地面が膨らんでいるところがあるからそれかな]

[何だ今の]


 私の視線の先には大型のトカゲ型モンスターが地面に張り付くようにじっと獲物を待ち構えていた。

 こいつは奥多摩の下層の40以降にしか生息していないモンスターなので、とりあえずさっき私が言ったことの証明にはなるだろう。


「それで、えっと。私があの動画の中で使っていたスキルは『解体神』っていうユニークスキルです。名前の通り解体系のスキルで、効果は解体用の道具でモンスターに触れるとそのモンスターを解体するっていうものです」


[はい?]

[解☆体☆神!w]

[なんて?]

[やっぱユニークスキル……いや、なんて???]

[ユニークスキルって変な名称のもの多いから……]


 別にこのスキル名私がつけたわけじゃないし、もう気にならなくなったけど改めて指摘されると複雑な気持ちになる。他にも変な名前のユニークスキルを知っているけど、このスキル名は特に厨二臭がするからあまり好きじゃないんだよね。


[触れただけで解体ってすごいな]

[解体用の道具って縛りがあるみたいだけど、効果が強すぎる]

[触れさえすればモンスター殺せるとか頭おかしい]


 そうカメラに向かって声をかけてからモンスターのいる場所に向かって走り出す。

 説明しているときはこちらの存在に気づいていなかったモンスターだったが、私が走り出したことで存在に気づいたようで、こちらに向かって攻撃を仕掛けてきた。

 

[待って、そいつスナイパースケイルリザードじゃん!?]

[まずいですよ]

[鱗飛ばしてくるやつじゃん]

[前に配信者がこいつに攻撃されて死にかけてたな]


 こいつは近づいてきた獲物に向かって尻尾に生えている鱗を飛ばしてくる面倒なモンスターだ。その攻撃自体はそこまで早いわけじゃないから躱すのは難しくないんだけど、普段からじっとしているので気づかずに近づいてしまい攻撃を食らってしまうことか結構あるのだ。

 しかも厄介なことにこの鱗には毒があって、当たると麻痺状態になってしまうのでかなり危ないモンスターなのだ。


 まあ、気づいていないと危ないけど、気づいていればどうとでもなる相手なのでさっと近づいてサクッとやってしまおう。


[動き早い早い!?]

[鱗飛んできてるけど大丈夫!?]

[今までのんびり移動してたのに突然の高速移動で酔いそう]


 飛んできた鱗を解体ナイフで弾く。

 この攻撃は連続で撃ってくるものではないので、一度躱せればしばらくは気にかけなくても問題なくなる。


 そして一気に接近してスナイパースケイルリザードの額に向かって解体ナイフを振り下ろした。

 

[ナイフで鱗弾くとか]

[マジで動きが早い 何かスキルでも使ってんのか]

[トカゲが一瞬で素材になった]

[切り抜きでも理解できなかったから見に来たけど、やっぱり理解できなかった]

[えぐい]

[ユニークスキルってやっぱおかしいよな]


 チャット欄が解体神の効果に困惑している傍ら、私はばらばらに散らばった素材を回収することにした。

 


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