表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/110

90 討伐と疲労

 

 

 全身に魔力を巡らせ、疑似的に身体強化スキルと同じように体を強化する。

 これを使うと体にかなりの負担になるからできれば使いたくなかったのだけど、そんなことを言っている状況ではなくなった。

 

 さっきはビャクさんのフォローでどうにかなったけど、あれが無かったら最悪の可能性もあった。本当にこいつをどうにかしなければ生きて帰れるかも怪しい状況なのだ。


[あの火はビャクのやつか]

[かなり危なかったぞ今]

[だからさっさと逃げろと]

[逃げることが出来たのならとっくに逃げていると思いますよ]

[結果論なんていうだけ無駄なのだ]


 先ほどナイフを当ててから本当にモンスターの隙が少なくなった。おそらく一度攻撃を食らったことで、私の持っているスキルがどんなものなのかを把握したのだろう。


「見た目に反して知能がある敵は本当に厄介だね」


 できればさっさと解体して地上に帰りたいけど、そう簡単にはいきそうにない。

 

 受け身でいるといつまで戦い続けなければいけないのかわからないため、少し無理をし魔力で強化した動きでモンスターに肉薄する。

 これまでよりも速く動いたことでモンスターの隙を突き、再度ナイフを当てることに成功する。しかし、まだスキルの効果は発動せず、モンスターにもまた距離を取られてしまった。


「さすがに2回じゃダメか」


 できればこの一回で解体まで持っていけたらよかったのだけど、さすがにイレギュラーモンスターとなればそう簡単にはいかないようだ。

 

[まだ死なない]

[はよ解体されてくれ]

[油断すると即殺されかねないってやべえな]

[同接激増してんの草ァ!]

[さっきまで1000人ちょっとだったのに軽く5万超えてるの野次馬多くて草です]


 再度フェイントを挟みつつナイフを当てに行き3度目、4度目とナイフを当てることに成功。しかし、まだ蓄積量が足りていないのかその姿は健在のままだ。


 あと何度当てればいいのか。そう少しの焦りが出てくるが、ふとした拍子にフェイントを挟んでくるような相手なのだ。冷静な判断が出来なければ負けるのはこちらだ。


 クールタイムが終わったのか、また爆速突撃を繰り出してくる。さすがに今回はフェイントされることも加味して大きめに回避する。先ほどとは異なり、さらに通常の高速突撃を追加した2段階攻撃だったが、警戒していたことで何とか対処することが出来た。

 そして、その攻撃の後にある隙を見逃さず、ナイフをモンスターの体に突き刺す。それだけではまだ効果が発揮されなかったため、今度は距離を取ると同時に切りつけた。


 するとそれで許容量を超えたのか、モンスターの体が一気に崩れ、素材となり地面に落ちていった。


 モンスターがようやく解体できたことで全身に巡らせていた魔力を落ち着かせる。無理やり魔力を使って体を強化していたため、一気に体が重くなる。


[勝った! 完!]

[解体成功!]

[1人で倒せるってやっぱそんなに強い敵ではなかったのでは?]

[一撃でも貰ったら即4しかねない相手が強くないわけないだろ]

[倒せて安心した]

[すぷらった配信にならなくてよかった]


 何とかイレギュラーモンスターと思われるヘビ型モンスターの解体に成功した。

 下層で深層クラスのモンスターと戦うことになるとは想定していなかったため、体の疲れと共に精神の疲労もどっとのしかかってくる。


「どうにかなったぁ」


 安堵からそう声が漏れる。


 何度か危ない瞬間があったけど、どうにか切り抜けることが出来てよかったよ。

 この後この状態で地上まで戻らないといけないのだけど、なかなか心体ともにだるくてあまり動きたくはない。だが、このままここに居続けることはよくないので、頑張って地上に戻ることにしよう。

 地面にころがったモンスターの素材を急いで拾いながら、手招きでヨルさんを呼ぶ。


「さすがに疲れたので配信はとりあえずここまでにします。今回の戦いなどについては後日配信した時にでも話すことにします」


 ヨルさんが近くまで来てからカメラの向こうに居る視聴者へそう話しかける。

 モンスターも倒して切りもいいし、これ以上配信を続ける意味もないから配信で流すのはここまでにしよう。


[遠目でわからなかったけど、すげえ疲れた顔してんじゃん]

[あの動き何ですか!?]

[明らかに強化系のスキルがある様な動きだったけど…聞くのは今度かな]

[お疲れ様です]

[帰りも気を付けてな]


 スマホを開いてチャット欄を確認するといくつも質問コメントが流れてきていたけど、今はそれに答えるだけの気力はあまりない。

 このまま配信を続けても辛くなっていくだけだし、できる限り早く家に帰って横になりたい気分なのだ。


「可能なら今回遭遇したモンスターについて分かったことがあったら次回の配信で話せるかもしれないので、次の配信もよろしくお願いします。それでは」


[乙―]

[しっかり休めな]

[詳しいことが分かったら報告ヨロ]

[コメ欄見ている限り未確認モンスっぽいから少し期待しておく]

[ここで終わり!?]

[さっきの動きについての解説は]


 終わりの挨拶をしても未だに質問コメントが流れてきているけど、それは無視して配信を終了させた。


「ふぅ」


 配信画面が完全に閉じたことを確認してから息をつく。


 配信中ということで気を張っていたが、もう配信は終えたので休憩ついでに一度地面にへたり込む。


「本当にどうにかなってよかった。ビャクさんも途中ありがとね」


 腰に付けたポーチをポンポンとたたきながら、中に居るビャクさんに話しかける。それを見てヨルさんが羨ましそうにしていたので、もっと近づいてくるように手招きする。


「ヨルさんもしっかり離れていてくれてありがとう」


 そう言ってヨルさんの頭から首にかけてなでる。嬉しそうに鳴き声を上げていたので満足できたようだ。


 さてと、ここから地上に戻るのが億劫すぎるけど、居続けると間引いたモンスターが湧き直してくるので、その前に地上に戻らないとね。


 重く感じる体を動かし、普段よりもゆっくりした速度で階層を上がっていく。

 地上につくまでに行きの倍近く時間がかかったけれど、何事も無くギルドまで帰ることが出来た。


 ギルドに着いてからもあのモンスターについての質問を受けたけど、映像が残っているし後日話をすると言う形で家に帰らせてもらい、家についたら最低限の支度をして即行で眠りに落ちた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ