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ep7.悪女と侍女エリー

 皇女殿下と話をした後、1人の侍女から封筒を渡された。


「こちら、第一皇子殿下から早急に読めとの伝言を預かっております」

「分かった。ありがとう。エリー」


 基本的に私の部屋に来てくれる侍女の名前を先日聞いたところ、普通に教えてくれた。


 やっぱり何かされるのではないかと怯えていたのを、私が何もしないと口頭で言って見せたのが良かったらしい。


 あれ以降普通に接してくれている。


「…その、エヴァ様…」

「ん?どうしたの?」

「エヴァ様は…、隣国で1番の悪女なのだとお伺いしておりました。なので、私たちもガラスを投げられたら鞭でお仕置きを受けるのかと、それぞれが覚悟を持ってエヴァ様にお会いしました」


 ここは、何も口を挟まずにエリーの言葉を聞くべきなのだろうと思い、相槌を打つだけに止める。


 エリーはそんな私を見て、『やはり』と言うふうに少し切ない笑みを浮かべて見せた。


「ですがエヴァ様は、緊張していた私たち侍女に『何もしない』と言ってくださり、言葉通りエヴァ様は、…いいえ、言葉通りではなく、とても優しく、親切にしてくださいました」

「…私は、貴方たちに何もしていないわ。むしろ、私が手伝ってもらってばかりだもの。申し訳ないくらいだわ」


 あの家族の元では侍女は1人も近づかせなかった。


 用意に近づくことを許してしまえば、いつ裏切られるか、いつ何をされるか、何も分からなかったから。


 でもここは違う。


 あの家の侍女たちより余程信用出来る人ばかりだった。


「エヴァ様、貴方様はご自分が普段から私たちに何を仰ってくださっているか分かりますか?」

「…?私は特に何も言ってないわ。あなたたちが率先して動いてくれるおかげよ。ありがとう」

「…エヴァ様は無自覚なのですね。それですよ、エヴァ様」


 いや、【それ】と言われて分かる人間がどこにいると言うのだろうか。


 頭の上にはてなを浮かべていると、にこにこっとしながらエリーは言った。


「エヴァ様は、いつも私たちに『ありがとう』とお礼を言ってくださるのです」

「えっ?だってそれは、当たり前のことよ?周りの人のおかげで、私は幸せに暮らせているの。恩恵を受ける時にありがとうと言うのは当然のことでしょ?」


 何を当たり前のことをと思って言ったつもりだったのだけど、エリーには何故か呆れられた。


「世の中にはエヴァ様みたいな女神様ばかりではないのです。侍女に怒鳴ったり傷つけたりする貴族なんてごまんといるのですから」

「…女神だなんて、初めて言われたわね……」

「…ご不快でしたか…?」


 エリーはこちらの顔色を伺う様子で尋ねてきたけど、そんな訳がなかった。


 不快と言うより、なんだかむず痒かった。


「ううん。そうじゃない。今までずっと悪女だって言われ続けてきたから、なんだか新鮮だなって思っただけよ」

「…どうしてエヴァ様は悪女だと言われてきたのですか…、それに、幸せの基準がおかしいですよ……」

「えっ?何か言った?」


 女神と言う言葉にしみじみとしていると、エリーが何か言ったような気がした。


「いいえ、ただ、エヴァ様は、私たちに接する時と、皇帝陛下や皇后陛下、皇女殿下と接する時の言葉遣いが違うのだなと思っていました」

「ああ、えっとね、私、こっちが本当の話し方なの。貴族と話す時は舐められないように少し口調を強めてるだけで、本当はこっちの方が楽なのよ」


 エリーはおそらく平民だ。


 それを見抜かれて驚いたのか、エリーは大きく目を見開いていた。


「どうして、私が平民だとお分かりになったのですか?」

「うーん、特段理由はないんだけど、強いて言うなら…、貴族ってどこかしら、ここは譲れない!っていうプライドを持ってるんだけど、貴方は基本的に私の顔色を伺う人だったから。貴族は顔色を伺うけど、それは私に仕える価値があるかどうかを見極めるためじゃなくて、単に私に嫌な思いをしてほしくなかったからでしょ?だからなんとなく分かっちゃったの」


 出来るだけ簡単に説明したつもりでいたが、エリーはポカンとしてしまった。


 もしかして、難しかっただろうか…


 少し焦りながらエリーに謝罪をした。


「ごめんね、知ってほしくなかったわよね…」

「…!いいえ!そうではありません!エヴァ様の聡明さに感激していただけなのです!どうか謝らないでください!」

「そう…?良かった…」


 安堵した拍子に出たうっすらとした笑みに、エリーは少し違和感を覚えたことに私は気が付けなかった。


「…あ…!そうです!封筒!封筒を見せなければいけないのでした!」


 慌てて話題を逸らすようにエリーは封筒を見てみるよう言ってきた。


 エリー曰く、それは今日中に第一皇子に渡さなければいけないらしい。


 中を見てみると、それはもちろん手紙…ではなく、右下にサイン欄がある1枚の契約書だった。















最後まで読んで頂きありがとうございました!

次話も見てくださると嬉しいですm(_ _)m

最近投稿サボりがちだったので連続投稿いきます!

楽しんでくだされば幸いです!

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