第8章 「再び、光の中で…」
母さんから電話で頼まれた頼まれた物を買いに…商店街まで歩いて行き…、、
商店街の中にある、スーパーで野菜を買って帰ることに…。
今日あったことを…頭の中から消そうと思う程、あの恐怖が鮮明に甦ってくる…。
朋成のあの行動や…俺の行動に…何もかもが…怖かった…。
あのまま…母さんから電話がなかったら…いったいどうなっていたのか…。
ううん…やめよう…考えたくもない。
母さんに心配をかけたくない…兎に角、何もなかったように普通にしよう…そう普通に。
一呼吸して、家に入ることにした。
『ガチャ…バタン』
「…ただいま」
「おかえり~頼んだものは、買ってきてくれた?」
「うん…これ」
俺は、母さんに頼まれた物を…スーパーのレジ袋ごと手渡した。
母さんは、嬉しそうにそれを受け取った。
「ありがとうね…材料、買い忘れちゃって」
お礼を言いたいのは、むしろ俺の方…なわけで…。
小さい声で、本音を漏らしてしまう…。
「ううん…こっちこそ…ありがとう…」
「ん!?深雪、何か言った?」
「ううん!何でもないよ」
あぶない、あぶない…聞こえなくて良かった…。
母さんを心配させたくないからね…。
「そう?今から夕飯の準備するから…深雪も手伝いなさいな」
「うん、わかった…着替えてくる」
俺は自分の部屋に帰り、制服を脱ぎ…普段着に着替えた。
男性の時から、母さんに『一人暮らしの時に助かるから』って、料理など家事全般を教わっていた。
正直、男性の時は…『料理なんて面倒くさいな~』と…渋々、手伝っていたのだけど…。
それが今は何だ!?料理が、楽しく思えてきている…このまま、女性でも良いって…気もしてきたな~。
俺は…いったい、どうしたいのか…段々と分からなくなってきた…。
母さんに…聞いてみるか…何か分かるかも知れない…。
今日の夕飯は、ハンバーグだった…母さんの作るハンバーグは、とても美味しくて…好きなんだよな…。
母さんに教えてもらいながら、形が崩れずに…うまく焼けることが出来た。
だんだんと、料理が上達していく自分を嬉しく思ったり…している。
出来上がった料理を食卓に並べて、席に着くと。
「深雪、あなた…料理作るの上手になってきたわね~」
母さんはとても嬉しそうだった…うん、素直に面向かって褒められるのは…悪くないな。
少し恥ずかしいけど…純粋に嬉しかった。
「そうかな?でも…料理するのは楽しいよ」
「あら、そうなの?たまには…あなたに料理を任せようかしら~」
「そこまで…上達してるとは思わないけど……でもやってみたい」
失敗は怖いけど…1度、自分だけで料理をしてみたいとは…思っていた。
いつも、母さんに付きっきりで、教えてもらってばかりだし…。
「ふふふ…母さん、少し甘えちゃおうかな~」
「失敗しても…笑わないでよ?」
よし!母さんもこう言ってくれてるし…やってみるかな?
「大丈夫よ!母さんもそうやって…料理を覚えていったのだからね…心配ないわ」
「さぁ~食べましょう!せっかくの料理も冷めてしまうわ~」
「うん、いただきます」
『ガチャ…バタン』
楽しかった夕飯を終え…お風呂から上がり、自分の部屋に戻ってきた。
食事を終えてから、その後…母さんと色々と話をしてみた。
幼稚園の時に、ブランコから落ちて…大ケガした事や、小学校に上がって、友達と大げんかしたこと…。
中学になって、朋成と出会い…仲良くなっていったこと…。
そんな昔話を色々と投げかけてみたのだけど…すべて、女性の俺としての記憶だった…。
中学に上がるまでは、男の子みたいで不安だった…って、男性だったのですが…ハァ…。
最近になって、『少しは女らしくなった』とか…言われるし…。
身体だけじゃなく…心までも、女性になってきてしまっているのかな…。
今更、母さんに、『俺は男だ!』って言っても、全く信じてくれそうにもない…。
ハァ…どうすればいいのかな…。
朋成に聞いたとしても…たぶん…同じ結果になると思う…。
全ての記憶が…女性として…俺との思い出に書き換えられているのだろう…。
でも…待てよ…それなら、なぜ俺たちは、恋人関係…になっている?
告白をしたのも…告白をされたのも…全然、記憶がない…。
なんかすごく気になるな…よし!明日、朋成に聞いてみることにしよう。
なんか…眠たくなって…きたな…寝よう…。
今日も色々とあった俺は、疲れて深い眠りに入っていった…。
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ここはどこだ…どこまでも真っ白い世界が続いている。
立っているのか、浮いているのか、地に足についていないような感覚。
『あれ?なんか…ここに1度…来たような…気がするのだが…』
すごく違和感を感じながら、ウロウロと進んでみると…向こうに人影が見える…。
誰かそこにいるのか?俺は急いで…人影のある方に進んだ。
その人影に近づいてみると…ぼやっとした見た目なのだが…女性らしい体つきなので…、
女性だと認識できる…顔を確認してみると…え!?この顔立ちは…まさか!!
『ちょっと!男の私!!』
女性の俺で『深雪』であった…なんだこの世界は!?意味が分からない…夢ではないのか??
深雪は、なんだかすごく怒っていて…怒った顔で俺を睨みつけている…。
『朋成と…イチャイチャしたいのに…邪魔しないでくれる?』
『え!?何のことだよ、意味が分からない…』
『いきなり私の身体の中に入ってきて…意識を奪われて…勝手に、私の身体を動かさないで!』
『本当に、何の話だよ…マジで分からないのだが?』
深雪は、俺に身体を奪われて?困っているようだが…そもそも身体を奪うとか…どういうことだよ??
全く理解できない俺に、深雪は怒りながら…俺を問い詰めてくる…。
『私だって…なぜこうなったか、分からないわよ…最近まで、ずっと意識を失っていたし…』
『最近になって、少しずつだけど意識が戻ってきて、ようやく…あなたに会えたってわけ!』
俺の言動や行動は、深雪の意思だったわけか…なら、あの不思議な行動も納得できる。
今の俺は…いったい何なのだろうか…俺であって…俺じゃない!?
『さっさと…私から出てってよー!男の私!!』
『俺の名前は、良大だ…』
『男の名前だと…良大って名前をつけられるんだね…じゃあ、良大!』
『私の身体を返して!』
『そんなこと言われても…俺にもさっぱり…分からないし…てか、俺の身体でもある訳だし…』
そうだ!女性の身体になったとはいえ…俺は…俺なんだから。
深雪に、とやかく言われる筋合いなど無いわけだ…。
『知ってるんだからね!…その…私の身体で…オッ…オナニーしたことを…』
『ギクッ!?…1回だけだ…それから、1度もやっていないぞ?』
『しっ仕方…ないだろ?男なら…1度は、体験…したくなるじゃないか!』
『うっうるさーい!このスケベ良大ー!!』
そう言いながら、深雪から…思いっきりビンタを喰らった…。
そこで…俺の意識は途絶えた…。
『これは、厄介なことに…なってしまったの…さて、どうしたものか…』




