第5章 「納得がいかないまま、次の朝を迎えて…」
『チュン、チュン』
スズメの鳴き声で…朝が来たことを感じる…。
「ん…もう、朝か…」
昨日は、相当…疲れていたようで、熟睡していたみたいだ…。
時計を見て、時間を確認する…うん、今日は…走らなくても、ゆっくりと学校には行けそうだ。
今日は、クラスメートから話を聞いて…確認をしなければ…。
どうしてこうなったのか?知りたい…分からない事ばかりで…不安でいっぱいだ。
自分だけ…世界から、取り残された気分だ…すごく怖かった…。
そう考えてしまうと…居ても立ってもいられなくなり、ベットから起き上がる…。
パジャマを脱ぎ…制服に着替えて、自分の部屋を出た。
母さんは、いつも早起きで…いつもの様に、朝食の準備をしていた。
父さんは…県外に出張中で、ここ何日見てないな…仕事が忙しいみたいだ…。
エンジニアの仕事をしていて…県外によく出張している。
顔を洗おうと洗面所に向かうと…母さんから声をかけられた。
「あら?深雪、おはよう~珍しいわね、起こしに行く前に起きてくるとか…雨でも降るのかしら?」
「母さん、おはようー何だか目が覚めて…」
「早起きは良いことよ?このまま、自分で起きてくれるように、なると良いわね~」
「…うん」
悩みごとが多すぎて…あまり眠れなかった…とは言いたくなかった。
あまり母さんに、心配をかけたくない…普段から、心配ばかりかけているからな…。
今日は、早めに学校へ行こう…。
わざと、遠回りをして…いつもと違う道を歩いて…気を紛らわそう…。
顔を洗い、朝食を済ます…出かける前に、身だしなみをチェックをして…よし、OKだ。
俺は、母さんに見送られて家を出た…。
朝早く、学校に行くのもいいなーいつもより、新鮮な空気を吸っている感じがして…、
すごく…心が穏やかになる。違う道を通るのも、すごく新鮮で…目に映るものが真新しく、
とても刺激になった!可愛い子猫と遭遇したり、見たこともない小さな花を見つけて…感動してた。
いつもより早い教室に着いた…まだクラスメートは、誰もいないかった…。
へぇ…朝の教室も良いものだな…とても静かで…考え込むには、ちょうど良いかも。
いつもだと、この教室も騒がしくて…早く帰りたい…ってと思っていたのに…。
自分の席について、両肘を机につけて、両手で顔を押さえて…物思いにふける。
昨日のことを改めて、思い返してみることにした…。
俺が…いきなり、女の子になってしまったこととか…。
朋成とは…恋人関係になっている…と言うこととか…。
この世界が…夢であるなら…さっさと醒めて欲しい…何が悲しくて、男と付き合わねばならない?
そりゃ…良大の時は、顔はブサイクで…女性には、縁などなかったわけで…。
親友と恋愛沙汰とか…あり得ないだろう!?何、このエロゲー!?みたいな展開は…。
でも、答えが見つからない問題に、1人があれこれと考えても…どうなるわけでもなかった…。
どれぐらい…思いを伏せていたのだろうか…。
少しづつ、クラスメートが教室に入ってきた…友達との他愛のない会話が聞こえてくる…。
俺は…何をするわけでもなく、ただ呆然と…周りを見つめていた…。
「おーい、深雪~調子は良いのか?」
いきなり、俺の肩に手を置かれ、誰かに話しかけられた。
朋成だ…いつもは、朝は早い奴だからな…この間は、たまたま遅くなったのだろう…。
あまり目立ちたくないので、ここは女の子らしく、振る舞っておくか…。
「あ…うん、もう大丈夫だよ」
「おっ!?なんだ…今日は、いつもの深雪だな…安心した」
「そう…」
女言葉を使うのは癪なんだが…なぜか自然と言葉が出てくる…なにこれ!?
すごく気持ち悪い感覚だ…本当にどうなっているんだ?俺の身体は…。
それでも…朋成は嬉しそうだった。女の子として…振る舞うだけで、嬉しいものなのか?
はぁ…どうしたもんかな…溜息をついていると…心配そうに、朋成が俺の顔を覗き込んできた…。
「うーん…まだ調子が悪そうだな…深雪…ちょっと、顔を見せてくれ」
朋成の顔が…俺の顔に近づいてくる…近い!近い!何をしようとしてるんだよー!!
まさか…朝からキス…してくるんじゃないだろうな?そう考えると…やばい!ドキドキしてきた…。
しかし…朋成は何もせずに、俺の顔をじっと見つめていて…。
俺もそっと朋成の顔を見てみる…ホントに、イケメンで…カッコいい顔立ちだ…。
やばっ!またドキドキしてきた…なんなんだよー全く…俺の身体は!
「顔色は…悪くなさそうだな、熱もあるそうに見えないし…深雪?辛かったら言えよ」
「うっうん…わかった…」
さっきから…ずっとドキドキがとまらない…これ、絶対に顔が赤くなってるぞ…。
いきなり、教室内で何をしてくるんだよ!少しは、周りの目を気にしろよ!!
クラスのみんながこっちを見て、ニヤニヤ笑っているんだが…今日も、また拷問ですか?
俺も俺だ!朋成に何か行動をされるたびに、毎回、ドキドキしている…。
こんなことでは…こっちの心臓がもたないぞ…。
『キンコーン、カンコーン』
授業開始のチャイムが鳴った…危なかった、これ以上、何かされたらどうなっていたか…。
授業担当の先生が、俺たちの教室に入ってくる。
「お前らー席につけよ」
「んじゃまたな~お昼、一緒に食べようぜ」
「うん…」
そう言うと、朋成は自分の席に戻っていった…。
ホント助かった…マジでやばいかったぞ…まだ、ドキドキしている…。
朋成とは距離を置かないと…俺の心が…おかしくなってしまう…。
当然、今日も授業なんて…頭にはいることは、なかった…。




