第11章 「姉弟喧嘩は…犬を食わぬ!?」
『チュン、チュン』
スズメの鳴き声で…朝が来たことを確認する…。
昨日は、色んなことがありすぎて…頭がついてこなくて…疲れて、すぐ眠りについていた…。
そのおかげもあって、今日も朝早く目覚める事となった…嬉しいのやら悲しいやら…複雑…。
いつものように、制服に着替え…顔を洗い、台所に立つ。
今日も朋成の分のお弁当を作る…いい加減、父さんのお弁当箱ではなく、朋成用に買ってくるかな?
そう思いながら、おかずをお弁当箱に詰めていき…朝ごはんを食べて、家を出ることにした…。
学校へ行く途中に、朋成に出会い…。
「おはよう、深雪~」
「おはよう…朋成」
「昨日は、本当に大丈夫だったか!?…俺、心配でさぁ…」
「昨日も話したでしょ?愛海さんのおかげで、私は大丈夫だって…」
何回も同じ話をしているのに…朋成は納得していないのか?
すごく、心配そうな顔をして…同じことを聞いてくる…心配されるのは…嬉しいのだけど…。
昨日の出来事を思い返してみる…。
昨日、朋成が部活を終え、家に帰ったときに…俺の靴が玄関にあったので、
慌てて2階へと上がり、愛海さんの部屋に入ってきて…。
「姉貴ー、深雪が来ているんだろう?勝手に入るぞ!」
『ガチャ』
「なーによ、トモ!勝手に入って来ないでよー深雪ちゃんとイチャついてるときに~!」
そう…、愛海さんのベットの中で…俺は抱き枕のように抱き着かれて…一緒に寝ていた。
俺は…どう足掻いても、愛海さんの力には敵わず、諦めて彼女の好きなようにさせていた…。
「俺の彼女なんだからな?勝手に連れ込んでるんじゃねーよ!」
そう言って、朋成が愛海さんから俺を引き離して…そして抱き抱えられる!?なにこれ!?
ちょっちょっと!?いきなり何をするのかな?恥ずかしいから、やめてほしいのだけど…。
「コラ!あたしの深雪ちゃんを奪うなー!まだ満足してないんだからー!!」
「あたしの…じゃーねーし!そもそも、どこで会ったんだよ?深雪と!」
なんか…俺のことで、姉弟喧嘩が始まったような…気がして…、俺は…どうすればいいの!?
朋成と愛海さんのやり取りは続く…さらにヒートアップしながら…。
「はーん!深雪ちゃんのこと、ほっといて、部活をしている、あんたが悪いのよ!」
「深雪ちゃんね?近くの公園でナンパされてたのよ?あたしが~そこで助けたってわけ!」
「えっ!?マジか、深雪?何もされてないのか??」
「…うっうん、大丈夫、愛海さんが…助けてくれた…から」
あの時は…本当に怖かった…愛海さんが側を通りかからなければ、どうなっていたのか…。
思い出すと…少し身体が震えだして…止まらなくなった…。
「ほ~ら、本当のことでしょ!?トモは彼氏失格だから、深雪ちゃんのことは諦めてね~♪」
「心配しないで良いから、あたしが~深雪ちゃんを絶対に~幸せにするんだからね~♪」
そう言うと…唖然としている朋成から俺を引き離して…愛海さんに抱き着かれた!?
本当にどうなってるの…これ!?
「今日からは~あたしの彼女だからね?深雪ちゃ~ん~♪」
「なっ何を言ってるんだよー姉貴は!?深雪は、俺の彼女だ!」
「違う!あたしの彼女だよ!」
普段は、仲の良い姉弟なのに…欲しいものが重なると…お互い意地を張りだして…止まらなくなる。
こうなったら最後…とことんやらないと収まらない2人なのだが…今回の原因が俺なわけで…。
「やっやめて…よ…朋成~、愛海さ~ん」
俺の意見なんて…聞けないほど、冷静ではなくなっている…さらに2人が言い争う…。
どうしたら止まるの!?2人のケンカは!
「トモ!あんたが身を引けば?深雪ちゃんが、ピンチの時にいないあんたなんて、いらないわよ!」
「なんだと!姉貴ー!!1回助けたぐらいで、調子に乗るなよなー!」
「なによ!」
「なんだよ!」
お互い顔を近づけ合っていがみ合っている…、掴み合いでも始まりそうな勢いがあり、
何も出来ない俺は…段々と悲しくなってきて…涙が溢れ出す…。
「もう…やめてよ…ううぅ…ケンカ…しない…でよ…」
涙が止まらない…目からどんどん溢れ出し、何故、俺は泣いてしまったのか…良く分からなくて…。
ナンパ男の件が怖かったのか…2人のケンカが怖かったのか…何も出来ずに悔しかったのか…、
いろんな感情が渦巻いて…自分でも理解できなくなっていた…。
ただ、2人にはケンカをせずに仲良くして欲しかった…。
「みっみゆき!?」
「深雪ちゃん!?」
2人が私が泣き出したことで…ようやくケンカが収まった…。
俺を一生懸命に慰めようと…必死になっている2人を見ていると…何だか嬉しくなって…。
涙が…ぴたりと止まった…ホント、不思議…。
それから…2人に、今日あったナンパの件を詳しく話すことにした…。
朋成も…愛海さんも怒り爆発寸前だった…あの2人は、やばい人たちを…怒らせてしまったようで…。
なんか可哀そうになってきた…あの2人が、無事でありますように…。
「兎に角だ!深雪を1人にしておけないな…」
「トモ!深雪ちゃんと同じ学校なんだから、しっかり守りなさいよ!」
「おう!任せとけー!!」
ケンカしていたと思ったら…今度は、一致団結をしてますけど…。
大好きな2人に、こんなにも好いてもらえている…この絆は、大事にしていきたい…。
それから、話も落ち着いて…家に帰ろうと玄関に向かうと…。
2人が1人は危険だからって…家まで送ろうと話になってしまって…俺は断ったんだけど。
頑固して、2人は首を縦に振らず、2人に手を繋がれて、自宅に向かうのでした…ホントなにこれ!?
何だかんだ、すったもんだは…ありましたけど…無事だったのは2人のおかげなわけで…。
今度…何かお礼をしたいと思いながら、学校へ向かうのでした…。
今日は、朋成と…ゆっくり話が出来るのかな~?




