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乙女《おんな》になっていく…。  作者: アルシィア
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第10章 「放課後は…やっぱり危険がいっぱい!?」

放課後となり、クラスのみんなはそれぞれの用事で教室から出ていく…。

部活に行く人…友達とどこかに出かける人…急いで家に帰る人…。

俺もその1人で…朋成と一緒に帰る約束をしていた…。


「深雪~帰るぞー」


「うん」


今日も一緒に帰る約束と…今日は俺の家に寄ってもらって、ゆっくりと話する約束をしていた。

鞄を持ち、教室から出ようとすると…誰かが教室に飛び込んできた!?


「コラー!朋成ー!!今日は逃がさないぞ!!」


「げっ!?聖人!」


うちの学校の、サッカー部のキャプテンで、朋成とは同じ部活仲間である。

名前は、櫻木さくらぎ 聖人まさとくんだ…隣のクラスの同級生なのだけど…。

櫻木くんは、かなりの形相で、朋成に迫ってきている…。


「勝手に部活をサボるんじゃねーよ!エースのお前がいないと、練習にならないだろうがー!」


「いや…俺も忙しくてよ…今日も用事があってだな…」


「お前の都合なんて知るか!2日連続もサボりやがって…後輩に示しがつかねだろーが!」


そう言えば…朋成は、サッカー部に所属してたんだった…。昨日も一昨日もサボってたの!?

それは…櫻木くんが怒るのも無理がないね…今日もサボるつもりだったわけだし。

朋成は、櫻木くんに首に腕を回され…がっちりとロックされている…逃げられないね、これは。


「今日は練習に出てもらうからな!…藤乃さん、悪いけど…朋成は借りていくな?」


「うっうん、練習…頑張って」


「深雪~明日、一緒に帰ろう~聖人、ストップ!ストップ!首が閉まるぅぅぅぅー!!」


朋成は…櫻木くんに、グラウンドに連れていかれた…急に1人になってしまった…。

とりあえず家に帰ろう…そう思い、静かになった自分の教室を出た。


いつもの帰り道…何かが足りない…いつも隣に朋成がいてくれたから…寂しくはなかった。

中学1年の時に、同じクラスで、席が隣になって…話をしているうちに仲良くなって…、

一緒に行動することが多かった…親友になるまで時間は…そうかからなかった…。


ふと、1人なると俺って…友達いないのよね…朋成以外は。

何だか…そのまま家に帰るのも…空しくなってきて…気が付くと…近所の公園に来ていた。


小さい時よく遊んだ場所だ…あの頃と何も変わらない…ブランコがある…あの時のままだ。

嬉しくなってブランコに乗ってみる…小さい時は…『大きいブランコさぁー』と思っていたのに…、

今は大きくなって…ブランコに座ると…すごく小さく思えるのは不思議だよね…。


何もするわけでもなく…ブランコを少し揺らして、ボォーッとしていると…ふと人影が見えた!?


「へい!そこの可愛い彼女~!暇そうだね~俺たちと、どっか行かない~?」


「えっ!?」


上を見上げると…以前に商店街で会ったナンパの男だった…また声かけられたし!

ナンパされるなんて御免だし…俺、男だし…ナンパ男を無視して帰ろうと立ち上がると…、

別のナンパ男は現れた…あっ!『俺たち』って言ってたような…仲間がいたなんて!


「おいおい~無視しないでくれよ~カワイコちゃん~一緒に遊びに行こうぜ~!」


そう言って俺の腕を掴んできた!?ヤバイ…早くこの場から逃げなきゃ!


「ちょっちょっと、離して!離してよー!」


掴んだ腕を離そうと、藻掻いてみるけど…全然外れない…どうしよう…どっかに連れていかれる!?

叫んで助けを呼ぼうにも…怖くて…うまく声が出せない。


「おいマツ!ちょっと待てよ!」


「ん?どうしたんだ、タケよ?」


「この間、俺がナンパした『俺は男だぁぁー』って叫んでた、カワイコちゃんだぞ!?この子は」


「マジか!?1度会って見てみたいと思ってたところだ!…ラッキーだな!今日はついているぞ~」


やっぱり…この間のナンパ男だった…なんか変な誤解をされているし…。

俺は…男だし…ナンパなんてしても何も面白くない訳で…。


「わっ私は、おとこ…だから、ナンパしても…面白くないよ?」


「そんなの関係ない!こんなに可愛い子なら…男でも問題ないぞ!」


「マツ、マジか!?まぁいいや…引ん剝いてしまえば…いいってことよ」


「俺…すごく興奮してきたぞ!…早く連れて行こうぜ、タケよ」


「おうよ、マツよ!さぁ…いいところに行こうぜ~3人で楽しもうか」


ヤバイ!何を言っても…自分の世界に入り込んでいる感じで…話を聞いてくれない。

早く逃げなきゃ…でも怖くて怖くて…足が動かないし、声も出ない…涙が溢れてくる…。

誰か…誰か助けてー!…助けてー朋成ー!!、そう心で叫んでいると…。


「コラ!タケ!マツ!そこで、何をしているの!!」


「げげげ!そっその声は…」


「つっ椿田さん!?」


そう…俺も聞き覚えのある声で、朋成のお姉さんである椿田つばきだ 愛海まなみさんだった。

愛海さんは、ぷんぷん怒りながら…こっちに近づいてくる。


「また…しょうもないナンパなんてして…だから女の子に、モテないんだよ!」


「ほら!その子を離してあげな!…って、深雪ちゃんじゃな~い♪」


「あんたたち!あたしの可愛い深雪ちゃんに手を出すなんて…分かっているのだろうね…?」


「ひぃー!?すっすみません、おっ俺!…よっ用事を思い出したので、これで帰りまーす!!」


「おい待てよ、タケよ!…おっ俺も…これで!!」


そう言うと、俺の腕から手を離して…2人は、一目散に去って行った…なにこれ!?


「明日、大学で会ったら…覚えておきなよ!…まったく、しょうがない奴らだね…」


「…深雪ちゃん~♪…大丈夫だった?ケガとかしてない??」


「むぎゅ!?」


そう言いながら、突然ハグされた!?愛海さんは、胸が大きいから…息がしにくい!

でも…さっきまで恐怖の所為で身体中がブルブル震えていて…少し収まってきた。


「怖かったわね…大丈夫だから…ね」


「うん…ありがとう…愛海さん」


昔から人の面倒見がよく…姉後肌の彼女は…実は…俺の初恋の相手だったりする。

はじめて朋成の家で、彼女と出会った時に一目惚れをしてしまったほどに…。

でも愛海さんは、大の男嫌いで…当時から揶揄われてばかりで…まともに相手にされてなかった。

そんなことを思い返していたら…愛海さんはハグをやめて…。


「さーてと!可愛い深雪ちゃんを介抱しなくちゃね~♪えーい、家にお持ち帰り~♪」


そう言うと、突然、愛海さんが俺をお姫様抱っこをしてきた!?なにこれ!?


「えっ!?えっ!?なにこれ!?愛海さん!わっ私、歩けますからー!!」


「えーさっきまで足プルプルしてたのに~、…大丈夫だから~お姉さんに任せてね~♪」


いつも強引なんだから…この人は。周りのみんなに…ジロジロ見られるのが、嫌なんです!

すごく恥ずかしい…のに…。そんな俺の気持ちは…お構いなく…朋成の家に連れこまれた。


それから愛海さんの部屋に連れていかれて…ハグされたり…頬にキスされたり…写真を撮られたり…と、

朋成が帰宅して…朋成に見つかるまでの間…愛海さんに弄ばれるのでした…。

今日も色々とイベント盛りだくさんで…すごく疲れたよ…ハァ~…。

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