表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/132

第81話 一輝の苦悩

 そして、綾香のそんな言葉を聞いた一輝は、

「えっ、綾香さん、何を言っているんですか?」

 一輝がそう言ったので。

「何って、私はただ一輝くんの質問に正直に答えただけですよ」

 綾香は少し恥ずかしそうに頬を染めつつも、何でもないようにそう言った。そして、

「自分で言うのもなんですが、私はクラスメイトの女子たちの中でも割とスタイルはいい方だと思っているのですが、一輝くんはどう思いますか?」

 綾香はそんなことを聞いて来たので。

「えっと、それは……ええ、綾香さんはスタイルも凄くいいと思います」

 一輝は正直にそう答えた。すると、

「そうですか、因みに私のスタイルは一輝くんの好みに合っていますか?」

 再び綾香はそんな爆弾発言をした。

 しかし、そんな綾香の言葉を聞いた一輝は頭が沸騰してしまい、冷静でいられなくなってしまったので。

「……はい、凄く僕の好みです」

 一輝は馬鹿正直にそう答えた。すると、

「……そうですか、ありがとうございます」

 その言葉を聞いた綾香は顔を真っ赤にしながらも満足そうに微笑むと、再び一輝の胸元へ自分の顔を埋めた。そして、

「それでは、一輝くんから嬉しい言葉を聞けたので、私は今からお昼寝をしますね」

 綾香はそう言ったので。

「えっ、あっ、はい、分かりました」

 一輝が慌ててそう答えると。

「……因みに一輝くん、一応言っておきますが、寝ている私に悪戯をしたりしないで下さいね、私は一輝くんのことを信頼していますから」

 綾香は再び釘を指すようにそう言ったので。

「……ええ、勿論です」

 一輝がそう答えると。

「ありがとうございます、一輝くん、そういうのはまたの機会にお願いします」

 綾香はそう言うと、そのまま一輝に抱き着いたまま話をするのを辞めた。

 そして、綾香に抱き着かれたまま一輝が動けずにベッドに寝ころんだまま固まっていると。

「……すう、すう」

 その後、直ぐに小さな寝息が部屋の中に聞こえて来たので、一輝が首だけを動かして綾香の姿を観ていると、綾香は一輝の胸に顔を埋めたまま眠っていた。

 そして、そんな姿の綾香を観た一輝はというと。

「彼氏とはいえ、男と二人きりの部屋でこんな風に無防備に寝れるなんて、信頼されていると喜べばいいのか、それとも男として観られて無いと悲しむべきなのか、何とも複雑な気分です」

 綾香に抱き着かれたまま、一輝はそう呟いた。しかし、

「……まあでも、これだけ可愛い女の人が僕なんかの彼女になってくれているだけでも奇跡みたいなモノですから変に悩んでも仕方が無いですよね……綾香さん、僕なんかの彼女になってくれて本当にありがとうございます」

 一輝はそう呟くと、綾香の綺麗な長い黒髪を優しく撫でた。すると、

「……一輝くん、大好きですよ」

 綾香は目を閉じて一輝に抱き着いたままそう呟いたので。

「えっと……もしかして綾香さん、起きていますか?」

 一輝はそう言ったのだが。

「すう、すう」

 綾香は相変わらず、目を閉じたままそんな風に寝息を立てていた。なので、

「……僕も寝ますか、綾香さん、僕も綾香さんの事が大好きですよ」

 一輝はそう呟くと静かに目を閉じた。

 ただ、一輝としては相変わらず綾香に抱き着かれたままの状況なので、興奮して眠れなかったので、目を閉じて、眠気が襲って来るのを静かに待っている事にした。

 しかし、いつまで経っても眠気は全く訪れず、一輝が目を閉じたまま、ベッドの上でじっとしていると。

「……スッ」

 一輝の腰回りに回していた綾香の手が静かに離れ、綾香がベッドの上で起き上がった。

 しかし、一輝は目を閉じているので綾香が何をしているのか分からず、その場で目を閉じたままじっとしていると。

「……チュ」

(!?)

 突然、一輝の唇に何かが触れる感覚を感じて一輝が驚いていると、数秒経って、その感覚が無くなった。そして、

「一輝くん、初めて積極的に私の事を求めてくれましたね。でも、私は一輝くんの彼女なので、もっと積極的に求めてくれてもいいんですよ」

 綾香はそう言うと、一輝の頭をゆっくりと撫でた。そして、

「でも、私はそういう事が出来ない奥手な一輝くんの事が好きになったので、あまり贅沢を言っても仕方が無いですね。でも、一輝くんはさっきみたいにもう少しだけ積極的になってくれたら、私は嬉しいです」

 綾香はそう言うと、再びベッドに寝ころんでから、一輝の腰に手を回して一輝の胸に顔を埋めて静かに寝息を立て始めた。

 そして、そんな綾香の心の声を聞いた一輝はというと。

(すみません、綾香さん、そんな強気な態度に出られなくて。でも、何時かはそれくらいの事が出来る様に自信を付けるので、それまで待っていて下さい)

 一輝は心の中でそう言って謝った。しかし、そのお陰か一輝の中にあった熱い思いは少しずつ収まって行った。なので、

(これなら僕もゆっくり眠れそうですね……おやすみなさい、綾香さん)

 一輝は心の中でそう言うと、ゆっくりと眠気が襲って来て……

「「……すう、すう」」

 数分経つと、一輝も綾香と同じように小さな寝息をたて始め、二人は仲良く昼寝をしていた。そして……



「……ん?」

 一輝はそう呟くとゆっくりと目を開けた。すると、一輝が起きていた頃は明るかった室内は、薄暗くなっていた。そして、

「えっと、僕は何をしていたんだっけ……あっ、そうだ、綾香さんは?」

 一輝がそう呟いて隣を観てみると、綾香は相変わらず一輝に抱き着いたまま小さく寝息を立てていた。

 そして、綾香はとても気持ちよさそうに寝ていたので起こすのは悪いなと思いつつも、いつまでもこのままでいるわけにはいかないので。

「えっと、綾香さん、起きて下さい」

 一輝は綾香の肩に遠慮がちに手を置くと、そう言いながらゆっくりと綾香の体を揺すった。すると、

「……ん」

 綾香はそう呟くと、ゆっくりと目を開いた。そして、綾香は一輝の顔を数秒間、ぼーとした表情で眺めてから。

「あっ、おはようございます、一輝くん、一輝くんはゆっくりお昼寝が出来ましたか?」

 綾香はふにゃとした笑顔を浮かべて、そんな事を聞いて来たので。

「ええ、僕もなんとか昼寝は出来ましたが、綾香さんは随分気持ちよさそうに寝ていましたね」

 一輝がそう言うと。

「そうですね、なんと言いますか、一輝くんの匂いは落ち着くので、つい気が緩んでしまうんです」

 綾香は笑顔でそう答えた。そして、その言葉を聞いた一輝は何と答えるべきか、少し悩んだモノの。

「そうですか、嫌いな匂いだと言われなくてよかったです」

 一輝は無難にそう答えた。すると、

「ええ、ところで一輝くん、部屋の中が随分暗くなっているようですが、今は何時なのですか?」

 綾香はそんな事を聞いて来たので。

「あっ、ええ、そうですね……」

 そう言って、一輝が枕元にあった時計を確認してから。

「えっと……もう6時半過ぎですね」

 一輝はそう答えた。すると、

「えっ、もうそんな時間なのですか!?」

 一輝の言葉を聞いた綾香は驚いた様子でそう答えた。そして、

「えっと、すみません、一輝くん、ずっと昼寝をしていただけで申し訳ないのですが、そろそろ帰らないと日が暮れてしまうので、私はもう家に帰りますね」

 綾香は申し訳なさそうにそう言ったので。

「あっ、そうですよね、すみません、綾香さん、僕がもっと早く起きていれば、他にも何かすることが出来たのに」

 一輝もそう言って綾香に謝ると。

「いえ、気にしないで下さい、昼寝をしたいと言ったのはそもそも私からですし、後一ヶ月ほどすれば夏休みが始まるので、楽しい思い出はその時に一杯作りましょう!!」

 綾香は笑顔を浮かべてそう言ったので。

「綾香さん……ええ、そうですね、そうしましょう!!」

 一輝はそう言った。そして、

「それじゃあ、綾香さん、これ以上のんびりしている訳にもいかないので、早く一階へ降りましょう」

 一輝がそう言うと。

「ええ、そうですね」

 そう言って、綾香がベッドから起き上がり、改めて一輝の顔を観たのだが。

「あっ、一輝くん、申し訳ありませんが少しだけベッドに腰掛けてくれませんか?」

 綾香がそう言ったので。

「えっ、あっ、はい、分かりました」

 そう言って一輝が自分のベッドに座ると、綾香が一輝の目の前に来て。

「失礼しますね」

 綾香はそう言うと、一輝の頭に自分の手を置いて、ゆっくりと一輝の頭を撫で始めた。なので、

「えっと、綾香さん?」

 一輝がそう言うと。

「一輝くん、少しだけじっとしていて下さい」

 綾香はそう言うと、少しの間、一輝の頭を優しく撫で続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ