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第72話 一輝の提案

 しかし、一輝は綾香と数か月間付き合って来た経験で、この流れは不味いと直ぐに思い。

「そういえばそうでしたね、ただ、申し訳ありませんが、僕はまだ綾香さんの事を呼び捨てで呼ぶ勇気は持てていません、それに何より、僕はもう綾香さんという呼び方に慣れているので、もう暫くは綾香さんという呼び方のままでいいのではないですか?」

 一輝は慌ててそう言った。すると、

「そうですか……確かに一輝くんの言うことも一理ありますね、実際に私も一輝くんからは綾香さんと呼ばれるのにもう慣れてしまいましたから」

 綾香はそんな事を言ったので、一輝は何とかこのピンチを切り抜けることが出来たと、内心そう思ったのだが。

「ですが、やっぱり私は一輝くんから綾香と呼び捨てで呼ばれたいです、いつまでも同じような関係のままですと、私たちの関係もマンネリ化してしまう可能性があるので、偶には普段と違う事をして、新しい刺激を得るのも良いのではないかと、私はそう思いますから」

 綾香はそんな事を言った。そして、その言葉を聞いた一輝は綾香を説得するのは諦めて。

「黒澤さんからも何とか言って下さい、さすがに目の前でこんなのを見せられるのは黒澤さんも嫌ですよね? そもそも今日は黒澤さんの相談に乗るためにここに来たのですから」

 一輝は心愛に向けてそう言った。すると、

「えっと……」

 そう言って心愛は数秒間、一輝と綾香の顔を交互に見たが、自分なりの結論が出たのか、直ぐに顔を上げると。

「私は立花先輩の意見に賛成です、佐藤先輩、立花先輩の事を呼び捨てで呼んであげるべきですよ!!」

 心愛は力強くそう言った。すると、

「ありがとう、黒澤さん」

 綾香は嬉しそうにそう言ったのだが。

「えっ、何故ですか? 黒澤さん」

 一輝は間違いなく心愛が自分の味方をしてくれると思っていたので、心愛がそんなことを言ったのに驚いてそう言った。すると、

「私も好きな人が居る女子なので、彼氏からは呼び捨てで呼ばれたいという立花先輩の気持ちはよく分かりますから、それに」

「それに、何ですか?」

 一輝がそう質問をすると。

「私は基本的に強い人の味方なので、今回は全力で立花先輩の味方をさせてもらいます、お二人のやり取りを観ていると、佐藤先輩は立花先輩には頭が上がらないという事がよく分かりましたから」

 心愛はそんな事を言ったので。

「えっと、そんな風に観えますか?」

 一輝が遠慮がちに、心愛にそう質問をすると。

「はい、佐藤先輩と立花先輩はお互いの事をかなり気遣っているので、一見分かりづらいですが、立花先輩の事を呼び捨てで呼ぶという無茶なお願いをされても、佐藤先輩が強く言い返せなかった時点で何となく分かりました。多分、佐藤先輩は立花先輩の事が大好きなので、立花先輩に本気でお願いをされたら、多分どんな無茶なお願いでも最終的には素直に聞いてしまうんだなと、私はそう思いました」

 心愛はそんな事を言った。すると、その言葉を聞いた綾香は、

「一輝くん、そうなんですか?」

 綾香はそんな事を聞いて来たので。

「あっ、えっと、それは……」

 上手く言葉が出ず、一輝はそんな風に言い淀んでいると。

「その反応を見ると何となく答えは分かりました、黒澤さん、良い事を教えてくれてありがとうございました」

 綾香はそう言うと、心愛の方を振り向くと笑顔を浮かべてそう言った。すると、

「いえ、気にしないで下さい、立花先輩にはこれからお世話になると思うので、これくらいお安い御用です」

 心愛は意地が悪そうな笑顔を浮かべてそう言った。そして、

「それでは一輝くん、早速ですが私の事を綾香と呼び捨てで呼んで下さい」

 綾香はそう言った。そして、その言葉を聞いた一輝は逃げ場が無いと悟ってから、少しだけ考えてから。

「分かりました、でも、呼び捨てで呼ぶのはせめて二人きりの時にさせて下さい、人前で言うのはさすがに恥ずかしいですから」

 一輝が負けを認めて弱々しい声でそう言うと。

「分かりました、それでは一輝くん、この話し合いが終わったら昼からは私とデートをしませんか? 勿論、私と一輝くんの二人きりで」

 綾香はそう言ったので。

「……ええ、いいですよ」

 一輝は諦めた様子でそう言ったので、綾香は満足そうな笑顔を浮かべた。すると、

「えっと、それじゃあお二人の話も纏まったようなので、そろそろ私の話の続きを聞いてもらってもいいですか?」

 一段落付いてから心愛はそう言ったので。

「ええ、いいですよ」

 この後の展開を考えて少し思い悩んでいる一輝に代わり、綾香がそう答えた。すると、

「ありがとうございます、えっと……すみません、私は一体何処まで話をしましたか?」

 心愛はそんな事を言ったので。

「えっと、確か昨日、黒澤さんは颯太と一緒にショッピングモールにデートをしていたという話をしていたと思います」

 一輝がそう言うと。

「そういえばそうでしたね、ただ、聞いて下さい、私は昨日、颯太先輩と恋人として楽しく過ごせるように色々と頑張ったのに、颯太先輩は私のことを今までみたいに可愛い後輩みたいな扱いしかしてくれなくて、このままだと何時まで経っても颯太先輩との距離が縮まりそうにないんですよ」

 心愛はかなり不安そうな口調でそう言った。すると、

「そうなんですか、それは辛いですね」

 同じ女として心愛の気持ちが分かるのか、綾香は真面目な口調でそう言った。すると、

「そうなんですよ、私としては颯太先輩とは少しずつデートを積み重ねて、二人の仲を深めていけたらいいなと思っていたのですが、昨日のデートの様子を見るに、多分このままデートを重ねても上手く行かないと思ったのですが、先輩方、デートを重ねる以外で颯太先輩との仲を深めるための何か良い案はありませんか?」

 心愛はそんなことを聞いて来た。すると、綾香はチラリと一輝の顔を見てから。

「実は一度、一輝くんと電話でそのような話をしたのですが、その時は残念ながらデートを積み重ねるしかないという結論になったんです」

 綾香は申し訳なさそうにそう言ったので。

「あっ、そんなに気にしないで下さい、私の方こそ貴重な休日に急に呼び出して、突然こんな事を聞いてしまって申し訳ありません。ただ、恋人としてとても上手くいっていそうなお二人なら、何かいい案が浮かぶのではないのかと少しだけ期待していたのですが、世の中そう上手くは行きませんよね」

 心愛は苦笑いを浮かべてそう言った。すると、

「そうですね、私たちも普通にデートを積み重ねて仲を深めて行ったので、直ぐには何も浮かびませんが、黒澤さんの為にももう少しだけ考えてみます。ねっ、佐藤くん」

 綾香はそう言ったので。

「そうですね、いい案が浮かぶかは分かりませんが僕も考えてみます」

 一輝はそう言うと、デート以外の方法で心愛と颯太の二人の仲が深まる方法を考え始めたが、やはり直ぐには答えは出なかった。

 なので、一輝は考え方を変えて、ライトノベルやアニメだとあまり仲のよくない男女二人の仲を深めるためにはどうしているのかと考え始めた。

 そして、学園モノだと文化祭や修学旅行など学校行事がキッカケで仲が深まることが多いと思ったが、残念ながら今の時期だと特にそういった行事はないなと、一輝はそう思ったが。

「……そういえば、もうすぐ期末試験が始まりますね」

 一輝がそう呟くと。

「そうですね、来週から試験期間で、再来週からは期末試験が始まりますよ」

 綾香がそう言った。そして、その言葉を聞いた一輝は、

「それなら、こういう事はあまり良くないのかもしれませんが、二人で試験勉強をして、それで仲を深めるというのはどうですか?」

 心愛に向けてそんな案を出した。

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