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第71話 作戦会議

 日曜日の10時が少し過ぎた頃、一輝はある人物に呼び出されて、学校近くにあるファミレスに来ていた。

 そして、机を挟んで一輝の正面には、一輝を呼び出した人物である心愛が座っていて、ジュースを飲んでいて。

 一輝の隣の窓際の席には一輝の彼女である綾香が座っていて、一輝が彼女の方を振り向くと。

「? 一輝くん、どうかしましたか?」

 綾香は長い黒髪をなびかせながら、首を傾げてそんなことを聞いて来たので。

「あっ、いえ、何でも無いです、ただ、今日も綾香さんは綺麗だなと、そう思っただけです」

 一輝がそう答えると。

「もう、急に何を言っているのですか、そんな風に褒めても私は別に何もしませんよ」

 綾香は少しだけ頬を染めながらそう言ったので。

「分かっていますよ、ただ僕は自分の思った気持ちを素直に綾香さんに伝えただけですから」

 一輝も少し照れ笑いを浮かべながらそう言うと。

「そうですか、そう思ってもらえたのなら嬉しいです」

 綾香も照れ笑いを浮かべながら、そんな事を言った。そして、

「「……」」

 二人とも照れ臭そうな笑みを浮かべつつも、お互い黙って見つめ合っていると。

「……あの、先輩方、私も居るのを忘れていませんか?」

 呆れた様な口調で心愛にそう声を掛けられたので。

「あっ、すみません、今日は黒澤さんの相談に乗るために僕たちは呼ばれたんでしたよね」

 一輝が慌ててそう言うと。

「そうですよ、お二人の仲が良いのはよく分かりましたが、そういうのは出来れば二人きりの時にお願いします」

 心愛はそう言ったので。

「ええ、そうですね、すみません、黒澤さん」

 一輝がそう言うと。

「はあ、もういいです、それに休日の朝に急に呼び出してしまって、私も少しは申し訳なく思っていますから、だから多少のことは眼を瞑ります」

 心愛はそう言った。そして、

「ただ、多少いちゃつくのは構いませんが、私の相談は真面目に聞いて下さいね、一応そういう約束になっていますから」

 心愛はそう言ったので。

「分かりました、綾香さんもそれでいいですか?」

 一輝が綾香にそう質問をすると。

「ええ、勿論です」

 綾香もそう答えた。すると、

「分かりました、それでは早速ですが、私が今日二人を呼んだ理由をお話しますね」

 心愛はそう言ってから。

「実は昨日、私は颯太先輩と一緒にデートに出掛けたんです」

 心愛はそう言って話を切り出したので。

「えっ、そうなんですね、それで、黒澤さんは斎藤くんと一緒に何処に行ったのですか?」

 綾香はそう質問をすると。

「昨日はそんなに遠出をせず、近所のショッピングモールへ行きました」

 心愛はそう答えた。すると、

「そうなんですね、実は私も一輝くんとの初デートでショッピングモールに行ったんです」

 綾香は笑顔を浮かべながらそう答えた。三人が住んでいるこの地域は田舎といえる程、田畑や自然に覆われているわけではないが。

 都会といえる程、店や建物が立っているわけではない、のんびりとした空気の流れている地域で、近場でショッピングモールと言われたら一か所しか思い浮かばないので、恐らく三人が思い浮かべている場所は同じだった。すると、

「あっ、そうなんですね、因みに先輩方の初デートはどんな感じでしたか?」

 心愛は興味深そうにそう質問をして来た。すると、

「正確には、その前に私たち二人と斎藤くんの三人でお出かけをしたので、本当に初デートと言っていいのかは分かりませんが私は楽しかったですよ、ゲームセンターで一輝くんがクレーンゲームをして、私にぬいぐるみを取ってくれたり、一輝くんと一緒に初めてプリクラを撮ったり、それまではお互いのことを苗字で呼んでいましたが、それ以降は相手のことを名前で呼び合う様になったり、他にも色々ありましたが私は楽しかったです」

 綾香は笑顔を浮かべながらそう言った。すると、

「そうなんですね、それは本当に楽しそうなデートでいいですね」

 心愛はそんなことを言ったので。

「ええ、そうですね、とても楽しかったですよ」

 綾香も笑顔を浮かべてそう答えた。すると、

「綾香さん、数か月前の事なのに、よくそんなに詳しく覚えていますね」

 一輝が少し驚いた様子でそう言うと。

「当然ですよ、私にとっては忘れたくても忘れられない大切な思い出ですから。でも、一輝くんからすると、そんなに大した思い出ではないのですか?」

 綾香はそんなことを聞いて来たので。

「いえ、そんな事はないです、特に綾香さんが自分の事を名前で呼ぶように言っていた事はよく覚えていますよ、あんなに押しが強かった綾香さんは後にも先にもあの時くらいでしたから」

 一輝がそう答えると。

「だって、仕方がないじゃないですか、折角付き合えたのですから、いつまでも私の事を苗字ではなくて名前で呼んで欲しかったんです」

 綾香はそう言った。すると、

「あっ、その気持ちはよく分かります、お互いのことを名前で呼び合ったら、二人の距離が縮まった感じがして良いですよね」

 心愛はそう言ったが、その後、少しだけ不満そうな表情をすると。

「でも、颯太先輩は私のことをお前とか黒澤って呼んで、いつまでたっても名前で呼んでくれないんです。立花先輩、私は名前で呼んでもらうにはどうしたら良いと思いますか?」

 綾香に対してそんな質問をした。すると、

「そうですね……私は一輝くんにお願いしをしたら、一輝くんは素直に名前で呼んでくれるようになりましたが」

 綾香はそう言うと。

「それはそうですよ、立花先輩みたいな可愛い彼女にお願いされたら誰だって二つ返事でOKしますよ」

 心愛はそんなことを言った。しかし、

「そんなことは無いですよ、実際、一輝くんは最初私の事を名前で呼ぶのをかなり嫌がっていましたから」

 綾香はそんな事を言ったので。

「それは綾香さんが最初、自分の事を呼び捨てで呼ぶように言っていたからじゃないですか、さすがに付き合ってまだ数週間なのに、いきなりそんな大それたことは出来ませんよ」

 一輝は正直にそう答えたのだが。

「そういえばそうでしたね……あっ」

 その言葉を聞いた綾香は、何かを思いだしたかのようにそう言った。そして、

「そういえば一輝くん、最初は私の事をさん付けで呼ぶということになりましたが、時間が経って慣れたら、私の事を呼び捨てで呼んでくれると、そう約束していましたよね?」

 綾香は笑顔でそんなことを言った。そして、普段の一輝は綾香の笑顔をまるで天使の微笑みだと思っていて、いつも見惚れているのだが。

 今回に限っては可愛い見た目をした小悪魔が自分のことを見て嘲笑っているようだと、一輝はそんな事を思い、軽く冷や汗をかいたのだった。

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