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第67話 一日の終わりと後輩との約束

 そして、暫くの間、二人が触れ合いコーナーを歩いていると。

「そういえば、斎藤くんと黒澤さんは上手くいっているのでしょうか?」

 綾香は唐突にそんな事を言ったので。

「そうですね……あの二人だと多分大丈夫だと思いますが」

 一輝がそう呟くと。

「もー、何なんですか!!」

 唐突にそんな聞き覚えがある声が聞こえたので、二人がその声が聞こえた方を振り向くと。

「おいおい、少しは落ち着けよ」

 そこには、塀の中で何故か声を荒げて怒っている様子の心愛と、それを宥めている颯太の姿があった。すると、

「だって、颯太先輩、この子たちは他の人から貰ったエサは食べるのに、私があげようとしているエサは全然食べてくれないんですよ!!」

 心愛はそんな事を言った。そして、そんな二人はポニーが何頭かいる塀の中に入っていて、ポニーにエサをあげようとしていて。

 颯太や他の数名の人の周りには何頭かのポニーが集まっていて、エサを食べさせてもらっていたのだが。

 どういうわけか、心愛の周りにはポニーが一匹もおらず、心愛がエサをちらつかせても、ポニーたちは心愛から微妙に距離を取っていた。すると、

「動物は割と人の感情に敏感らしいからな、もしかしたら、お前が腹黒いことがバレていて、それで変に警戒されて距離を取られているんじゃなんか?」

 颯太は心愛に対してそんなことを言った。すると、

「もう、確かに私が腹黒いことは事実ですし、そういう理由なら納得もしますが、例えそう思ったとしても、彼女にそんなことを言うのは失礼じゃないですか?」

 心愛は不安そうな口調でそんなことを言った。すると、

「まあ確かに、普通の彼女相手ならこんな事を言うのは相当失礼なんだろうな。でも、俺の中ではお前に言うのは、普通にセーフだと思うけどな、お前ならこれくらいのことを言われても、多分全く気にしないだろ?」

 颯太はそんなことを言った。しかし、

「そんなわけないですよ!! 私も女の子なんですから、大好きな先輩からそんなことを言われたら少しくらいは傷つきますからね!!」

 心愛は不安そうな口調でそう言っていた。そして、そんな二人を遠目で観ていた綾香は、

「えっと……あんな感じなのですが、本当に上手く行っているのですか?」

 少し不安そうな表情を浮かべながら、一輝に対してそう質問をして来た。

 なので、一輝は少しだけ苦笑いを浮かべつつも。

「ええ、あのやり取りを見ると少しだけ不安ですが、多分大丈夫だと思います、颯太はあれでも相手のことを気遣って発言をするタイプの人間なので、颯太があれだけ軽口を言えるということは、黒澤さんの事をそれなりに信用しているのだと思いますし、僕たちにはあまり縁がありませんが、喧嘩するほど仲がいいという話もあるので、あれも一つの付き合い方なのではないかと、僕はそう思います」

 一輝はそう言った。すると、

「それもそうですね、私たちは殆ど喧嘩したことが無いのでよく分かりませんが、あれも一つの愛情表現の形なのかもしれませんね」

 その言葉を聞いた綾香はそんな事を言ったので。

「そうですね、ただ、何時までもここに居たら二人が僕たちの事を見つけるかもしれないので、早く次のエリアに行きませんか? 黒澤さんは二人きりでデートをしたいと言っていたので、二人の時間を邪魔するのも悪いですから」

 一輝はそう答えた。すると、その答えを聞いた綾香は、

「そうですね、そうしましょうか」

 そう返事をして、綾香は一輝と一緒に触れ合いコーナーを後にした。



 その後、一輝と綾香は園内を探索して、ラクダやキツネやレーサーパンダ等、様々な動物を観ながら園内を観て周った。

 そして、綾香はそんな動物たちを嬉しそうな笑顔を浮かべながら見て周っていたのだが。

 エリア5にある爬虫類コーナーを訪れた時には、綾香はあまり蛇などの動物が好きではないのか、笑顔が消えて分かりやすくテンションが下がっていて。

 その中でもニシキヘビを観た時は、綾香は悲鳴を上げてその場を走り去ってしまい、二人は再び周りにいた他の客から注目されることになるのだが。

 これに関しては、綾香は忘れて下さいと必死にお願いをしていたので、一輝もなるべく思い出さないようにしようと深く心に刻んだのだった。



 そんなこんなで、多少のハプニングはありつつも、二人は一通り園内を観て周り、出入り口付近で颯太と心愛が来るのを待っていたのだった。そして……

「よお、一輝、動物園デートは楽しめたか?」

 颯太がそんな事を言いながら一輝の前に現れて、颯太の背後には心愛が付いて来ていたので。

「ああ、僕たちはいつも通り仲良く過ごせたので大丈夫だけど……颯太たちは大丈夫だったのか?」

 一輝がそう質問をすると。

「大丈夫って、何がだ?」

 颯太がそんな事を言ったので。

「何って、颯太たちは触れ合いコーナーで少しだけ言い争いをしていただろ?」

 一輝がそう答えると。

「ああ、お前も観ていたのか、でも、あれくらいは俺たちにとってはいつもの事だから気にしなくてもいいぞ、なっ、心愛」

 颯太が心愛に向けてそう言うと。

「……まあ、そうですね、私たちはまだ佐藤先輩と立花先輩たちの様にラブラブではありませんから」

 心愛はそんなことを言った。すると、

「私たちも付き合い始めたばかりの頃は、ここまで仲良くはありませんでしたよ。でも、付き合っていけば少しずつでも仲良くなって行けると思うので、お互いのことをきちんと思っていたら、今はそれでも大丈夫だと私はそう思いますよ」

 綾香はそんなことを言った。すると、

「立花さん、ありがとうございます、ラブラブの二人にそんなことを言ってもらえると、私も自信が持てます!!」

 心愛はそんな事を言ったので。

「ラブラブなんて、そんな事は無いのですよ」

 綾香は嬉しそうに微笑みながらそう言った。そして、

「それじゃあ、颯太、そろそろここを出るか?」

 一輝が颯太に向けてそう言うと。

「あっ、悪い一輝、俺はちょっとトイレに行って来るから、少しここで待っていてくれ」

 颯太はそんなことを言った。すると、

「あっ、えっと、それなら私も行って来ます」

 綾香もそう言って、颯太の後に続いてトイレへと向かった。すると、

「佐藤先輩はトイレに行かなくてもいいのですか?」

 二人の背中を見送りながら、心愛がそんな事を聞いて来た。なので、

「ええ、大丈夫です」

 一輝はそう答えた。すると、

「そうですか、それなら丁度いいので、今朝の話の続きをしませんか?」

 心愛はそんなことを聞いて来た。そして、その話を聞いた一輝は、

「えっと、今朝の話というのは、黒澤さんの話を聞いて、その後、黒澤さんのやりたいことに協力するという話ですか?」

 心愛にそう聞くと。

「ええ、そうです、それで、佐藤先輩の答えはもう決まりましたか?」

 心愛はそう言って、一輝にそう質問をして来た。なので、

「ええ、決まりました、黒澤さんの話を今度、僕に聞かせて下さい、その後、黒澤さんに協力できる事があれば、僕の出来る範囲内でなら協力しますよ」

 一輝はそう答えた。すると、

「そうですか、やっぱり佐藤先輩としても、立花先輩と今以上に距離を縮めたいと思っているんですね」

 心愛は意地が悪そうな笑みを浮かべながらそんなことを言ったので。

「……まあ、確かにそれもありますが、僕としてはそれ以上に颯太と黒澤さんの関係が気になるという思いの方が強いです。颯太は僕にとっては大切な友達だから、黒澤さんの言っていたことの意味は気になるし、それに、黒澤さんには僕と立花さんの悩みを解決してくれた恩もあるので、それのお返しが出来るのなら、黒澤さんの手助けをしてもいいと、僕はそう思ったんです」

 一輝は自分の思いを正直に心愛に告げた。すると、

「前もお話ししましたが、私がお二人を助けたのは颯太先輩のためなので、佐藤先輩がその事を気にする必要はありませんよ、でも、そう思って頂けているのならそれでもいいです。それでは、明日の学校終わりの放課後、校門で待ち合わせをしませんか? その後はファミレスか何処かで私の話を聞いてもらうことにしたいのですが、佐藤先輩はそれでもいいですか?」

 心愛はそう言ったので。

「ええ、それで良いですよ」

 一輝はそう答えた。その後、一輝と心愛はトイレから戻って来た二人と共に動物園を出て、帰りのバスに乗り各々の家へと戻った。

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