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 1話 始まりの精霊使い

ありきたりな内容となっております。よろしければどうぞ!



 とある世界が終焉を迎えようとしています。貴方にはそのとある世界を救って頂きたいのです……、残念ながら拒否権はありません。

 しかし、代わりといってはなんですが、世界を救う上できっと役に立つ力を貴方に授けましょう。そして世界を救ったあかつきには、貴方の願いを叶えましょう。どんな願いでもです。

 ……ですから、どうか―――、

 ―――どうか私を、救ってください。



 目が覚めてから僕は、体感少し前にあった出来事を思い出していた。


「―――そんな事言われてもなぁ…………はぁ……」


 僕が一体何故どうしてこうなったのかも分からずままにあれよこれよと辿り着いたこの世界。救ってと言われても何の情報もないんじゃなぁーーーとは思うものの、一つ確かな事がある。


 眼下に広がるこんな風景が日本ーーーいや、地球であるはずがない!


 という事。

 ーーーきっと僕は地球で死んでここに来たのだろう。

 

 ……そう思うのは早計かな? いや、ファンタジー作品とかで有名な流れだし、なくはないとは……思う。

 それに、地球にいた時の最後の記憶が、家に帰る途中の夜道で、頭に衝撃と痛みを覚えてーーーで終わっているからね。多分僕は死んだのだ。


「……それにしても凄い景色だ」


 辺り一面に桜ーーー僕はピンク色の葉をした木が桜であるという認識をしているーーーが咲き乱れ、ポワポワと光る何かが無数に浮いている。

 それを見下ろしている僕は、どうやら少々高度のある所にいるらしい……いや、そんな事はどうでもいいか。


「さ、てと。まずは何をするべきなのか」


 軽く伸びをした僕は、これからの事について考えようとした。丁度その時、まさにご都合主義な展開が起こったーーーイベントが起こり、話が進む。


「そなたは何者だ? 見かけぬ姿だが」


 低めの女性の声がして、首に何か当てられたと思い横目で肩の方を見ると刃物が視界に映った。そして刀ーーー切っ先が漫画とかアニメ、教科書なんかでも見た事ある形状に似ているーーーの刃面が当てられてるのか、少しばかり首が痛い気がする。

 流石に刀を首筋に当てられた経験は無いので少しドキッとしたが、案外冷たくて気持ち良いな〜、なんて思ったりもするーーーなんて悠長に色々考えるが、この場を一体どうしたらいいのか……。


「……あぁえぇと、僕は怪しい人じゃ無いよ?」


「そう言う輩は大抵怪しい人物だ!」


 そりゃ、ごもっともなこって……。

 少しながら刀に力がこもった気がする。これは言う事を間違えたら殺されそうだ。ここは地球じゃないーーー多分ーーーんだから銃刀法なんて無いだろうし。


「信じてもらえないかもしれないけどーーーいや、多分信じないだろうけども、僕も急にこんな所に来てしまって困惑してるんだ。とりあえず、その……言葉のキャッチボールでもしませんか?」

 

「キャッチボール……なんだそれは? いや、そんな事よりも、急にと言ったが何処から来たのだ?」


「いやその、言葉のキャッチボールとは会話しようよって意味で、深い意味はないのですよーーーまぁその……なんて説明したらいいのかーーー」


 こういう場合、地球だとか、北の方とか、黄金の国から〜なんて言うと余計に混乱しちゃうだろうし、そうだなぁ、なんて言おうか……、


「ーーー死んで生き返ったらここに居ました」


 と、悩んだ挙句に起こった事のありのままを言った。よくよく考えてみたらこっちの方が混乱を招きそうだけども。

 すると刀が首から離れた。どうやら交渉成立のようだ……なんの交渉だったのであろうか……。


「そうか、転生者(リバイバー)であったかーーーいや、すまない。右も左も分からぬというのに刃を向けてしまって」


「……リバイバー?」


 知らない単語が出てきた。つまりは僕の様な人を指す言葉なのだろう……しかもそれが一般的に広まってる言葉なのだとしたら、地球人が存在してるという事だ。それも沢山……、


 みんなも救ってと言われてここに来たのだろうか?


 ともあれ、僕はこうして当てられた刀から解放され、ようやく相手が誰であるかを確認できた。赤髪のポニーテールさんだ。


「さて、そなたの名はなんと言うのだ?」


「あっ、僕ですか? ……雪峰 陽ノ野(ゆきみね ひのや)っていいます」


「ゆきみね ひのやーーーヒノヤ=ユキミネか。ではさっそくだがヒノヤ、そなたは何のためにこの世界に来たのだ?」


「なんの為と言われても……えぇっとあなたはーーー」


「ーーーリフィア=ローリアンだ」


「いや、別に名前を聞いた訳ではなくてですね……ーーーあなたはリバイバーが何のためにこの世界に来ているのかご存知なんですか?」


「質問を質問で返されるとは、酷く不愉快だ。だがしかし、そなたは理由も知れずにここに来たという可能性も出来た訳だ。どうなのだ?」


 この人はやけに鋭いな……僕が話さなくてもどんどん話が進む。しかしながら、救ってと言われてこの世界に来たから理由としては十分ではあるのだけども。

 話をややこしくしたくないし、その流れでいこう。


「まぁ、そんなところです」


 そんな僕の返答を聞いた彼女は途端に泣き出した。

 あまりにも唐突過ぎたので僕はどうしたらいいのか分からなかったのだが、とりあえず事が進むまで黙っていようと思った。


「ひぐっ……やはりそうであったか……。可哀想に。何も知らずこんな治安の悪い所に連れてこられて、さぞかし怖い事だろう。ささ、私が守ってやるからな」


「い、いや……そんな大袈裟な事では無いですよ?」


「いいんだ強がらなくても! さぁ、参ろうぞ!」


「何処に!?」


 なんて、急に始まった僕の新たな人生。

 先行き不安の真っ只中、僕は彼女に手を引かれて付いて行くしか他無かった。




 転生者、この世界(エデノラ)ーーーこの世界はエデノラというらしいーーーでは、リバイバーと呼ばれているみたいだ。

 僕の思った通りリバイバーはこの世界に何人もいて、それぞれな暮らしをしてるらしい。魔王を倒す為だったり、街を活性化させるだったり、その他諸々。中には僕のように理由もなく来る人がいるとかなんとかみたいだ。

 正直僕としてはどうでもいいし、僕があまりにも投げやりな理由でエデノラに来てるので、世界を救うとか、私を救ってとか関係ないーーーって考えれるのだけど、何も目標も無しに生きるのは退屈だし、今のところはエデノラを救う為に生きてみるのは良いかもしれないな。なんて思った。

 また、リフィアとの会話は他、よく分からないお店の情報だったり、とある人の英雄譚だったり、それはそれは興味無いし返事に困る内容だった。


「ーーーそういえばヒノヤは何か能力を貰ってたりしないのか?」


「……能力ーーー」


 そういえばなんか言われたな。世界を救う上で役に立つ力だとかなんだとか。

 さりげなく名前で呼ばれてるのはスルーしますが。


「ーーー分かりませんね……その感じだとリバイバーの皆さんは何かしらの能力を持っているものなんですか?」


「うぬ。元のエデノラには存在していない回復薬という代物を作り出す能力だったり、魔法を音で感知出来るだったり、シンプルに身体能力が向上したりだとからしい……私も詳しくは知らないのだがな……」


 とても分かり易い程に落ち込むリフィア。だからなんでそんなに感情の起伏が激しいのだろうか? 理解に苦しむ。落ち込む事なんて今の流れにあっただろうか。


「ふーん」


「あっ!! でもでも、リバイバーには精霊を憑依出来る能力が備わっているのだと聞いた事がある! さっそくやってみよう!!」


「うぇ!?」


 精霊? 憑依? なんかまた分からない単語が出てきたーーーいや、それぞれがどういう意味なのかは知ってるよ? この場合にどういう扱いになるのか知らないだけで。

 そもそもやってみようって言ったって何をどうするのさ。


「その顔は「精霊なんて何処にいるのさ」って顔だな。心配ご無用、私は精霊なのだ!」


「…………?」


 なんだかよく分からなかった。


「そうだな、説明してやろう。精霊とはこの世界に存在している人の形をした生物の事であり、リバイバーは精霊を憑依といって、色々な力を使う事が出来るのさ。なんでリバイバーがみな憑依出来るのかは知らない。なんと言っても、私が精霊として生を受けた時にそんな記憶があったからだからな」


 饒舌ですね。ビックリしちゃった。


「んじゃあ早速憑かせて貰おうかな」


「え、あぁ、はい……」


 なんて僕の返事と共にリフィアの姿は消えた。何処に行ったのかーーーとか思う前に僕に変化が起こった。やけに上半身が重くて、下半身に違和感……、


「えっ!? お、女!?」


 下を向いてまず目に入って来たのは二つの丘、大きくはないと思うが、ある事が分かる。逆に下半身の違和感は、あったものが無くなったという、ない事が分かるという状態。

 なんなら身体的な変化以外にも、今まで着ていた僕の服が、リフィアの着ていたような服に変わっていて、僕の体の周りに刀が5本浮遊していた。


「僕、女の子になっちゃった……」


(……可愛い〜〜! 見た目はそんなに変わらないけど、元の素材が良いから、本当の意味で女の子だよー!)


 リフィアの声が頭に響く。取り憑かれたことによって、念話? テレパシー的な何かになったのかもしれないなーーーではなくて、色々と理解が追いつかない。

 すると、


「……っ! いやっ、ちょっと!!」


(あれれ? 初いな。こんな事自分でしてこなかったのか?)


 僕の身体は制御が効かず、リフィアに勝手に手や腕を動かされる羽目となった。それを良い事に胸やら下半身やらを弄られるという羞恥を受ける。

 待って、これ以上は不味いよ!

 なんて切迫した状況の中、僕の目の前に地球では見た事のない様な動物が出て来た。見た目を一言で言うならキメラーーー虎の頭に梟の羽に犬の身体、尻尾が牛……らしい。まぁ、この情報は後から知った事だけどもーーー合成獣という奴だ。


「んっ! リフィアっ! ……なんか出てるっ!」


(なんか出る? イきそうなのか? よし、じゃあスパートだ)


「ちがっ! 目の前になんか居るの!!」


(ヒノヤの可愛い喘ぎ声に誘われてきたのかもなーーーさて、邪魔者は排除する!!)


 なんだかキメラが可哀想になってくる程にどうでもいい理由で殺害対象。申し訳無いけど助かった。

 僕は刀を構えてーーー正確には僕に取り憑いたリフィアが構えてーーーキメラに突貫する。僕は感覚のズレを感じ気持ち悪くなるが、身体は止まらない。一瞬の内にキメラとの間合いが無くなりーーー


「(はぁっ!!)」


 ーーー目にも止まらぬ速さの斬撃により、キメラが肉塊と化したのだった。絶対僕にはできない行動を僕がしているという矛盾に頭が混乱するーーーだって、あの一瞬で浮いてる刀に何回も持ち替えるんだぜ? 人間技ではない事が確か……。

 あとリフィアが力んで声出したからか、僕の口からも同じ声が出た。なんだか恥ずかしい……。


(どうだ、強くなった気分は?)


「……とりあえず、僕の中から出てってください」


 そしてもう一生入ってこないで頂きたい。




 そんな道中を過ごしてようやく街に到着した。桜並木を超えたその先、桜に囲まれた和風チックな建物郡ーーーまさに幻想的!

 なのであるが、行き先の知らされていない僕としては、ここがゴールであるとは限らないのではないかと、そんな一抹な不安を覚える。


(嫌だ! ヒノヤの中から出たくない!!)


「出てってください」


 このやり取りに関してはもう何度めかは分からない程してきた……いやほんとにもうかんべんして。


(酷く居心地が良いのだーーーそんなことよりも、だ。この街ーーーアラールドには、私の属しているギルドがある。まずはそこに向かおう)


 ギルド……これまた心踊る響きだこと。


(……ギルドとはな、至極簡単に言うと何でも屋の事だ。しかし、分かりやすい様に三つに分かれているーーー)


 傭兵ギルド。主に戦争や狩猟を商いにしている。

 運搬ギルド。主に何かを運ぶのを商いにしている。

 商人ギルド。主に物販を商いにしている。

 だそうです。


(とはいうものの、ギルドはギルド。依頼の種類は何でもござれで、基本は何でも屋だ。因みに私が居るのは傭兵ギルドだぞ)


「あの、聞いてないのですが?」


(聞きたそうにするからだ。中にいるとヒノヤの考えが手に取る様に分かる)


「じゃあ、ちゃんと聞いて! 出てってください!」


 勘が鋭いのになんて我儘なんだろうか。親の顔が見てみたい……。


 そうこうして僕たちはーーー歩いてるのは僕だけなのだがーーーアラールドを歩き続けて20分程だろうか? リフィアの所属しているというギルドに辿り着いたのであった。


(さて、名残惜しいが……)

「ヒノヤから出るとするか」


 リフィアのそんな言葉と共に僕の身体に変化が訪れた……いや、この場合は元に戻ったというべきなのだろうかーーーそれよりもようやく出てくれた。なんか自分の中に誰かが入っているという事実は受け入れがたいものがあったのだ。

 そしてリフィアはおもむろにギルドの扉を開け放ちーーー


「ただいま帰った!」


 ーーー凛々しい声音。ギルドというのは体育会系なのであろうか……? こんなに大きな声出して帰還を伝えないといけないのだろうか……?

 なんて僕の素朴な疑問は後回しとして、僕はズンズンとギルドの中に入って行くリフィアを追っかけた。


 ギルドの内装はやはり街に合わせてか和風の一言で、特に目を引く物は大きな掲示板にーーー街やこのギルドの雰囲気に似合わない服装をした男達に女達……いや、あのカウンターの向こうにいる女の人しか雰囲気に合ってないぞ!

 まぁ、地球にいる時にラノベとか読んだ事あるし、大体こんな感じってもんで、なんとなく状況に置いてかれないで済みそうだ。

 

「あ、リフィアおかえりなさい」


 そして、件のカウンターの女性がこちらに声をかけて、ちょいちょいと僕達を呼んだーーーいや、僕は初めましてだしリフィアを呼んだのだろう。

 ……着いていく。


「あら可愛い! どうしたのその子!?」


 んっ……僕の事?


「拾って来た」


 えっ……それは語弊が生まれーーー


「え〜、良いなぁ〜」


 ーーー生まれはしなかったけど、僕としてはなんか嫌な流れになったなぁ……。

 でも、ありがたい事にリフィアが僕の事を知らせてくれたので良かった。途中、虚偽や膨張があった気がするが……まぁ、人見知りコミュ症の僕が説明するよりは良いだろう。

 ……と、話は一転し。


「色々あったのねぇ〜。……でも、二人とも無事で良かったわ。そして、アラールド近辺の調査も無事という事で……確かに」


「通り魔に繋がる情報は無かった……これでは夜もウカウカ行動出来ん。一刻も早く解決せねば」


「そうよねぇ。でも、未だに尻尾の先ですら触れさせてくれないから……難しい所よ」


 絶賛置いてけぼりの僕であった。何!? 今この街危ないの!? 先行き不安なんだけど!?

 多分だけど、纏めるとーーー


 リフィアは今街で起こってる通り魔事件の解決の為、アラールド周辺を調査していて、そこに僕が召喚された。


 ーーーという事なのかな?


「あぁ! ごめんヒノヤ! 難しい話は後で分かるように説明してやるからな。キャローラ、部屋を頼む」


 なぜ僕に話す時だけ甘い声になるんだ……、絶対僕子供扱いされてる。そしてカウンターの女性の方はキャローラという名前であると分かった。


「今夜はお楽しみねぇ〜、二階の一番奥の部屋が空いてるわ。好きに使いなさいな」


「ありがとう」


 いや、何を思ってるかは知らないけど、その歓迎の仕方はありがたくはないな……。




 所変わってギルド二階、一番奥の部屋。

 部屋はそこまで広くは無いが、一晩泊まるには十分な程だ。しかしながら問題があるとすれば……、


「ようやく落ち着いたな」


「……あの、近過ぎませんか?」


 ベットがシングル一つだけという事だ。


「仕方あるまい、このベットは一人用」


「いや、知ってます……」


 正直な話、地球にいた頃に異性とこんな至近距離になった覚えがないーーー家族を除くーーーので、内心ドキドキしていた。

 いや、そもそもの話、今日僕はリフィアに強姦紛いな事されたし、こんな危険人物と近距離に居ること事態最悪だ。


「今でもヒノヤとラブラブしたくて堪らないのだが……明日は早くから仕事があるのでな、休息に入りたいのだ」


 やはり危険人物でした。

 しかしながら、まだ昼? 午後の明るい内というべきか? なのに、ギルドの宿に入った理由が分かった。どうせ僕もそれに同行するのだろう。

「んっ、」とリフィアは姿勢を正し、こちらに向き直る。ベットに正座してる状態だ。

 僕もそれに呼応し正座して、リフィアと対面する。

 別に僕までそうする必要無いかと思うのだが、何故かそんな雰囲気だった。


「改めて、今アラールドで起こってる出来事と私が何をしていたのか、ヒノヤの力について説明しようと思う」


「あっ、はい。よろしくお願いします」


「私は元より、ギルドから受けた依頼の最中だったのだーーー」


 通り魔事件が起き出してから一週間。それが現時点の街の状況。

 私はアラールド近辺に現れ始めたキメラの掃討、出処の追求、見つけ次第破壊と長期の依頼を受けていた。暫く街には戻れていなかったのだが、定期的にキャローラから街の状況は聞いていたのだ。だからこそ、通り魔事件の犯人に繋がる手掛かりも探し始めた。

 ーーー結果として、犯人の手掛かりは見つからなかったものの、キメラの出処は掴めた。しかしながらそこで、


「僕に出会った訳ですか……なんかすいません」


「なっ! 謝る必要ないぞ!? その……なんというか、私もヒノヤの事、キメラを生み出してる、もしくは通り魔事件の犯人かと疑ったものだ」


 成る程。それならば出会い頭のあの状況は理解出来る。そりゃ、あんな森の中に居たら怪しい人だ。


「それならば、お互い様ですね」


「そう言ってもらえるとありがたい。……さて、話は変わるが、ヒノヤのその力についてだがーーー」


 まずは精霊について説明しよう。

 精霊とはこの世界において、目には見えない力の具現化的存在であり、私の様に人の形をしている。機能も人と変わりないから、もう一つの人間という種族と捉えて良いのかもしれない。

 そしてリバイバーはそんな精霊を憑依出来る力を備えている。だから精霊の私はヒノヤに憑依した。体験してるから分かりやすいだろ?

 さらに、憑依した事でヒノヤ自身の身体能力が向上。私の精霊としての力がヒノヤに移り、私自身が能力を使うよりも強力になっていたのもある。

 ここからが補足説明……というよりも気付いた事なのだが……憑依してからというものの、ヒノヤからあまり離れれなくなってしまったのだーーー


「ーーーあの時は、恥ずかしながら私は興奮しててな、おおよその説明しか出来なかったから、改めて説明させて頂いた。何か質問はあるか?」


「リフィアに襲われた事について謝罪が欲しいです」


「それは出来ない相談……っだ!」


「ひゃっ!?」


 謝罪を求めたはずなのに、リフィアはあろうことか僕を押し倒した。一体どういう事なのだろうか?


「例えヒノヤに嫌われようと私は後悔などしない! だってこんなに可愛いヒノヤが悪いのだから!!」


 なんて言って、罪を僕になすりつけたリフィア。そのまま抱きつかれ、僕は抱き枕状態になった。

 シンプルにやめて頂きたいのだがーーー僕の理性的な意味でーーー、もはや離す気はないらしく、僕は諦めて大人しくする事にした。

 あと、明らかに僕よりもリフィアの方が力が強いから、解きたくても解けない……。

 まぁ明日は早いみたいだし、新しい事ばっかで疲れたから、寝るか。

 こうして僕の異世界エデノラでの一日目が終わった。いや、あるいは、第二の人生の始まりなのかもしれない。



「ようやく会えたね」


 眠気が襲い、意識が朦朧としている中、そんな言葉が聞こえた気がした。


 

 


初めまして眠miN人ミンミントと申します。趣味で書いてる都合上投稿は遅れますが、暖かく見守って頂けると嬉しいです!



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