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青い春を漂う  作者: CHIKA(*´▽`*)
外伝 二人の出会い

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亀山 文香との出会い

 文香と出会ったのは小学一年生の時。

 小学一年生の頃にこの町に引っ越して来た。おばさんがこの町出身とのこと。

 高校卒業後に大学に通う為に上京した。そしてそこで出会いがあった。



 その出会いの場というのは合コンだ。

 おばさんの友達が合コンに参加してみないか、と誘ってきた。

 その友達とは大学で知り合い、仲良くなった。



 恋愛なんてものには特に興味がなかった。全くというわけではなかったけど。

 人並みに少女漫画や恋愛小説や映画を嗜む程度。

 ということで、そこまで乗り気ではなかった。行かないという選択肢も考えた。



 でもたまには普段しないようなことをしてもいいのではないか。となり行くことにした。

 それにもう一つだけ理由があった。

 それは人生でせめて一回くらい、合コンに行ってみたいといったもの。



 そもそも誘われたのが初めてだった。

 今までの友達はみんな大人しい子ばかりだった。彼氏がいた子もいたけど。

 でもそれは自らアプローチをした結果。



 クラスメイトが合コンの話をしていたのを、小耳にはさんだ程度だった。

 それが今、自分の目の前にある。恋愛なんて文字はほとんどなかった。

 ただ『合コン』、この文字だけが頭の中を埋め尽くしていた。



 そういう経緯があり、参加することになった。人生初の合コン、とてもドキドキした。

 場所は普通の居酒屋。友達と何回か行ったことのある、行き慣れた店だった。

 彼女にとっては非常に有難かった。



 知っている場所なだけで圧倒的に、気持ちが楽になるものだ。

 個室に案内されると、男性が三名、女子が一名。三対三でのものだった。

 想像以上に少人数で安心した。一番外側の席に座ると、合コンは始まった。



 女性側は全員、同じ大学の人だった。友達と彼女とあまり話したことがない人。

 でもすぐに打ち解けた。やはり友達と仲が良いだけで、価値観や考え方が共通している所があった。

 ということですぐに仲良くなった。



 男性側は全員、違う大学の人だった。金髪でチャらそうなファンションをしている人、

 眼鏡をかけている、雰囲気も髪型も全てが大人しそうな人、少しぽっちゃりとしたおおらかな雰囲気の人。

 同じ大学で知り合ったらしい。



 なんと三人、共通の趣味が合ったとのこと。まだこの時点ではどんな趣味なのかは言ってなかった。

 軽くお互いのことを聞いたことで早速、自己紹介をすることに。

 友達の名前は美亜。そしてその日に仲良くなった人の名前が真央。



 二人とも下の名前しか名乗っていなかった。だから彼女もそうした。

 おばさん、おばさんばっかり言うのもあれだから、きちんと彼女のことも名前で呼ぶとしよう。

 名前は百合子だ。

 


 今度は男性陣が自己紹介の番となった。

 金髪の人が厚司。眼鏡のかけた男性が達郎。少しぽっちゃりとした人が優希だ。

 そして、ここからフリートークの時間。



 かなり緊張していたし言葉に詰まる時もあった。

 でも美亜さんや真央さんのおかげで楽しく会話が出来ていた。

 女性陣の援助だけじゃない。男性陣のみんなも助けてくれた。



 話題を自分に降って来たり、注文するものはないかと聞いてくれた。

 とても有り難かった。

 特に達郎さんが誰よりも、気にかけてくれた。



 話している時も百合子さんに分かるように簡潔に言ってくれたり、自らサラダや串を取り分けてくれたりもした。

 まぁ個人的にはちょっと、気にかけすぎかなとは思うけど。

 彼女にとってはとても有り難かった。



 それと同時に彼に心魅かれるのは時間の問題だった。

 ちなみに彼らの共通の趣味について。それはフリートークの時間に話してくれた。

 その趣味というのは音楽鑑賞だ。三人とも音楽を聴くのが、とても大好きらしい。



 多少のジャンルの違いはあったけど。ただ一人だけ共通で好きな歌手がいた。

 その歌手は人前に滅多に出ない。ライブも当時はまだ一回もしたことがない。

 でもシングルは全て何かしら、タイアップされている。という謎多き存在だった。



 歌はいつ聴いても響く歌詞のものばかりだった。暗すぎずにかと言って明るすぎずに。

 そしてその言葉も、自然な言い回しや誰もが共感できるものとなっている。

 だからストレートに心に響くのだ。




 そして何故、彼らが仲良くなったのかと言うと。入学してから数日経ったある日のこと。

 少し早めに登校した厚司さんがその歌手のアルバム曲を大熱唱していた。

 彼は歌うのも同じくらいに大好きだったのだ。



 そこにたまたま一緒の時間に登校して合流した、優希さんと達郎さんが到着。

 二人ともすぐに誰の曲か分かった。

 そこから厚司さんの元に行き、その歌手のことが好きなのか聞いた。



 もちろん返答はYES。魅力やどんな歌が好きなのかという話になってとても盛り上がった。

 曲の好みは流石に三人とも違っていた。でもそれも良いよね、とその違いすらも楽しんでいた。

 この件から彼らは講義を一緒に受けたりお互いの家に遊びに行ったりと、かなり仲良くなったのだった。




 話は合コンに戻る。次の日がお互い講義があるということで、二次会はなしでお開きということに。

 全体的にみんなと仲良くなった。

 達郎さん以外の男性とも楽しく会話が出来てとても充実とした時間を過ごせた。



 厚司さんの提案で全員、電話番号を教え合うことに。そしてその日は解散となった。

 これが百合子さんと達郎さんの出会い。

 それからは度々電話をしたり、実際に会って遊びに行ったりを繰り返していた。



 そしてその年のクリスマスにプロポーズをされたのだった。

 しばらくは東京で暮らしていた。

 文香が生まれてから数年後に、小学生になったら地元に戻りたいと達郎さんに話した。達郎さんは快く承諾してくれた。





 そして時は流れ、話はあたし達の出会いに戻る。

 小学一年生になって一週間くらい経った日のこと。

 昼休み、誰かと何かをすることもなく図書室に行こうとしていた。



 友達がいない、というわけではなかった。

 保育所の頃からそれなりに仲のいい友達は数名いた。

 でも無理に合わせてくれていたのだろう。



 小学校に上がると初めて会う子に自分には、見せたことのない笑顔で話していた。

 幼いながらにあの子達は無理をしていたのだと気付いた。

 自分にも話しかけに来てくれたけど。



 その様子は自分が見たのと少し違いがあった。

 周りから見たら仲良しに見えるだろうけど、そうじゃない。

 きっと他の子と絡んでいる方が楽しいのだろう。一緒にいても虚しかった。



 本心で関わって来ないから。

 遊ぼうと誘われても勉強するから、図書室行くからなどと毎回断っていた。

 この日は図書室に行くからと断って、その言葉通りに行こうとしていた。



 もうあの子達も誘うのをやめるだろう。あたしは一人ぼっちになるのかな、なんて考えていた。

 教室の扉を開けると、廊下に少し人が群がっていた。

 一体何なのだろうと思い、群がっている内の一人に聞いてみた。



 コンサートをみんな聞いてるんだよと教えてくれた。

 そうは言ってるけど肝心の歌声が、全くと言っていいほどに聞こえなかった。

 本当に歌っているのかと思い人の中に入り、その本人に近付くことに。



 そんなに多くなかったからすぐに辿り着いた。

 そこには食玩のおまけについているマイクを持った少女がいた。

 ゴムで留められた茶髪の二つくくりの髪が、風に吹かれて揺れる。



 学校指定の体操服をきちんと着ていた。

 でもオーラがあるのだろう。それはコンサート用の衣装ではないかと、思わせるほどだった。

 その少女の口から聞こえるのは、裏声の歌声。



 声量もないし、高音の響きも良くない。ところどころ少し苦しそうに聞こえる。

 そして小さ過ぎて何を歌っているかすら分からない。

 「あんた、何でそんな声で歌ってるの」



 つい口に出して言ってしまった。その途端に一気にみんなの視線が自分に集中した。

 恥ずかしくて俯いた。

 やってしまった。こうやって思ったことをついつい、全部言ってしまう。



 だから誰とも仲良くなれないんだ。自分の性格をこれでもかってくらいに恨んだ。

 ひそひそと話している声が聞こえてくる。きっと自分のことを言っているのだろう。

 何で自分は昔からこうなんだろう。自分を責めていたその時だった。



 「もっと上手になれる方法をあなたは知ってるの?!」

 その声に顔を上げた。彼女は目を輝かせて手を握っていた。

 「私、もっと上手になりたいの~。あなたが知っていることを全部教えて欲しいなっ」



 こんなこと言われたの初めてだった。

 今まで他の子に同じように言ったら、言い合いになったり、喧嘩になったりと散々だった。

 それなのにこの子は悲しんだり怒るどころか、喜んでいる。



 「……お母さんが言っていたけど、変に声を作るんじゃなくて、いつも話す声で歌った方が声も大きくなるし、聞こえやすくなるって」

 彼女も自分と同じミスをしていた。去年まで自分も同じように、裏声で歌っていた。

 そもそもあまり人前で歌うことがなかったから、特に気にしていなかった。



 とても気に入った曲があって気がついたら、いつも歌っていた。だからお母さんがいた時も、歌っていた。

 歌っている様子を聞いて優しく、アドバイスをしてくれた。

 その通りに歌ってみると、以前より声は響くし苦しくない。



 変に可愛くしようとしなくても、そのままの声でいいんだと分かった。

 「いつもと同じ声か~。ちょっと歌ってみるね~」

 そう言うと、彼女の口からはっきりと歌声が聞こえた。声量もあるし前より聞こえやすい。



 その変わり具合に周りがざわざわとなった。

 「この曲って……」

 その歌に聞き覚えがあった。この歌こそが好き過ぎていつも歌っていた曲だった。




 その当時、世間ではとあるアイドルグループが社会現象を起こすほど、人気になっていた。

 それではなく、別のグループが好きだった。当時もそうだし今でもそう。

 何ならそのグループが所属している、会社のアイドルが全員好きだ。



 プロ意識の高さ、パフォーマンスの完成度などと全てが申し分なかった。

 でも世間にはその良さが伝わらず、別の会社のアイドルグループがヒットしたのだった。

 周りの子はみんなそうだった。そもそも自分だけしか知っていなかった。



 名前を言ってみても、聞いたことがないなぁ、で終わり。

 とても寂しかった。

 そんな時にアニメのOP、EDのタイアップが決まった。



 そんなことも知らずに新しく始まったアニメを見ていた。OPがかかった途端に分かった。

 私の好きなグループだ、と。とても嬉しかったのを、今でも覚えている。

 そのおかげで少し知っている人や興味を持つ人が増えた。



 残念ながら今はそのグループは解散して、メンバーの一人は芸能界を引退している。

 それでも今も大好きなグループだ。

 そして好きだったのはOPではなく、EDの方。



 メロディーもEDだけど、比較的アップテンポな曲調。

 そして歌詞が素直になれない自分への応援歌となっている。

 サビの歌詞に馬鹿野郎とあるけど、全然気にならない。



 言葉遣いは良くないかもだけどこれは、自分自身に向けて歌っているもの。

 確かに自分自身にこういう言葉言っちゃう時って、あるよねと共感した。

 その歌を彼女は笑顔で歌っていた。サビのワンコラースの歌詞だけ。



 歌い終わると彼女に手を握られた。突然の出来事に、驚く暇もなかった。

 「ありがとう! あなたの言う通りにとっても上手になったよ~。あなたのお名前は~何て言うの~」

 「……水本結……だけど……」



 「結ちゃんね! 私の名前は文香っ、亀山文香だよ~」

 そう言うと色違いのマイクを渡してきた。

 「一緒に歌お~よっ」



 まさかの提案。断ろうとしたけど、彼女は満面の笑顔。

 きっと断ったらこの笑顔は曇ってしまうだろう。

 「い……いい……けど」



 「やった~! ということで、今からスペシャルゲストの結ちゃんも参加するよ~」

 そう言うとまた人がぞろぞろと増えだした。

 一気に場が盛り上がった。そしてその中には、あの友達たちもいた。



 嘘をついたことがバレてしまう。逃げてしまおうか、なんて思っていた。

 「結ちゃんっ」

 文香が手を優しく握った。



 「楽しもうねっ!」

 とても爽やかな笑顔で。この笑顔を見てもうどうでも良くなった。

 今はこのコンサートを思う存分に、楽しもう。

 そして文香と一緒に歌い出した。



 その後はあの子達とわだかまりを解くことができた。

 素直に自分の気持ちをぶつけた。気持ちを理解してくれた。

 それどころか謝ってくれた。



 今でも関わりがあるのは、文香以外だと一人。

 喧嘩したとか険悪になったわけじゃなくて、自然消滅って感じで話さなくなった。

 自分から連絡取ろうという気にも、ならなかった。



 その子自身とも仲が良いけど、一番仲が良いのはその妹。

 その子よりもよく妹の遊びに行ったり、通話をしたりしている仲だ。





 これが文香との出会い。大袈裟じゃなく手彼女に出会って、人生が変わった。

 あの日に彼女と関わることがなかったら、今でも一人だったかもしれない。

 友達がいたとしても、自分の素をさらけ出せなかったかもしれない。



 出会えて良かった。こういうことは照れ臭いから、普段あまり言えないけど。

 でもたまには、ちょっとだけでいいから素直になりたいな。

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