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青い春を漂う  作者: CHIKA(*´▽`*)
美術館での出来事

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30/39

運が良いのか悪いのか分からない日

 扉を開けると途端に、どこに吊るされているか分からないくす玉が開いた。

 本当に急だったから驚くことすらもできずに、ただノーリアクション。

 一体何なのだろうか。見上げるとくす玉は天井に吊るされていた。



 それだけでなく沢山の金魚が天井を泳いでいた。

 群れで泳いでいるのもいれば、それを気にせず、自由に泳いでいるのもいた。

 天井だけでなく館内も普通に泳いでいた。けど天井の方が数は多かった。



 館内を立ち止まったまま色々と見渡していると、大河君が優しく肩をポンポンと叩いた。

 「結、前を見て」

 ボソッと言ってくれたので前を見た。



 多少の距離は取っていたけど、結構近い位置に館員だと思われる人が数名いた。

 しかもみんなとても笑顔。周りの人もあたし達をなんだなんだと見ている。

 「おめでとうございます!」



 スタッフ全員が声を挙げてクラッカーを鳴らしていた。

 「……へ?」

 一体何がおめでたいというのだろう。呆然とするしかなかった。



 「お客様は今日透海美術館が開館してからの記念すべき100人目です! この透海美術館は毎日開館してから50人区切りで、その方をお祝いしています」

 「……どゆこと?」

 理解力が乏しいせいだろう、あまり理解できなかった。



 「つまりここは毎日50人区切りで50、100、150とのように祝っているってことすか」

 大河君がまとめてくれた。なるほど、そういうことか。

 「そうですね。そういうことになります」



 やっと理解をすることができた。それを運よく、今日の100人目になったってわけか。

 今さっきまでの出来事は一体なんだったんだ。もしかしてこれの為か。

 「ちなみに今日はですね。レストランで麺類オンリーやdayをやっています」



 笑顔を崩すことなく言うスタッフの方々。流石プロと言ったところか。

 「ん?」

 さらっと自分にとって、重要なことを言っていた気がする。



 「麺類オンリーやでいとはどういう意味なんすか」

 心の声が聞こえたのかと言わんばかりに、代わりに大河君が聞いてくれた。

 「言葉の通り、今日はレストランでは麺類しか扱っておりません!」



 人がそれなりにいたから大声を出さずにどうにかなったけど、今にも叫んでしまいそうだ。

 レストランにたくさんのレパートリーを求めてきたのに、今日は麺類だけだと。

 百歩譲ってその提案はまだ良いとしよう。ただせめて、せめて事前に言ってくれ。



 様々なメニューがあるからご飯も共に食べよう、と思っていたのに。

 麺類しか今日は食べることができない、となると選択肢も狭くなる。

 今の気持ちを一言で表すとするなら……ふざけるな、これ一択だ。



 そんな様々な気持ちを押し殺してとりあえず愛想笑い。

 ちゃんと出来ているかも分からないけど一応、形だけでもしておく。

 本当なら、怒鳴り散らしてもいいくらいな感情になっている。



 でも周りには他のお客様がいるし、何より大河君が近くにいる。

 そんなことは迂闊にできない。そして何より自分らしくない。

 「良かったらレストランまでご案内しますが、いかがなさいますか?」



 何事もなかったように案内をしようとするスタッフ達。

 何回もパンフレットを読んでいたから覚えていた。

 けどせっかくそう言ってくれたし、案内してもらうことに。



 それらしいことを言ってるけど、まだ腹正しいから仕事を増やしたいだけなんだけどね。

 案内をしてもらっている時にふと、思ったことがある。

 あっあたし今、お寿司とミネストローネが食べたいな、と。

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