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青い春を漂う  作者: CHIKA(*´▽`*)
不思議なあの人

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想い出のリップ

 デパートの店員さんに思いつく限りの希望を言った。

 それはどんなことを言ったか詳しくは覚えていない。



 でもただ強く印象に残っているのは。

「すっぴんみたいなのがいいです!」



 この時は本当にメイクというものを詳しく知らなかった。今もそこまで知らないのだけど。

 だからあまりメイクしてますって感じがあまりしないものが良かった。



 それで店員さんが紹介してくれたのが、シャノワールのリップだった。

 見た限りはだいたいのブランドが口紅つけてますといった、感じの色ばかりだった。



 それに対してシャノワールのリップやリップグロスは、透明感や素の唇の色に似た色ばかりだった。

 まさに探し求めていたものだった。



 確かにメイクはしたかった。だからデパートに買いに来たのだ。

 でもモデルや女優がつけているような派手な色は何故か嫌だった。



 最初だからということもあったかもしれない。でもあまり着飾りたくなかった。

 自然体が一番良かった。



 今になって男性受けは少し悪そうなメイクや濃いメイクをするようにはなった。ほんの時々だけど。

 でも当時は頑なにしようとしなかった。



 今では何故かはきちんと分からない。でも少しなら分かる。

 自然体の自分をあの人に見て欲しかったんだって。



 そこで出会ったのがシャノワールだった。ファンデーションもマスカラもアイブロウもアイシャドウ。

 どれも全部が求めているようなものだった。



 シャノワールのコンセプトは『可愛く美しくそして綺麗な自然体の私』というもの。

 全部が私にぴったりだった。でも真っ先に気になったのは口紅。



 デザインが可愛かった。そこから一気に惹きこまれたのだ。

 口紅のケースはほとんどシンプルでよく見ると小さな黒猫のシルエットがあったくらい。



 見た目は本当にシンプル。でもキャップを取った途端に驚いた。

 ピンク色のルージュの真ん中に銀色のラメのハートが刻まれていたのだ。



 見た瞬間にとても買いたいと思った。

 一瞬、これでは自然体にならないのでは? とも思った。



 近くに実際に塗ってみたモデルの写真があった。見てみると全然そんなことはなかった。

 求めている可愛さ、ラメなのに透明感、まるで素の唇の色が輝いているように見えた。



 一番、自分の唇の色っぽいものを買った。

 それからはあまりメイク用品を買っていない。買うとしてもプチプラをほんの少し買うくらい。




 何で今までこんなことを忘れていたんだろう……今日はそんなことばかりだ。疲れているのかな。

 おでこを触ってみた。けど熱くも冷たくもない常温だった。どうやら熱はないようだ。

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