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めぐり Meguri

作者: ハツエモン

いつもの終電に乗ってうたたねしているとーーー見慣れない駅に停車した。その駅の名は、「めぐり」。

 ようやく来た電車に乗った。一両編成、単線の典型的なローカル線である。朝と夜は、かろうじて1時間に2本走るが、昼間は走らず時刻表の大部分は空白である。

 運転士兼車掌が、ホームに降りて確認しドアーを閉める。

「本日の最終電車が発車します。」

 ドアーが閉まって、電車がゆっくりと走り始める。駅のホームを抜けると窓の外は真っ暗で何も見えない。田畑と山だけなのだ。向かうの窓に自分の疲れた顔が映っている。電車に揺られてうつらうつらとしてしまった。

 がたんと車両が大きく揺れて停車し、ドアーが開いた。はっとして目が覚める。

 振り返って、駅の看板を見る。「めぐり Meguri」という表示が見えた。そんな駅あったっけ?と思いながら、まあ終点まで乗ればいいのだからと再びまどろむ。電車は、再び走り始める。

 がたんと車両が大きく揺れて停車し、ドアーが開いた。はっとして目が覚める。

 振り返って、駅の看板を見る。「めぐり Meguri」という表示が見えた。そんな駅あったっけ?と思いながら、まあ終点まで乗ればいいのだからと再びまどろむ。電車は、再び走り始める。

 がたんと車両が大きく揺れて停車し、ドアーが開いた。はっとして目が覚める。

 振り返って、駅の看板を見る。「めぐり Meguri」という表示が見えた。そんな駅あったっけ?と思いながら、まあ終点まで乗ればいいのだからと再びまどろむ。電車は、再び走り始める。

 え?これは夢なのか?同じ駅に何度も停車している。よし今度はしっかりと起きているぞ。

 がたんと車両が大きく揺れて停車し、ドアーが開いた。

 振り返って、駅の看板を見る。「めぐり Meguri」という表示が見えた。

 さすがにおかしい。テレビ番組のドッキリではあるまいし。運転士の方に歩いてゆき、話しかける。

「これどういうことですか?」

 運転士は、帽子をまぶかにかぶっているしマスクもしており顔や表情が見えない。

「気づいたようですね。そう、ここは冥途へ向かう路線。めぐり駅に88回止まると、三途の川へ参ります。念仏唱えると戻れます。」

 私は慌てて、声にならない声を振り絞った。

「なむ、なむ、南無阿弥陀仏!」

「気が付きましたか?」

 医療用のガウンを着た医者らしき男が上から覗き込む。目を開けると多くのモニターに囲まれたベッドに寝ていた。体が動かせない。ベッドの周りに家族がガウンを着て立っている。

「お父さん、気が付いた。お父さん!良かった。」

 妻が私の肩を揺さぶる。

 どうやら、線路を並走する道路を走っていた大型トラックが運転士の居眠りかなんかでカーブを曲がり切れずガードレールを突き破り、私の乗っていた終電に突っ込んできたらしく、トラックと電車は一緒にそのまま崖に転落したらしい。

 あのまま、めぐり駅に88回停車していれば、三途の川へと向かうことになっていたのだろうか?

 

 

めぐるという事からは、例えば四国の88か所霊場の巡礼を想起されます。人は繰り返すという行為を通じて、あの世との結びつきを持とうとしているのではないでしょうか?また、仮死状態において、様々な事象が見えたという体験談も良く耳にします。今回は、通勤に使う電車と駅という日常的な舞台を設定し、事故で九死に一生を得た男の話を書いてみました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 結構猶予ありそうなので、よっぽどのんびりしていたり、観念していない限りは助かりそうですね。 [気になる点] 九死に一生を得た感はかなり薄いかと。助かるためのハードルが低く見えるので。 [一…
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