表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

それはどこから見た景色?

作者: おちゃっぱ

むかしむかしあるところにとても貧しい少年がおりました。


少年は誰から見ても不幸で、悲惨な人生を歩んでいました。


時には泥水をすすり、時には動物の糞尿で飢えをしのぎました。


時には裸足で荒野を走り、時には毒虫や猛獣の住む森に腰を下ろしました。


全てが少年に味方しようとはしませんでした。


しかし、少年は絶望を受け入れませんでした。


少年は希望を信じ続けました。


少年は上を見続けました。


あの途方も無い青空を。


そして、労働者になり、


金を手に入れ、町人となり、


人望を集めて、名主となり、


功績を称えられ、貴族となり、


国を治めて、王となり、


全てを手にいれ、神になったのです。


少年が手をかざせばやせた大地も花が咲き乱れ、


病に苦しむ人々も少年が触れれば瞬く間に元気を取り戻しました。


神となった少年を人々を皆、慕い、崇めました。


少年も今まで越えてきた道の上の人々を全て助けました。


少年は世界を究極の平和に導きました。


この少年にできないことはありませんでした。


少年はこの世の問題を全て消滅させました。


そして少年のすべきこともまた終わりました。


いつの間にか少年は目指し続けた空に届いていました。


少年の上には何一つありませんでした。


少年は上を見てきました。


絶望の底では人を見ました。


働き手となり生活を見ました。


町にまぎれて金を見ました。


媚に隠れて栄誉を見ました。


名を翳して権力を見ました。


上を見回し全てを見てきました。


今、少年の下には全てがありました


そして少年は絶望の意味を知りました。


       ====END====

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ