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魔王、検証する

まずは時間検証。

そしてあの高校生達が実在するのか検証。

実在するとして、彼らは今どうなっているのか確認。

後、ゲーム内のアイテムが異世界で使えるのかも検証したい。

とりあえず、この3つの検証を今から行う。

私はカップを捨てると、捨てる予定だったデジタル時計をハードディスク前に置く。

そしてハードディスク内の時計と時刻を確認。

秒単位でズレがないことを確認する。

そして、ゲームログイン準備。

ボタン1つでログイン出来る状態に持っていっていってデジタルの秒数を数える。

59、0今、ログイン!

ゲームにログインすると見慣れた拠点。

そこでアイテムボックスを開けて中から金の懐中時計を取り出す。

見た目は秒針時計だが、実際はデジタル時計。

中身を確認すれば5を刻んだところだった。

ちなみにゲーム内で時間を確認しようと思ったらステータス画面を開けばいい。

じゃあなんで時計があるのかといえば単なるファッションである。

防御も攻撃力もなにもあがらない、アバターを着飾る小物に過ぎない。

しかし、そんな小物が今まさに役立とうとしているのだから世の中なにが起こるかわからないものである。

私は懐中時計を装備して時刻をステータス画面の時刻と合致していることを確認する。

そして、異世界に行く準備をする。

帰れたのだから行ける。

そこは問題ない。

ついでだからゲームデータに不正アクセスして召喚魔法をデジタル化した状態で見てみる。

魔王と呼ばれ運営を敵に回した私の手にかかれば本物の魔法すらゲームの世界に飛び込めば0と1で構成されるデータへと変換されてしまうのだ。

流石に今までのまがい物の魔法とは違いかなり複雑怪奇であるが、それは必ずしも美点とはならない。

寧ろ不要な物が多く、邪魔な数式を削除していけば必要魔力量が半分になった。

しかし、どこをどう弄っても聖域なくして召喚魔法は発動しないようだった。

まあ、まだ改良の余地はあるがこの改造して異世界を行き来出来るようになった召喚魔法をトラベルと名付けよう。

私は勇者召喚の間を魔法で再現する。

模写魔法は完璧に全てを再現してくれた。

トラベル発動まで秒数をカウントする。

28、29、30今だ、発動!!

目の前が歪むが、すぐに戻る。

戻った先にあったのは、勇者召喚の儀を行ったあの部屋だ。

私はすぐさま時計を確認。

秒数は30

タイムラグがほぼ存在しない。

そのままカウント開始、44、45トラベル再発動!

ゲームの世界に作った第二の召喚の間に着く。

秒数は30。

進んだはずの時間が戻った!

またも秒数を数えて45秒でログアウト。

戻ってすぐに時計を確認したら50だった。

現実世界からゲームに行くのは正しく時間が流れているが、何故かゲームから異世界を往復する間は時間が進んでも戻る。

つまり、異世界から帰還するタイミングは異世界に行った時刻プラス5秒後となる。

異世界に行ってる間に生身の肉体が干からびるという最悪の事態は回避出来るようでなにより。

まあ、帰れるから大丈夫だけど、異世界の時間の流れと現実世界の時間の流れが等しかったら色々面倒だったので助かるのは間違いない。

まあ、異世界から現実世界への帰還タイミングはわかったけど、現実世界から異世界への召喚タイミングはこの検証だと不十分だったので、もう一度同じ事を繰り返して検証。

最初、ゲーム世界に帰った時は時計がなかったが今はあるので検証可能になったのだ。

結果、行き帰り関係なくプラス5秒後に戻ってこれた。


続いてあの高校生達。

彼らの実在を確認する。

彼らとは全く交流がないのでどこの高校に行ってるとかそういう類の情報がない。

鑑定したらわかったかもしれないが、それより鑑定すべき連中がいたのでプレイヤーか否かを確認した後流してしまったのが裏目に出た。

まあ、すぐに調べがつくだろう。

何せ彼らは制服を着ていたのだから。

日本の高校制服図鑑をネットで閲覧する。

「……?」

あれ?

ヒットしない。

似たようなデザインはたくさんあるけどどれもよく見れば違うのだ。

うーん??

あの子達は存在しない?

日本人だって勝手に思っていたけど実は異世界人?

その可能性もあるけど……

現在開校している高校だけでなく、閉校してしまった高校の制服も調べた。

そしたら……

「あった…」

2015年閉校した高校の制服だったよ、あの子達の制服。

彼らの学校は150年前に閉校してました。

てことは何か、呼び出された時間が違うのか。

まあ、あり得るのかね、所詮正体不明の魔法なんだから。

因みにネットで彼らの名前を検索してみたらあの3人当時の行方不明者リストに載ってた。

そして失踪宣言がなされて死亡扱い。

……つまり、彼らは異世界から戻らなかったということだ。

戻れば過去に帰れるから、私のいる未来とは違う平行世界の住人とも言えるのか。

同じ世界に帰ったつもりでも実は違う平行世界に私はいるという事。

異世界召喚前の私は………

まあ、どうでもいいか。

さあ、次の検証だ。

異世界でアイテムの使用である。

それは懐中時計で確認した。

あれは単なる小物であるが、間違いなくゲーム産のアイテムである。

それで時刻を確認出来たということはゲームのアイテムも使用可能ということ。

そうなると、私にはアイテムボックスに溢れるほどアイテムを保持している。

正規品もあれば不正品も略奪品もある。

これらをあの子達や異世界人は装備出来るのだろうか?

まあ、これは検証不要か。

くれてやる義理は些かもないのだから。

よし、ちょっと試してくるか。

私はゲームにインしてすぐさまトラベル発動。

時間の確認も忘れてない。

異世界の召喚の間に到着。

ここまで10秒か。

必ずゲームを経由しないと元の世界にも異世界にも行けないのは不便だが、経由しないとアバターで行けないのだから仕方がない。

たかが5秒ぽっち目をつぶろう。

そしてアイテムボックスを開けようとして開かないことに気づく。

どうやらアイテムボックスは使用できないらしい。

なんかよくわからないけど、ゲームの魔法やスキルは使用可能だが、ステータス画面やアイテムボックスなど魔法でもスキルにも当たらないものは使用不可なのだろうか。

じゃあ、ゲームで得たアイテムの類いは使えない?

いやまて、使える。

やり方次第だろう。

私は一度ゲームに戻る。

そしてアイテムボックスを開けて中からアイテム袋を取り出す。

アイテムボックスと効果は似ていて見た目以上に物が入る袋だ。

しかし、アイテムボックスに量制限がなく時間経過も無視されるに対してアイテム袋は物量制限、時間経過もありだ。

アイテムボックスの完全下位互換なわけだがアイテムは元々ゲームに存在しなかった。

しかし、何度目かの大型アップデートで実装された機能でもある。

そして実装されると同時に袋の役目は終わりを告げタンス…いやボックスの肥やしになっていたものだ。

いやはや、懐中時計といい袋といいとりあえず持ってるものがこうも役に立つとは。

とはいえ量制限があるので、中身は厳選しておこう。

まあ、必要に応じて戻ればいいのだけどね。

異世界に私の敵となりうるものはいないと思うけど油断大敵、様々な種類のポーションとマジックポーションで袋の上限半分を埋める。

残り半分は装備か。

今のアバター装備は真っ白な詰襟型の軍服だ。

左胸胸にはメダル、右肩には飾緒がついている。

どこぞの国の夏軍服を少し改造して版権逃れしたものだった。

見た目は運営が用意した衣装だが、保有するデータ量が違う。

不正アクセスして改造をした品なのだ。

防御力が不正データらしくチート化しており、レベル問わず物理攻撃を完全無効化する。

さらに隠し武器もこの衣装データに付随しており、攻撃されると自動で反撃する仕様だ。

しかも初撃命中率は100%、加えて命中すれば必ず会心の一撃になるよう弄ったからゲームの悪役の大半及びプレイヤーの殆どが一撃死する最悪の武器となっていた。

魔王の名に相応しいといえよう。

ネットで晒された渾名で魔王の次に多かったのがデッドエンド。

出会ったら死ぬという二つ名は間違いなくこの装備から来た。

しかし、これが私の持つ最高の武器、防具というわけでもない。

同等以上の品など腐る程もってる。

衣装はデザイン性を優先して集めまくったからな。

絵心がないので外装から作ることはしていない。

ともあれ、他にも衣装や武器防具をほいほい突っ込む。

あと、いくつか便利アイテムを投入。

これらも完全にボックスの肥やしだった奴だが異世界では役に立つ品だ。

大して袋には入らないのであっという間に満杯になってしまった。

その袋を持って私はトラベル発動、異世界に行く。

そして与えられた部屋に戻った。

部屋に異常はない。

うさぎは相変わらず私の幻影魔法を見つめているようだ。

愚かなりうさぎ。

そして、部屋を見渡しクローゼットを開ける。

念の為索敵魔法を使い隠れてる奴がいないか確認する。

特にいない事を確認した後、持ち込んだ袋から便利アイテムを取り出す。

それは一枚のポスター。

扉の絵が描かれている。

それを壁に貼ると扉を開ける事が出来る。

中は六畳一間に備え付けのキャビネットが壁に沿って三つあった。

会社にあった奴と同じ味気ないファイルを仕舞う鉄製の観音扉式が上部にあり中間から下は引き出し式だ。

観音扉式部分の仕切りをはずし私は袋から衣装を取り出しどんどんしまっていく。

引き出しにはポーションの類いだ。

ここは簡易式の拠点。

狭いが持ち運びが出来るし、時間経過もないので使う人もいるかもしれない。

だけど、拠点を移動させるという不正データ持ちの私には不用品だったのだ。

しかし拠点は魔法でもスキルでもないからこちらの世界に持ち込めない。

持ち込めたらそこから魔王城…あるか知らないが…を蜂の巣にしてやるのに。

なので、今回はポータブル拠点を利用というわけだ。

まあ、その不便さが前面に出たらこの壁紙データも書き換えればいいだけだ。

大した問題ではない。

私はポーションを一本取り出し一気に煽る。

そして、豪華なベットに寝転がり惰眠をむさぼるのだった。


だって検証すんの超面倒だったんだもん。





時間検証の稚拙さは大目に見て貰えればと思います。

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