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魔王、監視をつけられる

「あー、ごほん」

王様が咳払いをしたので彼を見る。

「次いで指導者を紹介しよう。」

視線を送ると貴族達がいるあたりから4人のエルフの男女が出てきた。

そう、エルフである。

耳が人の耳より切れ長であり、人間の美的感覚からすればとても美しい人たちだ。

男エルフが2人、女エルフが2人。

いずれもゲーム同様の見かけだった。

高校生3人もエルフを見てぽーっとなってる。

そういえばゲームではエルフは微弱の魅了魔法を常時発動していたな。

その効果は第一印象を補正する程度だがどうもこの世界のエルフも同じ力を持っているらしい。

そして勇者達は子供だ。

幾ら可愛くてイケメンでも未だ恋愛などした事がないひよっこだ。

元々美しい異性を求めるのが人間の本能ということもあり、魅了魔法と美貌の合わせ技は彼らを一瞬で虜にした。

ここまで心を奪えるならばエルフ冥利につきるというものだろう。

私?

ゲームでもっと綺麗なエルフを見ていたからな。

現実より仮想現実。

いつだって妄想の方が何百倍も素晴らしいのだ。

男エルフが一歩前に出た。

エルフにしては表情豊か、青い瞳と金の髪、ミスリル銀で作られた甲冑に精霊の力を宿したロングソードは彼を王子にも騎士にも見えた。

彼はおもむろに剣を抜く。

「ふえ!?」

そして頭を下げ剣を捧げるポーズをとった。

騎士の忠誠の儀みたいなもんか?

膝こそつかないがそれに酷似している。

生涯をかけ、守ると誓った騎士が己の主人に剣を捧げるのは騎士としての最高の誉れだったか?

「私はアルフレッド・サンフォル。

王国第一騎士団、団長を務めているもの。

聖女様の剣となり盾となり生涯をかけてお守り致します。

どうか私の剣をお受け取りください。」

快活な男の言動にどうすればいいのかわからず美香はオロオロする。

「一言許すと仰って頂けたら」

「ゆ、許す?」

「ありがとうございます。その御身を命を賭けてお守り致します。」

側から見れば姫に仕える騎士そのもの。

美香もうっとりしているが、よく見ろ、その嘘くさい笑顔を。

続いて直美の前に現れたのは黒い聖布を丹念に織り上げて作られたローブをまとった青年。

「はじめまして、宮廷魔道士をしています、レイフォルと言います。

何卒宜しくお願いします」

「あ、宜しくお願いします」

「……騎士の忠義の儀が羨ましそうだね?」

「ええ!?そ、そんな事は…」

「僕は魔道士だからね、カッコいい事は出来ないんだ。」

「え、いや、あの…」

「代わりに君に魔法を贈るよ。

……フラワーシャワー!」

瞬間、彼女の周りに色とりどりの花が舞う。

これには直美や残り2人の勇者達だけでなく王や王妃、貴族達も感嘆の声をあげた。

レイフォルは舞い落ちる花の1つ赤い薔薇を掴んで直美に直接渡す。

思わず受け取る直美。

「これが僕の剣って事で、許してね?」

「は、はい……」

魔法と薔薇の熱に浮かされた子供がそこにいた。

次に前に出たのは綺麗な女性だった。

赤い髪に黒檀の瞳、そしてボン、キュ、ボンのメリハリボディ。

一応革鎧をつけているのだが、明らかに防御面が少ない。

スピードを重視したというか、絶対に体のラインがよく出る事を意識した姿だ。

長い足とくびれを見せつけるようにして裕太の前に出て妖艶に微笑む。

裕太の目が足のスリット部分に釘付けだ。

あと少し動けばパンツが見えそう……

目力で見れるなら見たいという願望が透けて見えた。

「はじめまして、王国近衛兵団団長ユーリ・ベイフォルと申します。

宜しくお願いします。」

「よ、宜しく…」

近衛兵団ねぇ。

彼女以外の兵団を見てみたい。

彼女だけが特殊なのかそれとも全員こんな感じなのか?

それによって近衛兵団の評価が変わる。

即ち、彼女だけが露出狂なのか、兵団全員が露出狂なのか。

場合によっては近衛兵団は王の性処理係という事もある。

だから、青少年よ、ちょっとくらい前かがみになっても見逃してやろう。

そして私の目の前には白いローブに銀髪の美人が現れた。

「はじめまして、エルゼル・ブリューデレと申します。王国魔術師団長を務めさせていただく若輩者ですが宜しくお願いします。」

言って手を差し出してくる。

魔王の外見年齢より5つは下に見える儚げなエルフだ。

先程のうさぎとはちがう。

それにエルゼルとはあの召喚の儀の魔法陣を書き上げた最高の現代の大魔導師ではないか。

だが、最高と言うにはあまりにお粗末な魔力。

エルフは人間より優れた魔力を持っているのだが、それにしてはあまりに貧弱だ。

いや、宮廷魔道士の魔力の倍はあるみたいだからマシな方なのか…?

でもゲームに出てくる三下エルフの半分にも満たない魔力だぞ?

「あの…?」

前に出された手が虚しくそこにあった。

「……?」

私は首を傾げた。

「あの、友好の証として手を握り合う習慣がこちらにはありまして…」

「そうか、私の所には無い」

「そ、そうですか…」

言って彼女は周囲を見る。

高校生3人はそれぞれ握手をしていた。

再びエルゼルが私をみた。

「文化の違いだな」

「そ、そうですか…」

漸く彼女は手を引っ込めた。

ゲームではエルフとの接触は常時発動している魅了の効果を上げる作用があった。

触れる面積が大きければ大きいほど魅了の効果はあがる。

握手ぐらいなら大したことはないが、それでもわざわざパワーアップなんてさせたくない。

と、いうかエルフの魅了魔法は異性限定だから私には無効なんだけど何を考えて………

………あ。

そっか。

私、今男だったわ。

魔王は男のアバターである。

だからうさぎといいエルフといい女を武器にしてくるのか。

でも、私は普通に異性愛者だからうさぎもエルフもそういう目では見ない。

エルフの魅了魔法なんか効く効かない以前の問題だった。

自身の魅了魔法が全く効いてないのはわかるようだが理由がわからずエルフは表情を少し歪めた。

こいつは厄介だといいたげだ。

だが、すぐに表情を取り繕い彼女は儚げ美人を演じるがすでに私の興味は彼女にない。

それにしても…

私は3人を見る。

それぞれについた世話人と指導者。

直美には無邪気とキザ

美香には厳格と快活

裕太にはクールと妖艶

私には巨乳と貧乳

随分、見目麗しく、それでいて性格がはっきりと違う者をつけてきた。

まずは異性の好みを把握していくところからスタートか。

そして好みを悟れば本気で落としにかかるのだろう。

ゲームではエルフも獣人も人間の倍長く生きる存在だった。

彼らもまた見た目通りの年齢ではない。

そこは鑑定で確認済みだ。

ほんの数歳差はあくまで見た目の話。

実際、うさぎは40歳超えで夫も子供もいる身のようだし、エルフも似たような年で処女だった。

ビッチが好みか、貞淑な処女が好みかも重要ってか。

ちなみに女子高生にあてがわれた男は全員経験者で裕太にあてがわれた獣人はビッチ、妖艶美人はあー見えて処女だった。

鑑定の結果わかったことだが正直そこまで知りたくはなかった。

私は小さく溜息をついたのだった。







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