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魔王、訓練を始める

パーティーは以降つつがなく終わった。

色々な人に話しかけられたのがうざかったがこうみえて社会人やっていたので、軽くいなせる程度だった。

しっかし、令嬢、貴婦人に大人気だったなぁ!

やはり魔王キャラはイケメンで通じるらしい。

私は上機嫌だった。

それに、一番テンションあがったのが、ドラゴノイドだ。

ドラゴノイドはゲームでもいた種族だ。

しかし、エルフや獣人のようにありふれた種族じゃない。

NPCでは存在せず、見るならプレイヤーを探さなくてはならないが、ゲーム開始時に行う種族選択肢にドラゴノイドはない。

ならどうやってドラゴノイドになるのか。

それは下位互換種族リザードマンをレベルカンストさせていくつかあるイベントをクリアさせて始めて進化させて初めてドラゴノイドになれるのだ。

しかし、進化するとレベルは1に戻る。

レベル1とはいえリザードマンよりかは強いと見せかけてレベル1はレベル1、リザードマンのレベルカンストに比べて格段に弱い。

レベルのどこかでリザードマンを追いつき追い越すだろうがそれがいつかは私も知らない。

そしてドラゴノイドだからリザードマンに出来ない何かが出来るのかと言われれば、確かなかった。

単に検証可能なほどドラゴノイドに進化させたプレイヤーが少なかったというのもあるだろうが……。

そんなわけで多分ドラゴノイドプレイヤーは全体の1%程度しかいなかったと思われる。

私はいる事は知っていたが実は見た事なかった。

そのドラゴノイドが!!いたのだ!!

もー、内心テンション爆上げである。

レアだよ、レア!!

しかも渋いおじさまキャラ!!

カッコいい!!

年上大好き、やばい、これがゲームにいたら強引に自分のものにしてたわ。

また会えるかなぁ?

そんな事を思いつつ眠りについた。

まあ、ゲームキャラに睡眠は不用なのだが中身は普通の人間、精神安定の為眠る。



そして翌日。

朝からうさぎをこき使い風呂を沸かして入浴していた。

風呂は部屋に備え付けられておりスポーツクラブの大浴場くらいの広さがあった。

流石は王城の客室である。

浴槽に花びらを浮かべて香油を垂らし気分良く風呂を楽しんでいた。

うさぎが途中お手伝いします!とか言って全裸にバスタオルを巻いた状態で乱入するというアクシデントがあったものの風魔法で吹っ飛ばして以降静かだ。

バスタオルで体を拭いて軍服装備を着用して部屋に戻ったらうさぎがひっくり返ってサボっていたので踏みつけて起こす。

すぐさま朝食の準備を命じてやれば何故か半泣きで出ていった。

一応暗殺者だからあの程度でへこたれるはずもなく何故涙目なのか理解に苦しむ。


用意された高級ホテルも真っ青な贅沢な朝食に舌鼓を打っていると犬がやってきた。

はて、この犬は美香のペットだった筈だが捨てられたのか?

「失礼します、勇者様」

「なんの用?」

「本日のご予定の説明に参りました」

「今日の予定?」

私はスコーンに蜂蜜を塗りたくりながら首を傾げる。

「はい、午前中に早速勇者様方にはスキルの訓練に入って頂きたく…」

「あー…そういう名目でここに居たんだったねぇ」

私はスコーンを頬張りながら頷いた。

でもさ

「それ私に必要?」

「…勇者様は他の3人とは違い魔法のある世界よりご来訪されたのでしたね…」

「…そうだね」

違うというかその通りと言うべきか悩むところだが面倒だからスルーする。

「と、言うことは我々の知らない未知なる魔法をご存知の可能性があります。

是非、ご教授願えればと」

下手に出るのは私の性格を慮ってのことだろう。

教えろなどと高圧的に出れば即刻処刑だと犬は聡くも理解しているのだ。

とは言え…私は紅茶を飲みながら思案する。

私はたしかに魔法が使える。

しかし、何故使えるのかといえばゲームだからとしか言いようがない。

理論理屈なんて知らないし、運営だってきっと知らない。

それを教えろって言われてもね。

あと、こいつら。

私は犬をチラ見する。

昨日盗み見した宰相との内緒話。

彼らは明らかにヒト族の裏切り者だ。

動物とエルフは宰相に膝をついていた。

うさぎが言うには自身が相手の下と認めない限り膝をつくことはないらしいので、彼らは宰相の部下で間違いない。

そして、その宰相が言う『御方』。

十中八九魔王だろう。

なんでまたヒト族を裏切り魔王についたかは知らないが大事なのは手の内は可能な限り見せないことにある。

無いとは思うが万一解析され反撃可能な状態にされてはたまらない。

「……そうだねぇ、その資格が君達にあればね」

「資格ですか?」

「そう、レベルと言ってもわからないか…使いこなすだけの魔力を持っていないとね」

「それでしたら、エルゼルならば問題ないでしょう、何せ彼女は魔導師として最高峰の腕と魔力量を誇っておりますので。」

「なるほど、では訓練とやらで確認して問題なければ教えてあげる。」

「ありがとうございます、エルゼルに伝えて参ります。」

優雅に一礼した犬はよく躾が行き届いた執事そのものであったが影に隠れてほくそ笑むのが見えたのでまだまだ精進が足りないと思う。

さて、それよりも。

「うさぎ、スコーンのおかわり」

私は犬の背を見送った直後にはもう彼を忘れる。その存在はスコーンにも劣る存在と成り果てたのだった。



朝食を食べ終わった後、私はクローゼットに隠してあるポータブル拠点内にいた。

一応訓練、何があるかわからないので万全を期す意味でもポーションの一つでも持って行こうと思ったのだ。

ポーションには色々種類があり、死んでなければ完全治癒できるハイポーションを持って行こうかと思ったが気が変わって別の種類を懐にしまった。


訓練と称して騎士団所属の訓練場に私達はいた。

そう、達である。

私以外の勇者は勿論何故か動物達もいた。

そして指導者としてそれぞれに与えられたエルフ達はさりげなく総武装している。

それぞれ鑑定してみた。


アルフレッドの武装

防具 堕天使の黒甲冑

堕天使を討ち取る事により手に入れた推定等級一級の甲冑

防御力 推定数値60

武器 堕天使の宝剣

堕天使を討ち取る事により手に入れた推定等級一級の長剣

攻撃力 推定数値65


レイフォルの武装

防具 リッチのローブ

リッチを討ち取る事により手に入れた推定等級一級のローブ

防御力 推定数値60

武器 リッチの杖

死霊魔導師を討ち取ることにより手に入れた推定等級一級の魔導用杖

攻撃力 推定数値70


ユーリの武装

防具 サキュバスのドレスアーマー

サキュバスを討ち取る事により手に入れた推定等級二級のドレスアーマー。

防御力 推定数値20

特殊効果 不明

武器 サキュバスの双剣

サキュバスを討ち取る事により手に入れた推定等級二級の武器

攻撃力 推定数値20

特殊効果 不明


エルゼルの武装

防具 ウィンディーネのローブ

ウィンディーネを討ち取る事により手に入れた推定等級一級のローブ

防御力 推定数値40

特殊効果 不明

武器 フレアディーネの宝杖

フレアディーネを討ち取る事により手に入れた推定等級一級の武器

攻撃力 推定数値40

特殊効果 不明



この世界はゲームとは違う。

しかし、鑑定したところ推定数値とはいえ算定された。

しかし特殊効果は不明。

おそらく、モンスターはゲームに出てくるものと一致したからそのモンスターを使って作れる似たような武器防具から鑑定機能が推測して数値を算出出来たが、防具武器自体はゲームには存在しないので特殊効果までは鑑定不能ということか。

あくまで推定だから多少の誤差はあるかもしれないが魔王たる私にとってそれは無視して問題ないだろう。

ゲームでは武器防具の類いは五等級で表現されていた。

即ち、等級外、三級、二級、一級、特級の五等級である。

等級外はなんの効果もない小物装備を指し、特級はおよそ80から最高数値である100の攻撃、もしくは防御力を叩き出す最高峰の逸品でありゲームの限界でもあった。

だが、私は悪質な不正アクセスユーザー。

見た目はそのままにデータを弄ってチートを与える事を当然のようにしている。


つまり、こういうことだ。


魔王の装備

防具 白地の軍服

ガチャによる出現率0.05%の魔王級レアアイテム

敵のレベル問わず物理攻撃無効の為防御力算定不能

特殊効果 自動反撃命中率100%

初撃会心の一撃発動率100%

武器 なし(防具に隠し武器が付帯している為装備不能)


ちなみに会心の一撃とは通常攻撃力の30%増しを指す。

私のステータス数値をそのままこちらの世界に引っさげていると仮定すると、私の通常攻撃力は不正アクセスにより常時100(通常プレイヤーは武器なしの攻撃力は0)ここになんらかの武器を持つとその武器の数値が足し算される。

白地の軍服は武器を持てないから攻撃力は100、しかし初回に限りその30%増しとなり130となる。

アルフレッドの攻撃力を推定数値通り当てはめるなら65なので単純に倍の格差がある。

なんだか、申し訳なくなるレベル差だ。

武器を装備していない素の攻撃力でこれなのだ、武器なんか持ったらいじめを通り越して犯罪だ。

しかし、彼らはやる気なのだ、私もそれに応えてあげるべきだろう。


さあ、楽しい訓練の始まりだ。

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