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最強転生少女はニートを希望する。  作者: 三毛林実卦
学園編

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ニートと試験前日


 休暇最終日。


 それは同時に私がドンナー君に教える最後の日でもある。

「ちゃんと流れになっていますから問題はありませんね」

「ありがとうございます!」

 プログラムを見た最初は困った顔をしていたドンナー君も今では迷うことなく頭から通しでできるようになった。

 成長というのがとても感じられる。なにより、プログラムをこなしながらも自分の周りに薄く膜を維持できるようになっているのがうれしいね。

「防御膜の方も自然に発動できるようになっていますわ」

「本当ですか?よかったあ」

 ドンナー君は心の底からほっとしたようだ。

「家でも水くみの時や仕事の手伝いの時にも気を付けているんですが、つい忘れてしまう時もあるんです」

「あら、ここまで自然に発動できているのですから、おそらくドンナーさんが気づいていないだけでその間も発動できていると思いますわよ」

「そう、ですか?」

 意識しなくても、気づかなくても発動できているのが目標なのだからそれでいいのだ。

 しかし水くみもしているのか。水魔法で出せばいいのに。

 魔法で呼び出した水を生活に使うことに対してありえないという意見も、特に一般レベルの魔法使いにはあるみたいだが使えるものは使って楽をするに限る。

 水くみに移動する時間と労力を別の物に使えるということは、勉強や仕事、訓練などの時間を増やすことにもつながるのだ。

 そのことを、マイルドに訳して「魔法で水を出したら?」程度の言葉にしてドンナー君に尋ねてみると考えたこともなかったと驚いていた。

「無詠唱を学ぶまでは水の塊を出すだけでもかなりの魔力と気力を消費していたので、それよりも足を動かした方が時間も短く済んだんです。でも、確かに今なら水を呼び出すこともできそうですね」

「まあ、無理をして使うことではないわ。ただ、もし冒険者を目指したりして長期間の旅をするのであれば、覚えておくと便利よ」

「そっか、水を持って移動しなくてもよくなるんですね」

 ドンナー君の言うとおりだ。

 人間が一日生きているだけでもかなりの水を消費する。さらに馬車を使うのであれば馬の分も水が必要だ。

 さらにいえば水は重い。それだけで荷物の大部分を圧迫してしまう。

 これに持っていく食事の分も重さも増えるのだから、徒歩じゃあ隣の集落まで行けるかどうかってところだし馬車でも商品を積む場所が減ってしまう。

 水が出せるだけで荷物はかなり減るし、数人分の水が出せるのであれば護衛を相場より少し安く雇えたりもする。

 まあ、ハルからの受け売り知識だけど。

「どれだけ魔力を使うのか試してみます」

 ドンナー君の努力家のところは素晴らしいと思う。

「そうね、もう明日の準備のためにもここまでにしておきましょう」

「準備ですか、それはやっぱり心構えとかですか?」

 練習の手を止めてドンナー君がこちらに向き直る。

「それも、人によっては重要かもしれませんけれど。全快まで魔力の回復をさせる必要がありますから」

 大抵夜に寝れば朝起きる時には魔力も全快しているようだが、緊張して眠れない、みたいなことがあると回復量がガクッと落ちてしまう。

 だからこそ、魔力を限界まで使わずに明日十分に魔法を発揮できるようにしておくのがいいだろう。

「ただし、防御膜は消さないこと。むしろ、試験中も無くさないようにね」

「うう、がんばります……」

 眉尻をぎゅっと下げて答えるドンナー君に「がんばりなさい」と発破をかけ、今日の練習はすべて終了となる。

「そうそう、私も明日は見に行きますからね」

「無様な姿を見せないようにがんばります!」

 私の報告に対して引きつった笑みを浮かべるドンナー君に、つい首をかしげてしまった。

 ……そんなに恐ろしい顔をしていたかしら


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