ニート、思考する。
部屋の中に椅子と机を用意する。
目の前の少年――シュラーク・ドンナ―くんに椅子をすすめ、その対面に座る。
ハル?もちろん私の後ろで立っているのが仕事だ。ハル自身も当たり前のように私の後ろに控えている。
お茶とカップも取り出して、どうぞと進めてみるががっちがちのかちこちに固まっているドンナーくんは飲める状態ではないようだ。
「私はエルヴィーラ・フォルツァーノ。今日から一月、貴方に魔法を伝授したいと思っていますわ。彼は私の護衛であり、手伝いをしてくださるハルバード。よろしくお願いしますわね」
私の言葉に合わせてハルが目礼する。
「よ、よろしくお願いします!ぼ、僕はシュラーク・ドンナーです。得意属性は雷です。その、えっと、よろしくお願いします!」
うん、緊張しているのはよくわかるね!
しかし雷か。私は紅茶を嗜みながらふむ、と一つ頷く。
学園で最初に教えられるのは確か土属性だったか。
人気がある火や水魔法も出てくるが、雷は触れていないはずだ。渡された資料で読んだ。
火・風・土・水
この4つの属性のどれかに素質がある場合がほとんどである。いくつもの属性が使える人間も、この中に挙げていない、それこそ雷やら光やら闇やらという属性が得意な人間もいるが、その場合でもこの4つの属性のいずれかは使えることがほとんど、らしい。
というのも、この国で一番信じられている魔術学問ではこの4属性が基本の属性とされていて、ここからほかの属性は派生していると考えられているからだ。
この中のどれかなら扱えるだろう、そういう教え方らしい。
その中のどれかではなく、自力で覚えるほかない雷が得意だというのは少々驚いた。
それはつまり、教えられたことがすべてというタイプではないということだ。
良い事だ。
教科書にあったからできる、それだけの人間では話を聞いてもらえるのかわかりにくいからね。
「あ、で、でも、その。得意、といっても他の人ほどじゃなくて、その」
私が黙っていたのをどう受け取ったのか、慌てて弁解というか、自分を貶めるようなことを言い始める。
気が弱く、自己評価が低い人間なのだろう。
「どんな方でもいいのですわ。私が教えるのですから、貴方はこの学園では上位の力を手に入れる、それだけですもの」
そういってにこりと笑う。
びっくりした顔のドンナーくんのことは気にせず、頭の中でメニューを組み立てる。
そうだな、まずは簡単に≪瞬間移動≫でもおしえようかしら。




