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ニートにもやらなきゃいけないことがある。

 私は何度も言うが最強の魔法使いである。

 それは極魔法を習得することができたということだけでの評価ではない。

 私にはいくつかのオリジナル魔法があるしいろんな才能がある。

 自画自賛だ。

 部屋のベッドに寝転がりながらオリジナル魔法の一つを展開する。

 ≪第三の目(サード・アイ)≫は『見る』ことに関しては万能な魔法である。

 遠視、透視、未来視や過去視などの『見る』魔法を統一した魔法であり、集中力を必要とするが好きなものを見ることができるとっておきの魔法である。

「んーと、名前くらいしかわからないから結構難しいわねえ」

 目を閉じて名前を思い出す。盗賊団の名前と頭の名前。

 この二つを使い、場所をこの首都の周辺に絞って探し出すのだ。

 顔や体格がわかる相手の場合は場所を指定しなくても相手のいる場所に自動的に照準が定まるのだが、そうではない場合は地道に反応を探す必要がある。

 近くの森にある人間の反応を探って、その中からその名前に関係するものを洗い出すのだ。

 盗賊団という位なのだから、関係者が集まっているところがアジトなのだろう。

 そう考えてさらに集中する。

 それはすぐに見つかった。見つかったが見つけなければよかったと後悔した。

 いや、見つける必要があって探していたわけで、見つけなければずっと探すことになり披露したところでこれだったわけだが。

「胸糞悪いわね」

 兄が言葉を濁した意味が分かった。いたいけな妹にこれを説明するのはシスコンの兄でなくても難しいだろう。

 ゆっくりと魔法を切って、深呼吸をする。



 そして、私は絶対にこいつら始末しようと心に誓った。





 見つけてしまったのだから仕方がない。

「エリーザ、ハルを呼んできてちょうだい」

「かしこまりました、エル様」

 頭を下げてエリーザが出ていく。

 それを見送って、私はクローゼットから動きやすい服を取り出して着替える。街にお忍びで遊びに行くときに着る服を買った店で作ってもらった、片側の裾に深いスリットの入った服だ。

 着替え終わると持ち物のチェック。まあ魔法使いの私は持っていくべきものなんてないけれど。

「お嬢、どうしましたか?」

 部屋にノーノックで入ってきた護衛に少し眉を顰める。

「ハル、ハルバード君、君はノックというものを学びなさいな。着替えの途中だったらどうするの」

「その時は部屋を出ますしフルネームで呼ぶのはやめてください。せめてルードで」

「私のつけた名前が気に入らないっていうの?」

 まったく、と肩をすくめれば何故かため息を吐かれた。げせない。

 この護衛は私が拾った人物だ。元々冒険者をしていたと自己申告したとおり、冒険者ギルドや魔物、戦い方には詳しい。

 一人で家を出ることは許されないので護衛がいればいいだろうと雇っているのだが、私が付けた名前が気に入らないのか変な部分を抜き出してルードと周囲に呼ばせている。

 まあ、私はハルって呼んでるけど。

「それで、お嬢はどこに行くつもりですか」

「ちょっと森まで盗賊退治に」

「芝刈りじゃないんですから簡単に言わないでくださいよ」

 頭を抱えるハルに仕方ないじゃないと返すとまたため息を吐かれた。

 とてもげせない。

「見つけちゃったんだもの」

「探さなければいいじゃないですか」

「まあ、探しちゃったのは仕方ないわ。そして見つけたからには一刻を争うのも、私の所為じゃないの」

 私の言葉にハルは少し目を細める。

「それこそお嬢様に見せるわけにはいかないものだと思うんですが」

「見てしまったわ、仕方ないわよね?ならもう二度と見なくても良い様に奴らを八つ裂き、とまではいかないけれど縛りあげなくちゃ」

 汚いものを見せた罰だ。向こうは見せたつもりじゃないだろうけど。

「はあ、わかりましたよ。俺が止めてもお嬢は勝手に一人で行く人ですからね。俺を連れて行こうと思っているならその方が安心です」

 そう言いながら準備をするから待てと言われる。

 こっちはもう準備を終えたんだけどなあと思いながら了承し、部屋を出て行った彼の背中を見送った。






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