ニート、先を進む。
軽く手を振って風の刃を目の前の宝喰いにたたきつける。
通販番組のスライサーも真っ青な切れ味に、宝喰いの薄切りが出来上がった。
うーん、もう少し数を減らしてもいいかな、こんな薄切りにする必要はないし。
最初の方の宝喰いよりは知能があるらしく、仲間の無残な姿にじりりと下がっていく残りの宝喰いをちらとみて、ハル達の方を確認する。
エリーザが近づいてくる宝喰いの数を一気に減らし、接近してきた残りをハルが切り捨てる。
やはり遠距離と近距離はコンビ、またはチームを組むと効率がいい。それぞれ個人でできないこともないけれど、得手不得手があるからね。
「二人とも、まだいけて?」
「俺は大丈夫です」
「私も大丈夫です」
ハルが剣を払い、エリーザが新しい矢を番える。
二人とも見た限りでは怪我はない。連戦で体力も気力も消費しているようだけれども戦う訓練をしている二人なので倒れるほどではないらしい。
私の隙を伺い、とびかかろうとしていた宝喰いに風の刃を2,3ぶつけながら次はどうするかを考える。
私の探知にうっすらながらも大きな反応が引っかかるようになってきたので最奥まではそこまで離れていないと思う。一気に下るために階層ごとに宝喰いを消滅させていってもいいが、さすがにボスであるドラゴンがどれほど強いのかわからないので疲れは残したくない。魔力が底をつく、ということはないとは思うけれど、これまで体験していないからと言って使える量が決まっていないのかはわからないからね。
「お嬢、俺たちはまだやれますから、お嬢一人の時よりは時間がかかるかもしれませんが俺達の仕事もさせてください」
「私も同意見でございます」
ハルの言葉にエリーザも同意する。
二人の意見ももっともだ。時間がかかりすぎるのは問題だが、二人の力ならばそこまでてこずることもないだろう。
「そうね、しばらくはこのままでいきましょう」
そう決めて、それではと次の階層へ向かう階段へ向けて道を切り開いていくことにした。
ハルとエリーザは自分たちで言ったように疲れによって宝喰いに押されるということもなく、的確に宝喰いを減らしていく。
これならさきほどみたいに一気に一階層まるごと殲滅しなくてもよさそうだ。
別に範囲を広げたからと言って疲れるとか消費が激しいということはないけれど、あれは攻撃を当ててはいけない人間を一人ひとり選別しなくてはならないのだ。
私とハルたち二人ならそれほど苦ではないが、他に冒険者がいないかを確認して、いたらそれぞれを個別に設定するなんて面倒なことをする必要が出てくる。
さらにいえば彼らが戦闘中の宝喰いを横やりで倒すのはかわいそうだからそれにも気を配って――なんてしていたら面倒でもう冒険者ごと攻撃してしまいそうだ。
エリーザたちによって徐々に周囲の宝喰いが減っていく。
次の階層へ向かう階段がどの方向にあるのかもう一度確認しようと、私は探知の範囲を広げていく。
「あら?」
そんなとき、私の探知に一人の人間が引っかかったのだ。




