ニートは興味津々です。
記録を使うのはとても楽でいい。
入り口を通り、水晶玉のようなものに手をかざすと自分たちが記録した階に飛ぶことができる仕組みだ。手をかざしたときに頭の中に空白と私たちが記録した場所の二つが思い浮かんだということは、記録は二つほど残せるらしい。
近くにいた冒険者がいうには自分たちが進んだ最奥と普段の狩場を登録するのが普通なのだそうだ。
「なので入るときにメンバーで打ち合わせしておくんすよ。間違えると悲惨っすからね」
「まあ、一人になってしまったり、一人足りなかったときはたどり着いた水晶玉に同じように手をかざしてこの入り口に戻るのが普通なんですけどね」
親切に説明してくれた冒険者たちはどうやら『金の槌』を尊敬しているらしい。彼らと話していたから身内だと思われたのだろうか。
情報はありがたいので素直に話を聞くことにしていたが思った以上にいい情報だったと思う。まあ、他の場所で記録すればすぐに分かったかもしれないけれどそれをするのかはわからなかったし。
「それじゃあ俺たちから行かせてもらうっす」
そういってその冒険者たちは先に移動していった。
「へえ、面白いですね。魔法を使う時ってこんな風なんですか?」
「まあ、似ているとは思うわ」
魔法を使えないハルは興味津々だ。いや、≪瞬間移動≫ならハルも使えるでしょ。
「俺の≪能力≫は自分だけですし、移動先を自分で決められるものじゃないので」
私の突込みにハルは肩をすくめて答える。確かに、ハルに限らず≪能力≫は魔法よりも制約が多いらしい。
ハルの場合は自分一人しか移動させられないことと移動先が場所ではなく人間一人に固定されているところだったか。
「私は≪能力≫も魔法もありませんのでもっと新鮮でございます。こういった物は初めてですので」
エリーザは少し照れたように微笑んだ。確かに、エリーザはこういった魔法系を持ってはいないから私たちより新鮮かもしれない。
私の≪瞬間移動≫は自分で場所をイメージしなくてはいけないけれど、この記録は向こうから場所のイメージを送ってくる。これはすごいかもしれない。この仕組みがわかれば魔法使い以外も移動できるようになるんじゃないか。
「お嬢、早くいきましょう」
この水晶玉っぽいのどうにかして手に入らないかなあとか考えている私をハルが促す。
そうだった、今回の目的はこの水晶玉ではなくダンジョンのボスである。
この水晶玉は後で色々考えることにして、私たちは記録した場所へと飛ぶことにした。




