ニートは優雅にティータイムinダンジョン
「退屈ねえ」
はあ、とため息をつきながら机に頬杖を突く。
「はしたないですわ、エル様」
紅茶を入れてくれたエリーザが嗜めるようにそういうのでしぶしぶ頬杖をやめる。紅茶が飲めなくなる方が嫌だ。
「いい香りねえ。やっぱりお茶の時間は大切にしないと」
香りがいい紅茶にミルクをどぼどぼ入れて飲めば本当においしいミルクティーの出来上がり。ロイヤルなあれである。
「――お嬢がそれでいいならいいんですけど、ね!」
そんな私たちを見ながらハルは何かを言おうとして、飲み込んで、目の前の宝喰いを切り裂いた。
ここはダンジョンの中である。
人が溢れかえっていた一層から数回降りたため、人には出会わなくなってきていた。探知すればこの層にも数組の冒険者たちがいることがわかるためダンジョンが広い所為なのだろう。
出てくるのは難易度の低い宝喰いばかり。そのため優雅にティータイムをさせていただいていた。
「ハル、お疲れさま」
「よくこんなとこでお茶飲む気になりますね。いただきますけど」
差し出したティーカップで一気飲みする姿にエリーザが少し不満げではあったが、ダンジョンでちゃんと椅子に座ってお茶を飲むようなことはハルはしないだろう。
「さて、あらかた片付きましたが、どうします?この階のやつもそれほど強くはありませんが」
「次の階層に行っていいと思うわ。エリーザはどう思う?」
「私もこの階層は無視してよいかと思います。そろそろ記録できる階層ですから」
「ならその場所を過ぎてからゆっくり楽しみましょう」
最初のあのごちゃごちゃした階層を何度も通るのは面倒だ。
そう思い立ち上がる。
椅子と机は異次元収納にしまい、紅茶とティーカップはエリーザが持つ市販の収納力が増やされている袋にしまう。
その後も弱い宝喰いが数匹で出てくる程度だったのでハルとエリーザが応戦する。
私も数匹魔法を使ってみたが手ごたえも歯ごたえもなく面白みすらない。
「せっかく大技が使えるかと思ったのに」
「お嬢、俺がいる方向にはやらないでくださいね」
「大丈夫、ハルとエリーザを巻き込むようなことはしないわ」
ハルが嫌そうに言うが当り前である。そんな味方も巻き込む系の範囲魔法なんて現実で使えるものではない。
どうせなら効果範囲内にいる者から自分で選んだ複数人に対して攻撃ができるっていうのがいい。
「次階層への階段ですわ」
エリーザが前方にあるそれを見つける。あと二つ先の階層が記録できる階層だったか。
新しい階層は今までのダンジョンです~といった閉塞的な空間とは違い、うっそうと木々が生い茂る場所だった。森林エリアといったところか。
「ここも軽く通り過ぎていいんですよね」
「ええ、そうしましょう」
ハルに確認され、一歩踏み出す。
「ちょっとそこの冒険者!」
そんなとき、後ろから突然声をかけられた。




