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SENSES  作者: 梅谷 雅
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香織の場合

香織の場合

臭いです、消えてください

え?

聞こえませんでしたか? 消えてください。ウチは鼻がとんでもなく利くんです。

そんなこといわれたってシャワーなんてないし君だって俺と同類だろ?

ウッセーです。人間は自分の体臭は意識しないと感じないんです。なぜかといえば大昔に狩をしていたころ獲物の匂い嗅ぎ取らなければいけなかったらしいです。その際に自分の匂いが気になっているなんて洒落にならないですからね

人間の匂いなんてみんな同じようなものだろ

しつこいです。ウチはあんたが臭いって言っているんです。消えてください

チッ、もういいよ。俺はもう行くからな!

いいですがそっち行くと死にますよ?

自分の前から消えろって言うくせに人の行き先に文句を言うとかマジでウザイな。てめぇのはなしなんて無視に決まってるだろ!


ウチの前から男は消えました。

何か生き残り珍しかったらしくてうちのこと見て仲間になりたいとかって話でしたね。でも、人の忠告を無視して進む人とウチは友達になりたくないですね。

あーあ、やっぱりあっちに天使がいましたか。

天使って聞くとやっぱり助けてくれたりするって思います?

残念だけどそれは妄想だよ。

天使はウチらの生命力を奪って活動しているの。

悪魔は無差別に殺して、天使は無差別に栄養補給という名の殺しをしています。

さて、どちらも悪魔ですよね? ウチはそういうのを許せないのですがそういう正義感のようなものを掲げるつもりはさらさらありません。

そういうのは自分のためにだけ使えるような皆さんにお任せします。

私はそんな正義感を持っても実力と能力がそれについてきませんからね。

ウチができることなんてせめて探索のようなことですよ。

どんな奴よりも嗅覚が優れているんでね。

だからにおいには敏感なんです。

戦い? 無理です。戦えません。

逃げます。どうあがいても瞬殺されます。

でも、世の中は不思議です。

そんな弱い人のところにはなぜか【強くはないが自分よりは強いやつ】が現れるものです。

『さっき人間から栄養もらいました。悪魔を倒すためにあなたの栄養もいただきます』

あら、天使様ですか? ずいぶん近い距離にいますね。うちの口臭臭くありませんか?

『人間のそれなんてたいしたものではありませんよ。それよりも栄養をください』

少し離れることをお勧めします。ですが、念でしたね。ウチの栄養なんてあってもなくても変わらないようなものですよ。それでも奪おうというのですか?

『ないよりはましです』

世も末ですね。三つほど聞いて欲しいことがあるのですが聞いてもらってもいいですか?

『いいですよ』

ありがとうございます。一つ目だけど、ウチって通常は話し方は敬語使ってるんだけどさ、めんどくさくなると敬語使わなくなるんだよ。何でかは自分でもわからねぇんだけど、自分じゃない何かが出てきてる気がするんだよ

『まさに今の状況ですね』

二つ目、どうしてウチらの世界にあんたらは侵食してきたんや? 自分の世界に満足できなかったんか?

『それについてはいまだに謎です。しかし、試練と思ってください。神からの試練と……神はあなた方人間に越えられる壁しか与えませんよ』

ふうん、おもろいこと言うな。ぎょうさん人死んどるんに超えられる壁かい。ごく一部の選ばれた人間しか越えられない壁なんて存在してても意味ないんだよ!!

『そうですか、あなたがそう思うのでしたらその壁はあなたにとって高すぎただけです。そして、その壁は越えられないのではなく超える気がないんですよ』

やっぱり天使いうんは話が合わんな。三つ目や【何か匂わん】?

『甘い香りがしますね』

ウチはどんな香りを嗅いでも人体に影響は全くない。そういう体になったからな。そういう意味でウチは壁を越えたんや

『どういう意味ですか?』

ごく一部の人間がうちであったっていうんをお前が気づかない時点で勝負はついてる。この匂いは【天使に有毒】な香り……通称【堕天の香り】。

『なぜ、人間ごと気がこの香りを……いや、それどころかどこからその花を取ってきた!』

悪魔は天使を、天使は悪魔を滅そうとしてる。だったら悪魔どもの住処としか言いようがない。ウチはさっきも言ったように【どんな香りを嗅いでも人体への影響はない】。けど、よく分かった。あんたらは自分に有害な香りであってもはじめは気づけないんだな。じゃあな、その甘い香りとともに死んで行け。

『人間ごときがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

さようなら……天使さん


【思い出の香り】


香織の能力である。

一度でも嗅いだことのある香りを相手と共有することができる。

ただし条件がある。

【同じ匂いをかいでいる必要がある】

今回の場合、天使は香織と【口臭を共有した】

それこそが唯一のミスであり完全な敗北の原因である。


でも、本来はこんな使いかたしたくないのです。

私の能力は人間と共有するためにあるのです。

ラベンダーなどのよい香りをみんなで共有したいです。

…………そこになくてもウチはその香りをみんなに知らせたい。

夜とかは飯テロもできます。

すばらしい能力でした。

必ずあいつら蹴散らしてウチの夢かなえます


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