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第27話:怪しい自殺 前編

 季節は夏。

 炎天下の中、エアコンが故障した聡美の事務所は蒸し暑かった。

「あ゛づー」

 ソファで汗だらけになっている京一。

「炎天下の非番の日くらいクーラーの効く家で過ごさせてくれよ」

「ごめんね、京一さん」

「ごめんで済んだら警察いらねえよ」

「暑さに警官は関係ないと思うけど」

 ガチャリ、扉が開いて男が入ってくる。

「いらっしゃいませー!」

 聡美が男に近付いた。

「所長の黒川 聡美です。どのようなご用件でしょうか」

 取り敢えず、とソファへ男性を座らせ、氷水をコップに入れてテーブルに置いた。

 聡美は男性の向かい側で京一の隣に座る。

「先日、妻が亡くなりまして、首吊りだったんですが、警察は自殺と判断したんです。でも妻は亡くなる前、同窓会へ行こうとしていたみたいで、私には妻が自殺したとは到底思えないのです」

「遺書は残されていたんですか?」

「いいえ」

「そうですか」

京一さん──と、聡美が彼を見る。

「解りました、お調べしましょう」

「ありがとうございます、探偵さん!」

「違うけどね。まあ、任せて下さい。住所はどちらですか?」

 男性はメモ帳に住所を書いて京一の前に置いた。

「ああ、申し遅れました」

 大堂だいどう 裕輔ゆうすけ、男性はそう名乗った。

 大堂は会釈をして事務所を出て行った。

 京一と聡美は大堂家のある住所を管轄している警察署の刑事課へ足を運んだ。

「大堂家の自殺の件でお話を伺いたいのですが」

「あなた方は?」

 京一は刑事に警察手帳を見せた。

「本庁から来ました」

「資料課へ行っていただけますか?」

 京一と聡美は資料課を訪ねた。

「大堂家の自殺?」

ちょっと待って下さい──と、資料を用意する職員。

「こちらが大堂家の捜査資料ですが、今さら事件を再捜査なんてしても、何も出ないと思いますけどね」

 京一と聡美は捜査資料を読む。

 資料によると、自殺事件が起きたのは七日前で、夫の裕輔が仕事から帰宅すると、リビングで首を吊って亡くなっていたという。

 現場には遺書はなかったが、現場の状況を見て警察は自殺と判断した。

 亡くなった妻の名は三恵子みえこと言い、交遊関係を洗って亡くなったことを告げて話をしたが、死因については公開していない。

 京一はファイルを閉じた。

「どうもありがとう」

 と、資料を職員に返却すると、聡美を連れて警察署を後にした。


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