第26話:寝台特急カシオペア殺人事件!
寝台特急カシオペアで東京を目指す二人は、食堂車で食事をしていた。
京一は他の乗客の行動を頭に焼き付ける。
カシャッ──少年が隣の女性を撮影した。
「ちょっと、何撮ってんの? 消しなさいよ」
少年の行動にそう文句を言う女性の名は聖 佳子。売れっ子女優だ。
「すみません」
少年はそう言った。
「謝るくらいなら撮らないでよね」
「まあまあ、裕太くんだって反省してるんです。お許しになられては?」
あ、私──男が聖に名刺を渡す。小暮 昭男、男の名だ。
「東京の西麻布でクラブをやっています。お店に来れば切手もありますよ」
(切手って、マジかよ)
京一は小暮を凝視する。
「京一さん」
「え?」
「怖い顔してどうしたの?」
「別に」
食事が終わり、二人は部屋に移動する。
京一はベッドに横たわる。
「京一さん、そっち行ってもいい?」
聡美が訊ねたその時だ。
「きゃああああ!」
廊下から悲鳴が聞こえてきた。
二人が悲鳴の元へ駆け付けると、小暮が部屋で刺殺されていた。
「聡美、車掌さんを」
聡美が車掌を呼びに行った。
京一は部屋に入り、男の遺体を調べた。
(まだ温かい……殺されたばかりか)
そこへ車掌がやって来る。
「車内で殺しですって?」
京一が車掌や野次馬に警察手帳を見せた。
「警視庁の高岩です。皆さん、後で話を伺うので部屋で待機していて下さい」
車掌さん──と、京一。「次の停車駅で警察を呼んで下さい」
「解りました」
「それとこの車両の出入りを直ぐに封鎖して下さい。まだ犯人がこの車両にいるかもしれないので」
「はい」
足早に去る車掌。
「京一さん……」
「直ぐに終わるさ」
京一は現場を調べた。
凶器は見当たらない。
京一は悲鳴の主である聖に声をかける。
「すみません。ちょっとお訊ねしますが、この部屋へはどのようなご用件で?」
「えっと……」
「麻薬を買おうとしたんじゃないんですか?」
「いや、その……、はい……」
京一は隣の裕太の部屋の扉をノックした。
「はい」
年配の男が出て来る。
「貴方は?」
「東 紀夫、裕太の父です」
「裕太くんはいらっしゃいますか?」
「裕太、刑事さんが話を聞きたいそうだ」
裕太が出て来る。
「何ですか?」
「小暮さんとは親しいのですか? 小暮さんは貴方のお名前をご存知でした。ひょっとして顔見知りなのかと思いまして」
「刑事さん、実は裕太には前科があるんです」
「薬物ですね?」
「ええ……」
「裕太くん、食事の後は小暮さんとお会いしましたか? 持ってるなら見せて下さい」
「持ってないです」
「そうですか」
そこへ聡美がやって来る。
「京一さん、調理室の前のゴミ箱からこんなのが」
袋詰めされた粉を京一に見せる聡美。
「これは!?」
京一は開けて臭いを嗅いだ。
「覚醒剤。よく見付けたね」
「何か今回の事件、似てない?」
「何が?」
「相棒のシーズン六第十話寝台特急カシオペア殺人事件に」
「言われてみれば……。と言うことは」
京一は紀夫を凝視する。
「殺しましたか?」
「すみません。やりました」
「次の駅で警察に引き渡します」
京一はそう言って部屋を後にした。
その後、停車した駅で警察が乗り込んできて、紀夫は連行されたという。




